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四則演算で分析してみた その6 市場分析~日経ビジネスの記事はほんまでっか「電動車椅子編」~

めっきり寒くなりお鍋やおでんが美味しいこの季節。最近記事を更新できていなかった筆者は、そんな旬の食べ物には目もくれず、日経ビジネス電子版の「免許返納ラッシュにあえぐ車販売店 電動車椅子に熱視線」(2022年10月14日号 ※1)の記事について分析してみた。

記事の概要は、免許返納という「節目需要」に自動車販売店が着目し、彼らが電動車椅子の販売を考えているというものだ。

記事からの推測になるが、自動車販売店は次のようなことを考えているようだ。
・少子高齢化、長寿化に伴い免許を返納する人口が増えてくる。
・それに伴い自動車の販売も減少する。
・自動車販売店はその差分をどう埋めようか考えている。
・そんな中、免許返納という「節目需要」に目をつけた。

しかし待たれたい。
・記事によると、電動車椅子の価格は20万円から40万円
・これに対し、自動車の販売価格はおおよそ100万円以上
免許返納に伴う電動車椅子市場は、将来予測される自動車の売上高減少の差を埋められるほど魅力のある市場なのだろうか??

このような疑問を抱いたため、自動車販売店が「機会」と捉えている免許返納に伴う電動車椅子市場の魅力について分析してみたのが本記事の趣旨だ。

市場の魅力度の計算方法は至って単純。ただの掛算だ。

まずは電動車椅子の市場規模を計算する。次に既存の市場規模を計算する。そして、これらの数字を比較する。

電動車椅子の市場規模の計算方法は次のとおり。
①1年当たりの免許返納件数 × ②電動車椅子の単価 = ③ 市場規模

まず①についてみてみよう。
数字は警視庁のホームページ(※2)に掲載されている運転免許統計のうち、65才以上の数字を拾うだけだ。
人数は、49万3461人である。

次に②であるが、上記のとおり幅がある。
そこで、20万円を下限、40万円を上限として、それぞれ算出してみたい。

まずは20万円の場合だ。
49万3461人 × 20万円 = 986億9220万円

次に40万円の場合だ。
49万3461人 × 40万円 = 1973億8440万円

これに対して、自動車の新車販売台数の市場はどうだろう。非常に乱暴な計算方法であるが、次の計算式で推測してみた。
①年間総販売台数 × ②販売単価 = ③市場規模

それぞれの数字は次のとおりだ。

①は、日経新聞の記事(※3)をもとに、444万8340台とする。

②の販売単価は軽自動車から高級自動車まで様々あるが、仮に小さく見積もって100万円とする。

444万8340台 × 100万円 = 4兆4483億4000万円


このように、4兆円の世界と2000億円の世界であり、差は歴然としている。
比較的規模の小さい電動車椅子を販売するメーカー(ベンチャー企業)にとっては、魅力的な市場かもしれないが、規模の大きい自動車販売会社にとっては、自動車の売上高の減少スピードを少し緩和できる程度の魅力しかなさそうである。

筆者は今回の日経ビジネスの記事を無料版の範囲でしか読んでいないため、記事の全貌を存じ上げないのだが、「電動車椅子だけ」では自動車販売会社が食い続けられるほどの魅力はないものの、CRMの顧客接点を作り、自動車以外の販売に事業を転換していくためのきっかけとするための製品なのかもしれない。

                               以上

※1 記事のURLは次のとおり。免許返納ラッシュにあえぐ車販売店 電動車椅子に熱視線:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)

※2 警視庁のURLは次のとおり。運転免許統計|警察庁Webサイト (npa.go.jp)

※3 販売台数は日本経済新聞2022年1月5日の記事より引用。国内新車販売、21年3%減 3年連続前年割れ: 日本経済新聞 (nikkei.com)

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