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(この街が好き) 晴海フラッグ

1.初めに

 前回のブログ「(この街が好き)熱海芭蕉苑での生活」で、熱海での生活、第三の人生を終えると述べた。第三の人生で共に過ごした愛犬達も亡くなり、束縛から解放される間も無く、子供達が結婚し、独立し、3人の孫に恵まれた。子供達は皆共稼ぎで我々の時代とは異なる人生を送っている。子育てをしながら、仕事をするのは簡単なことでは無い。保育園に預けても小さい子供達は良く風邪を引き、保育園を休み、家で面倒を見なければならず、仕事を休む事ができない時は親にSOSを発信する事も多い。妻は孫の面倒を見て子供達を助ける事に生き甲斐を感じている様にも見える。そんな妻の支援をするのは私の役目だろう。我々は二人とも実家は商売をしており、謂わば共稼ぎ夫婦の元に生まれ育った。私の面倒を見てくれていたのは祖母だった。子供達の子育て支援はやはり次の人生の柱の一つになる事は間違いない。
 しかし、子供達はそれぞれ我々の住んで居る多摩ニュータウンの稲城地区の家から車で 1時間程度離れた所に住んでおり、SOSを受けても出動するのは大変だ。マンションや社宅に住んでおり、泊まる事もできず毎日通う事になる。皆、近所に住めれば良いのにと考えるも、子供達の勤務先は全て東京駅近辺ないしはさらに東にあり、新宿・渋谷近辺が通勤圏の稲城は遠すぎる。

2.晴海フラッグでの近居

 そんな悩みを抱えていた時に知ったのが、晴海フラッグの販売だった。詳細を知るにつれ、かつてバブル期に何度も何度も公団住宅に申し込み、抽選に外れるばかりで、1988年にやっと巡り会えた多摩ニュータウン、稲城地区の住宅公団のマンションの抽選に当たった時の興奮が蘇ってきた。ニュータウンの新しい整然とした街並み、広く余裕のある歩道と車道、豊かな公開空地、広い公園、電信柱の無い風景。都市の未来を感じさせた。晴海フラッグにも同様に都市の未来を感じさせるものが詰まっている。
 晴海フラッグに皆で一緒に住まないか。子供達に提案した。その理由は入居まで4年の時間がかかるというデメリットはあるが、下記のような大きな魅力があるからだった。
1)4家族が同じ時期に4戸のマンションを購入が可能な大規模住宅である。
2)子供達夫婦の通勤の便が良い。皆の勤務地は東京丸内、大手町、豊洲等であり、いずれの勤務先にも近い。最寄駅の地下鉄勝どき駅まで徒歩20分で不便と言われるが、自転車、都営バス、BRT等の選択肢は豊富で最悪歩いても通えそうだ。
3)  若い世代でも購入出来る価格帯である事。
4)  子供達にとっては一生の買い物である。親としてその購入を勧めるには、近い将来かつてのバブル崩壊の様な現象が起こっても、後悔しない物件でなければならない。晴海フラッグは一生に一度巡り会えるかどうかの好条件の物件であり、子供達の住宅購入適齢期にそれに巡り会えた事は非常に幸運なことだ。
5)  小さな孫達にとっても豊かな緑、大きな公園がそばにあると言う素晴らしい住環境。
6)  先端を行くエネルギーと通信設備。
7)  豊かな眺望と共有施設。これらは今、人気のあるタワーマンションの魅力のポイントであるが、晴海フラッグのマンションには低層でもタワーマンション以上の魅力があると同時にタワーマンションの欠点が無い。

 もちろんデメリットもある。
1)良く言われているように最寄りの勝どき駅まで徒歩20分と地下鉄の駅から遠いことだ。しかし、有明から丸の内まで通勤する長女は都営バスを利用しており、その快適さを良く知っている。地下鉄の駅が近くてもバスを使うと言っており、むしろ通勤の選択肢が多い事がメリットと考えられない事もない。
2)契約から入居まで3年半の期間があること(更にオリンピックの延期で4.5年の待機期間となった。)。この間に住宅購入の優遇制度(住宅ローン減税制度、住宅購入に関わる生前贈与)や金利の上昇、住宅市況の変化、家族の生活の変化等々起こり得る。
3)一般的にはほとんど指摘されることは無いが、私個人的には板状マンションの宿命として田の字型の間取りが主流で中住戸の間取りには全く魅力を感じない事だ。

3.晴海フラッグの管理

 晴海フラッグの管理費や修繕積立金は一般の分譲マンションに比較し、高額である。また、管理組合が3層になっており複雑である。これらは多くの人からデメリットと判断されているが、本当にそうだろうか?検証してみよう。
1)管理費
 高額と評されている。確かに、殆どの街区で管理費は平米辺り300円を超えている。理由は多すぎるとさえ思える共用施設と緑地空間の維持費である事は間違いない。しかし、マンション管理においては人手不足から来る人件費の高騰により2014年を底にして新築マンションの管理費は年率にして4−8%の割合で上昇している。東京カンテイの資料によれば20階未満の新築マンションの管理費は2019年で平均268円/m2であり、2021年では300円を超えている可能性はある。なお、共用施設の豊富なタワーマンションの管理費は現在販売中の物件では殆どが400円/m2を超えている。これらの状況を見ればむしろ晴海フラッグの管理費は共用施設の豊富さから割安と言えるのではないか。それは規模のメリットを十分活かす事が出来ている証だろう。

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2)修繕積立金
 多くの人が誤解されているかも知れないが、これはあくまで暫定的な計画であり、実際にかかる費用は別である。一般的には建物が老朽化するにつれ修繕費用は多額になって行く。従い、修繕計画に従い、積立金は増額されて行く。ただし、重要な事はこれらの計画を作成し、積立金を徴収するのは区分所有者を代表する管理組合である事である。つまり、区分所有者が決定権を持つと言う事である。
3)管理組合
 管理制度は複雑である。居住建物、街区、全体と三層の管理組合に分かれている。このマンション管理の方法は恐らく前例が無いであろう。少なくとも一般的には馴染みがない事は事実であり評価が難しい。複雑すぎて機能不善に陥り管理会社の言いなりになる可能性もある。
 しかし、管理組合を構成する住戸数は5,632戸であり、人口は15,000人を優に超えるだろう。昔であれば、市を構成できる人口である。東京都の基準に照らし合わせれば人口10,000人を超えれば「町」と言う行政単位になる。つまり政治的な勢力になるだけの人口があり、それを束ねるのが管理組合だとすれば、晴海フラッグの管理組合は政治団体として大きな力を持つ事になると言える。
 管理組合の成否は運営の仕方次第であり、大きなポテンシャルを持っていることだけは確かである。

4. マンションの価値は生活の満足感か利便性か

 晴海フラッグと入居時期が重なるパークタワー勝どきは良く比較される。晴海フラッグは最寄り駅まで徒歩20分であることから資産性に乏しく、割安でも買うべきでない。一方、パークタワーは駅までマンションから地下道で徒歩1分と利便性に優れ資産価値が大きく、高くても買うべきはこちらとの意見が多い。晴海フラッグよりの人気が高いと評判である。そして、資産性がマンション選択の基準として語られる。資産性は立地=利便性が最も重要な要素と言われている。果たしてマンションとしての価値を測る基準は如何なのか。もちろん、家族構成や生活様式の違いにより価値観は異なる。しかし、一般的な家族構成で比較すれば、この二つの大規模マンションの選択の基準は生活の満足感(幸福感)か利便性かになるのではなかろうか。
 パークタワーは立地に優れているが、生活の満足感は晴海フラッグの方が優れているだろう。どちらを取るかは各個人の価値基準にある。資産性はどちらを選択する購入者が多いかによって決まる。また、その選択の基準は時代、状況に左右されるかも知れない。つまり、現在はマンション価格が上昇を続けており、誰もがバブル期の様に不動産は上がり続けるものだと信じているから、皆、購入後の値上がりを期待して資産性が高いと言われる立地に優れたマンションを選択する傾向が強い。しかし、コロナ禍では住戸の広さ、生活環境が重視されつつある。近い将来価値観が変わるかも知れない。
 晴海フラッグの第一期の販売が終わった後、引き渡しが1年延期になり、契約キャンセルをペナルティー無しで受け入れる事が発表された後、パークタワー勝どきの販売が開始された。晴海フラッグはその人気にも拘らず、一期販売のおよそ25%の住戸がキャンセルされた。多くの人がパークタワーの購入契約をして晴海フラッグをキャンセルした事が想像される。パークタワの資産性を選択した人が多くいたという事だろう。
 しかし、家というのは一生の買い物とは言えないまでの普通は長期間保有するものである。その間、不動産は下落することある。従い、住居の価値判断は長期的な視点が必要なのではないだろうか。

5.晴海フラッグの購入

 私の提案に子供達は皆大賛成だった。当時独身だった長男も賛成で3LDKの大きな住戸を選択した。不思議に思っていたが、この時、結婚を考えていた女性がおり、嬉しいサプライズだった。

 2019年半ばに第一期一次の販売が始まると果たして抽選が当たるかどうかが心配になった。バブル期に何回も申し込んでは抽選に外れて購入することができなかった時代の記憶が甦り、心配だった。しかし、販売担当者の巧みな誘導で実際に競争になったのは一部の住戸のみで大凡は1倍率だったのではなかろうか。バブル期とは様相が異なるようだ。当初は自分達は狭い2LDKで十分と考えていたが、2LDKの住戸は高い倍率がついた。また、子供達の住戸を早く確保する事を優先し、子供達が外れた場合、我々の住戸を譲る事も考え、購入できる事を最優先し、倍率の低い3LDKを選ぶ事にした。全家族、眺望と日当たり、価格のバランスを重視し、Park village F棟、Sea village D棟を選択した。結果は、1家族のみが2倍の抽選となったが、他は1倍率で全家族が第一期、一次で購入できた。

  その後、オリンピックが1年延期になり、入居も1年延期になった。長女の子供が入居時小学生1年の予定だったが、残念ながら、小学校の転校が必要になった。逆に次男の駐在が決まり、入居時と帰国時期が一致する可能性が出てきた。しかし、パートナーは駐在に帯同するため退職、又、長男のパートナーもコロナ禍で収入減となった事、また、出産で休職の可能性も考え、長男、次男とも住宅ローンはダブルローンが組めなくなり、シングルローンの事前審査には苦労したようだ。このように入居の延期はメリットもデメリットもあったが、最大のメリットはキャンセル住戸への変更の受付だった。1年の入居延期は契約者にとって予想以上の不都合があったのだろう。また、より人気のあるパークタワー勝どきへの乗換えもあったのだろう。25%近いキャンセルがあり、希望すれば、キャンセルにより空いた住戸への契約変更が認められた。

 こうして第四の人生を過ごす場所が決定した。まだ、晴海フラッグには住んでいないので、この街が好きとは言えないが、素晴らしい街になると信じている。

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