「扉、扉、また扉」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
「おい急げ急げ急げ!もうこの世界崩壊しかかってんぞ!」
がんがん!足元の”相棒”を蹴り飛ばし最速を出せと催促する(私、上手いこと言ったという顔)。
『うるせえこれが最大出力だよ馬鹿!てめえがダイエットすりゃあいいんだよ!』
つい2,3個前の世界でなんやかんやで一緒になった反重力式空中推進ボードが叫ぶ。
「は~?聞こえません~乙女の体重の重さとか聞く~?」
『うるせ~!重いもんは重いんだよ!大体乙女って年かてめー!』
バゴン。ついサッカーボールキックで蹴ったが事故だよ。そうですね?
『ッてぇ~!何しやがる!』
「いーからもっとスピード出せ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…後ろの火砕流が私たちに迫ってくる!
「そうじゃねえと私たちもお陀仏だよ!」
『わあってらあ!でも重いんだよお前ー!』
ぎゃいのぎゃいの叫びながら”扉”を探す。もうこの世界に用はない!
「どこだどこだどこだ…!」
『うおおおー!戻ったらメンテしてもらうから覚悟しろよー!』
ばしゅっ!軽めの上傾斜からスケボートリックみたいに飛び出し――
「――あった!あれっ!」
そのまま空中で方向転換、直接ダイレクトに扉を狙う!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
『うおおー!ボンダム!最大パワ―ッ!』
「その台詞は色々危ない気がする!!!」
反重力推進は地面が無くとも問題ない!一直線に加速し――
◆
――っがらがしゃぁあん!!!「あごごごご!!!」『おがああ――!!』
ゴゴゴゴ…『急げ急げ!閉めろ早く!マグマ入ってくる入ってくる!』
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…「わー!閉まれ閉まれー!!!」
バタン!「はーっ…はーっ…セ――――フ……」
やっと”部屋”に戻ってきた。
「ここもダメ…と」戻ってきた扉に×をつける。
その”部屋”にある夥しいほどの”扉”を見る。
「さてはて、いつ”当たり”が来るのかなあ」
『知らん、メンテと休み入れたら次だ次』
――私は旅人。”世界”の。
今日も私は旅をする。
【続く】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?