ギター
最近、ギターを購入した。
一時期に比べコロナが落ち着いてきたとはいえ、まだまだ家にいる時間も多い。時間を潰すためだけに映画を観たりするよりは、まだ実のある時間が過ごせそうだなと思い、深夜の麦焼酎ソーダ割りの力を借りて勢いでAmazonで購入。
くれぐれも伝えておきたいのは、R-1グランプリ2022決勝の前に購入している。影響された訳ではない。それだけは信じて欲しい。
実は僕がギターに触るのは今回が始めてではない。中学・高校の頃、僕はギターに熱中していた。
というのも、僕の学生時代に空前のギターブームが到来したのだ。フォークアーティストではゆず、19、ロックバンドはMONGOL800やGOING STEADYあたりが大ヒットし、クラスにギターを弾ける男がゴロゴロいる時代だった。
部活が休みの日、友達の家にアコースティックギターを担いで遊びに行き、「夏色」や「名もなき詩」なんかをセッションした。どこで披露する訳でもないのに、上達してくのがただ楽しくて練習していた記憶がある。
高校に入学後はラグビー部に所属したが、文化祭で目立ちたいというベタベタな理由で軽音楽部にも顔を出すようになった。軽音楽部に所属する同級生の女の子達が全体的にイケていたからという理由もかなりの割合だった。
目論見は成功し、後の彼女ともそこで出会った。
とにかく俗にまみれにまみれた入部の動機だった。
まあ、高校生がバンドを始めるきっかけなんてそんなものだし、本当に音楽を愛していた訳でもない僕にとって、「ギターを弾く=アクセサリー」のような感覚になっていたんだと思う。
中学生の頃の純朴な気持ちは、思春期に蝕まれ消え去っていた。
そんな中、軽音楽部でM君という男に出会った。
M君は色白で背が小さく、少しふくよかで、同級生の間でも決して目立っているタイプでは無かった。
しかし、彼のギターの腕前は超人的だった。
お世辞にも長いとは言えない指で魅せる速弾きのレベルは高校生のそれでは無く、彼と比べると僕がやっていたギターなんてままごとだ。
聴いている音楽もかなりマニアック。僕がふくらはぎが攣るんじゃないかというくらい目一杯背伸びをしてようやくレッチリやガンズなんかを聴いている時に、フィンランドのメタルバンドのCDをおすすめされた。
一度だけ遊びに行った彼の部屋には、イングヴェイ・マルムスティーンとジミ・ヘンドリックスのポスターの下に、フライングVのギターが立てかけてあった。
彼は本当にロックを、ギターを、音楽を、愛していた。
軽音楽部に同級生の男子が少ないこともあり、そんなM君とバンドを組み文化祭で演奏することになった。
僕がギターボーカルで、M君がギター。
どの曲を演奏するか何度も話し合った。音楽の趣味も技術も何もかも違いすぎるのだから難航するのは当然だ。
そして、遂に演奏する曲が決定した。
その曲は。
BUMP OF CHICKENの「sailing day」。ワンピースの映画の主題歌。
当時めっちゃ流行っていた曲。
M君。絶対、乗り気じゃなかったよね。
あの時は付き合ってくれてありがとう。
でもさ、さすがに同級生の前で高音メタルを歌うのは恥ずかしかったんだ。
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