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予算作りで大切なこと② 予算は数値だけじゃない

前回は、予算を見通しで終わらせない、ことについて少し詳しく書いていきました。今回は数値目標だけが予算ではないという話を整理したいとおもいます。

予算とは一体何か

あなたの会社に予算はありますか?と聞かれた時、皆さんは何を想像されるでしょうか。私自身、この問いかけに対してパッと思いつくことは、目標PLです。

私だけでなく、多くの人は目標PLのような数値目標を思い浮かべるのではと思います。しかし、数値目標の前には定性目標が、定性目標の前には戦略がありますよね。予算とはこれらも含みます。

この点は多くの予算担当者が理解されていると思います。ただ、理解していることと、予算化していることとは違います。予算策定プロセスにおいて戦略・定性目標もしっかりと予実管理できる状態まで作り込むことが重要です。

予実管理できる戦略・定性目標とは-その1

数値目標だけでなく、戦略・定性目標までしっかりと予実管理をしている企業としてはリクルートが結構有名どころだと思います。

リクルートではミッションツリーというアジェンダ管理方法を用いて、重要アジェンダの達成に向けて徹底的にモニタリングします。

※ミッションツリーはネットで検索すれば概要が出てきますので気になる方は検索してみてもらえればと思います。

予実管理できる戦略・定性目標とは、まさにミッションツリーのことで、主に以下の要素で構成されます。

・戦略に基づいて実行が必要なアジェンダ
・各アジェンダの定性目標、定量目標
・マイルストン
・責任者

ここまでの話だけだと、予算策定ではミッションツリーなるものを作れば定性目標含めて予算化できるのだな、ということになります。

しかし、それだけでは全く意味がないというのが、定性目標予算化の難しさです。というか、多くの会社だとこの先書くことに対応することがめちゃくちゃ難しいです...

予実管理できる戦略・定性目標とは-その2

その1では主にまとめ方の話をしました。でも、綺麗にまとめて定点観測することが予実管理ではないですよね。しっかりと各アジェンダを達成に導けるモニタリングができるかが重要です。

達成に導くために欠けている要素は以下二つで、それぞれ詳しく整理していきます。
・重要アジェンダ全てに対しての共通理解
・各アジェンダの達成責任の明確化

・重要アジェンダ全てに対しての共通理解
私自身、最初の頃はこんなもの必要ないと思っていたのですが、これをやらないとせっかく綺麗にまとめた意味が0になります。なぜかというと、定性目標と数値目標には当たり前過ぎて忘れてしまう大きな違いがあるからです。

その大きな違いとは、共通認識の持ちやすさです。数値目標というのは基本的には会社内の全員が簡単に共有できる物差しや共通言語のようなものだと思います。一方、定性目標は数値目標ほど共通言語化されていないため、共通理解に努めない限り、それぞれが少しずつ違った目標として認識してしまいます。この小さなズレが会社全体まで広がっていく中で大きくなり、定性目標がすっかり形骸化します。

これを防ぐためには、レイヤーごとに(経営、組織長、メンバーなど)に定性目標を検討、設定して、それぞれの疑問や不明点がない状態になるまでロングミーティングすることが必要です。また、目標を追いかける中でも、刻々と変化する環境やアジェンダに合わせた認識調整を行っていくことも重要です。

・各アジェンダの達成責任の明確化
こちらも一見すると担当つければいいだけでは、と思うのですが話はそう単純ではありません。定性目標は数値目標と違って目標に対しての進捗管理が難しいため、より責任の所在及びそれに対するコミット力を明確にしておかないと、一向に達成されないものになってしまいがちです。

そのために最も効果のある方法は、責任の所在を明確にした上で、個人の目標設定及び評価項目にまで落とし込んでいくことです。こうしておけば、日々目標に対しての責任と達成に向けた筋道を考え続けるため、達成までしっかりと導いていくことができます。

まとめ

予算において数値目標だけではなく定性目標も重要であることは多くの人が元から知っていたと思います。ただ、実際に定性目標を予算として、予実管理していくことがいかに難しいかということ、その難しさは定性と定量の性質の違いにあること、はあまり認識されていないのではないでしょうか?

今回書いた内容は実際に行うために相当なコストが必要となるため、ビジョン、ミッションを重要視し、予算を社員全員で作るものという認識がある会社でないと実践することは難しいです。

でも、予算に携わるものとしては、うまく定性目標をコントロールできることはすごく会社の成長に貢献できると考えています。(特に大きな組織、大きくなっている組織は)

整理しながら、自分自身まだまだ至らないところが多いことをひしひしと感じますが、少しでも実践していけるよう努めていきたいところです。


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