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二人で里道を歩いていた。 道は片側が山肌に掛かり、反対側が田の畔に接している。ともに速足で歩いている相方を見ると、詰襟のそれも随分古風な学生服のようなものを着ている。若い。が、幼くはない。高校生か大学生といったところか。丸眼鏡を掛け、髪は七三に分けてしっかりと刈り上げてある。うっすらと口ひげもあるようだ。背は低い。 ただ、どこかで見たことがあるような人物だが判然としない。親しげには並んでいる割には、面立ちに友人の影は見えなかった。 しばらく行くと、三差路に出た。 左は、集落