3連覇へのエントランス【川崎フロンターレ】

6月18日に、J1リーグ第17節が行われ、全日程の折り返しを迎えた。

過去2年と違い上位争いが混戦模様を呈し、見応えのある順位表の中、改めて2022シーズンの最大のトピックスに触れたいと思う。


川崎フロンターレの3連覇。


2020年・2021年シーズンを連覇し、数々の代表選手も輩出し続けているチャンピオンチームは、今年も勝ち点1差の3位に付け、抜け出すチャンスを虎視眈々と狙っている。

しかし、過去2年と比較すると苦しいシーズンになっている事は間違いない。

苦難の道を越え、歴史上2クラブ目の栄光を手にすることが出来るか。


☆歴史を刻め

川崎フロンターレが悲願のリーグ3連覇を懸け、2022シーズンを戦っている。


3連覇のチャンスはこれが初めてではない。

鬼木達監督就任初年度の2017年にリーグ初制覇を達成すると、その勢いのまま2連覇。しかし、3連覇のかかった2019年は横浜F・マリノスに優勝を譲り、最終順位は4位に沈んだ。

史上2クラブ目の3連覇は叶わず、川崎の時代は終わったかと思われた2020年。4-3-3の新システムを引っ提げ、より強くなってJ1の舞台で大暴れ。史上最速で優勝を決め、翌年2021年も最終勝ち点が90を越える圧勝劇を見せ、再び2連覇を達成。

再度、3連覇への挑戦権を手にし、2022シーズンを迎えた。

しかし、ここまで17試合を終えた時点で4敗。圧倒的な強さで優勝した2020年(3敗)、2021年(2敗)の黒星数を現時点で超えてしまっている。

何故、今年のフロンターレは苦しんでいるのか。まずは主力選手の流出。

2020年末に、中村憲剛が引退、守田英正(サンタクララ/ポルトガル)が移籍。2021年夏には、田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)、三苫薫(ユニオン・サンジロワーズ/ベルギー)、2021年末に旗手玲央(セルティック/スコットランド)が移籍。

これは川崎フロンターレの育成能力の結果であり、日本サッカー界にとっては大きな貢献をしているが、クラブの勝利にとっては大きな痛手だ。

更に、今シーズンは怪我人の多さに悩まされている。昨年末から守備の要であるDF・ジェジエウが長期休養。シーズンスタート後には同じくDFの車屋紳太郎、登里享平が相次いで離脱し、守備・ビルドアップを担う最終ラインが崩壊。横浜Fマリノス戦、セレッソ大阪戦、湘南ベルマーレ戦では、まさかの4失点の大敗を喫した。

シーズン途中には、川崎の象徴ともいえる技術の高い中盤からも大島僚太、チャナティップが離脱した。

そして何より得点の少なさだ。2020年は88得点、2021年は81得点と暴力的とまで言える攻撃力で2連覇を達成したが、今シーズンは絶対的な点取り屋が設定できておらず、昨年の得点王・MVPであるFW・レアンドロダミアンも3得点しか奪えていない。

これはもちろんアタッカー陣だけの責任ではない。昨年までの人もボールも動く連動性の高い鮮やかな攻撃が鳴りを潜め、チーム全体の循環が上手く行っていないように見受けられる。


とはいえ3位。勝ち点差1の3位だ。

昨年、一昨年の強さと比較し物足りなく感じてしまうのは、川崎フロンターレへの期待の大きさと言えるだろう。

そんな中、前半戦ラストの第17節札幌戦で、久しぶりに強く魅力的な川崎の姿を見せつけた。

3センターに大島僚太・チャナティップが復帰し、左サイドバックに橘田を置く新布陣。先制を許し、追い付いた後も勝ち越し弾を決められる苦しい展開の中、後半に攻撃陣が爆発。

その中心にいたのは後半から投入されたFW小林悠だった。

初優勝した2017年にリーグMVPを獲得し、レアンドロ・ダミアンが台頭した後はスーパーサブとして数々の試合でチームを救ってきたベテランFWが、反撃の狼煙を上げる2ゴール。同点弾の豪快なバイシクルボレーは等々力競技場を揺らした。

彼の姿を通し、絶対王者・川崎の復活を感じたのは、私だけではないだろう。

終わってみれば、スコアは5-2。ボール支配率62%、パス成功率84.5%、枠内シュート9と、前年までの川崎らしい攻撃的なスタッツを記録した。


まだリーグは前半戦を消化した段階。ここから夏に入り順位も大きく変動していく。しかし、戦力が整い、全ての歯車が円滑に回り出した川崎フロンターレが3年連続の圧勝劇を演じる姿は想像に難くない。


後半戦はどんなフットボールを描くのか。

サックスブルーの王者は今、3連覇へのエントランスに立った。

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