文句があるなら英国行きの便を取ればいい【9.10 ドイツ代表×日本代表】
9月10日(土)3:45にキックオフされた日本代表の強化試合。対ドイツ戦。その試合は予想以上に鮮やかで、激しく、狡猾なゲームを進めた日本代表が4-1という歴史的な勝利を収めた。
冨安健洋と板倉滉のセンターバックは恐ろしい程の安定感を見せ、絶え間なくポジションを変える3センターはドイツを混乱させ、伊東純也・三苫薫・久保建英はワールドクラスの局面打開力を改めて証明し、上田綺世はポストプレイヤーとして覚醒した。
90分間通して内容も伴ったゲーム展開で、紛れも無い”完勝”と言っていい。
左サイドバックの人材不足という批評
そんな試合でも批評するべき点はある。それは日本代表への期待という意味では存在するべきであるし、そうやってサッカーにおいての国力は上がっていく。苦境にあえぐカタールW杯最終予選中に、長友佑都もそう言っていた。
この試合を批評をしようとすると、どうしても伊藤洋輝の名前が挙がってしまうだろう。完全に制圧し全ての得点を生んだ日本の右サイドに比べると、確かに左サイドはレロイ・サネにアイソレーション的に突破され、キミッヒとの連携で崩された。最終予選から続く「左サイドバックの人材不足」という声である。
しかし、決して私は最高の勝利に水を差したい訳では無い。無論、伊藤洋輝を貶めたい訳でもない。
何が言いたいかと言うと、この風潮、現象を裏返せば、それが世界との戦いであり日本も遂にそのフェイズに到達した証明ということだ。
レロイ・サネは世界でも指折りのアタッカー。上振れた時には世界最高の瞬間すらあり得る。そこを抑え込んで欲しいというのは伊藤洋輝への期待の現われでもあるが、世界のトップオブトップはそんなに甘くない。
TVゲームをプレイするかの様に簡単に完封しろと言う暇があったら、英国に飛んでベン・チルウェルやカイル・ウォーカーの国籍を変えてもらう様にお願いすればいい。
このレベルになると世界最高のアタッカーに数回侵入されてクロスを上げられる事など事前に織り込んでゲームを進めなければならない。その上で失点を防ぐ、それが世界トップで闘うという事だ。
ウイングと連携するのか、或いはこの試合の後半の様に5バックで対応するのか等、解決策は確実に存在し、森保監督も状況に応じて講じている。ワールドカップのスペイン戦ではリスクを背負ってセンターバックにアタックさせる事でペドリに決定的な仕事をさせなかった。
日本のウイングも敵国のサイドバックを蹂躙した
ドイツ側の目線に立ってみると、三苫薫がボールを持った際はエムレ・ジャンかレロイ・サネが内側のコースを消す事で炎上を防ぎ、逆サイドのシュロッターベックは伊東純也に、ロビン・ゴセンスは久保建英に完敗したといっていい。
現在の日本代表は個では戦えないという凡庸な言葉で語られるチームではなく、世界基準の理不尽なアタッカーを擁している。
世界基準のアタッカー。それはキリアン・エムバペであり、ヴィニシウス・ジュニオールであり、ブカヨ・サカであり、三苫薫であり、レロイ・サネを指す。そんなアタッカー陣の競演・殴り合いが世界のサッカーの魅力だ。
そんな彼らを簡単に止めて欲しいなら、仏国に飛びフェラン・メンディやテオ・エルナンデスの国籍を変えてもらう様にお願いすればいい。
簡単に言うと「サネを舐めるな」、「世界を舐めるな」という事だ。
サッカーファンも世界の舞台を楽しもう
私が言いたいのは、特定の選手・ポジションを小突いて「世界とはまだまだ差があるなあ」なんていう下らない不貞腐れは止めて、いよいよ世界最高峰の舞台に殴り込む日本代表を楽しもうじゃないかということ。
その最中で絶望的な差を見せられる局面というのは起こり得るが、それこそが世界最高峰であるし、同様に日本代表もそう思わせる力を持っているのだ。
この勝利で世界はサッカー日本代表をトップグループの一員だと認めただろう。
おめでとう、日本代表。
そして、ありがとう。日本代表。
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