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ヒトはなぜ物を所有したくなるのか? Disc1 マズローより愛を込めてchapter5

今回は、マズローの原典の論文(A Theory of Human Motivation。以下、人間の動機づけ理論といいます。)で述べられている愛の欲求 ※1 についてだ。 

非常に短い

これが愛の欲求パート分析後の感想だ。小説、映画、ドラマでテーマになり好きな人も多い「愛」。恋「愛」、家族「愛」、隣人「愛」…。あまたの作品が愛について語り多くの人が魅了されるその「愛」に関する欲求の話なのに。
 
ではその内容は、というと、概ね次のとおりであった。
①愛の欲求の前にある欲求(生理的欲求と安全の欲求)がかなり満たされると、愛の欲求が出現する。
②愛の欲求があらわれると、友人、恋人、妻、子供がいないことがめちゃくちゃ痛切に感じ、居場所を求めて、すんごい努力をするようになる。
③愛の欲求の実現が阻害されると、精神を病む。
④事実上すべての精神病理学者は、愛の欲求が阻害されていることが基本的な問題であると考えていて、だからこそ、愛の欲求に関する多くの臨床研究がなされている。
⑤愛とセックスは同義ではない。純粋な生理的な欲求として研究されることもあるが、これだけで決まるのではなく、他の欲求、中でも愛の欲求によって決定される。
⑥愛は与えることと受けることの両方に関わる。
 
どうだろう。皆さんの感覚と一致するだろうか。
②③については少し違和感もある。筆者たちは恋人や妻がいない状況でも特に病んだことはない。とはいえ、これは友人や家族といった愛の欲求に関する「居場所」が存在したという前提があるからかもしれない。
「モテる」に関する研究を行った筆者たちは引き続き「モテる」に関するアンテナを高く張っているが、最近の10代、20代が恋愛にそれほど興味が無いといったニュースを時々見かける。私が話をする彼ら彼女らは決してそんなことはないのだが、もし実際にニュース通りなのだとすると、社会の構造や価値観が論文が書かれた時代とは大きく変わり、マズローの5段階の欲求に変化が起こっているのかもしれない。
 

愛されるよりも 愛したい マジで??

それよりなにより筆者たちが中々の衝撃を受けたのは⑥についてだ。昔「愛されるよりも愛したいマジで」という歌をKinki Kidsというアイドルが歌っていたが、どうやらマズローにいわせるとこれは誤りのようだ。Kinki Kidsも良い歳なのでいつまでも「Kids」ではいられまい。歳相応のキャラクターに変化するためにも「愛されつつも愛したいマジで」と歌をリメイクして歌ってみてはどうだろうか。


所有と愛の欲求との関係

例えば愛している人から貰ったプレゼント。このような物は所有したくなる、あるいは、所有し続けたくなる人が多いのではないかと想像する。これは、いわば、愛している人の代わりとしてその物を所有しているとも考えうるのではないか。 ※2 ※3
 
次回は承認欲求について。
 
                         Chapter6へ続く。
 
※1 「愛と所属の欲求」という言葉が使われることが多いが、人間の動機づけ理論の中では「愛の欲求」と書かれているので、それに従っている。

※2 対物性愛という概念があり、これは「生物ではない物に対して、性的あるいは恋愛的に惹かれるセクシュアリティのことである。」「対物性愛者は、特定の物に対して強い愛情や自己投入(コミットメント)を経験することがある。」とのことである。(wikipediaより引用)

※3 エリカ アヤ エッフェルさんは、エッフェル塔を愛しすぎてエッフェル塔と結婚している。英語のwikipediaによると、エリカ アヤ エッフェルさんは「日本でアーチェリーを始めアーチェリーの名選手になったアメリカ人で、その後フランスのエッフェル塔を愛し、エッフェル塔と結婚したイタリア人」のようだ。結局どの国籍の方なのかは謎である。「Erika "Aya" Eiffel (née Erika LaBrie), is an American competitive archer and advocate for object sexuality. She "married" the Eiffel Tower[1][2][3][4] in a commitment ceremony in 2007.」(wikipedia英語版より引用)

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