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食事介助の話―食事介助をする際のポイント

食事介助と一言で言ってもどこまで手を出していいのか迷うものです。
その人が出来ない部分を介助することが目的なのですが、出来ることまで介助することを「過介助」と呼ぶそうです。




ここからは3つのパターンを見ていきたいと思います。




食べ始めることが出来ない場合


1. 食事を目の前においてもじっとしたままで食べ始めない
■ 味覚の活用(一口を味わえるように介助)
■  臭覚の活用(うどんなどの香り立つような食材を用意)
■ 好物の活用
■  馴染んだ食器類に変更

2. 食器を並べ替えるだけで食べることをしない
■ コース料理形式(一品づつ出していく)
■  ワンプレート式(丼や大皿にまとめて盛り付けてみる)
■  弁当箱に変えてみる

3. スプーンなどを逆さに持ったり、食器に触ったりするものの食べる行動に移れない
■  片手に箸やスプーンを持ってもらいもう片手に食器を持ってもらうように支援する
■  おにぎりやサンドイッチなどの道具を使わなくても食べられるものに変更

4. テーブルに置かれた食事以外の物を触って食べようとしない
■  鉛筆など食事以外の物は置かない

5. 口を開けてくれない、顔を背ける、介助者の手を押し返す
■  好物の活用
■  食べ物を救ったスプーンを下唇に触れる、なめてもらう
■  口角、頬を指で軽くとんとんと触る
■  本人の手に介助者の手を添えて食べ物を口へ運ぶ動作を介助

6. いったん口に入れたものを吐き出す
■ 痛みなどの食べたくない原因への対応
■  食事時間の変更

7. 口に食べ物を溜め込んだまま飲み込まない
■  声掛け、やさしく体に触って気持ちを食事へ戻す
■  異なる食感や味覚(甘味、塩味など)、温冷を交互に介助(食事への注意維持)
 ■ 好物や冷たいもので飲み込みやすくする(嚥下反射を誘発する)




食べ続けることが出来ない場合


1.食事以外への刺激に注意が向いてしまって食べ続けることが出来ない
■ 過剰な刺激の除去(食事を中断してしまう音、映像、人の足音、おしゃべりなど)
■ 良い刺激の工夫(彩りの良い盛り付け、食事ペースが同じ人と同席など)
■ 食事への注意の戻し方
■ 「次は○○を食べますか」などの声掛け
■ 手を用いて視線を食材へと誘導
■ 認知症の人の手にやさしく触れる
■ 本人の手に介助者が手を添えて、背後から食べる動作を支援

2. 食事の途中で立ち去ってしまう
■ 立ち上がる要因の調整
■ 立ち上がる原因となる刺激物の除去
■ 薬による影響の確認
■ 認知症の人の生活リズムに合わせて食事時間を設定
■ 食事量が不足している時は動きながらでも手に持って食べることの出来る物(おにぎりやパンなど)用意しておく
■ 移動ルートに食べ物を置いておく

3. 食事中に寝てしまい食べることが出来ない
■ 睡眠不足や疲れの解消
■ 食事時間帯の見直し
■ 睡眠薬等の見直し

4. むせて食べ続けられない
■ 食事前の適切な座り方(ポジショニング)
■ 飲み込みやすい食べ物の選択(冷たいゼリーやとろみの活用など)
■ むせる食品の見直し(味付けの工夫や好みの食べ物へ変更
■ 急速と活動のバランスの調整、体力つくりに向けた支援
■ 嚥下体操などのリハビリ
■ 飲み込んでいる最中は話しかけない




以前と食べ方が違う場合


1. 食べるスピードが早い(早食い)口にたくさん食べ物を詰め込む
■ 小さなスプーンや箸へ変更したり、配膳方法、食事形態、食器も小ぶりのものに変更するなどの目標

2. 適量が掬えなかったり(少なかったり多かったり)手を使って食べたり
■ 事前に1口にカットしておく
■ 自助具を使ってもらう
■ おにぎりやサンドイッチなどの道具を使わずに食べられる方法へ変更

3. スプーンを鼻へ運んだり、食器まで届かず空掬いする
■ 食器の持ち方や食べる動作のうち、出来ない部分のみ本人の手を介助者の手を添えて支援

4. 1つの食器からのみ食べ続ける、すべての食事を認知できず食べ残してしまう
■ 配膳方法の工夫・・丼ものやワンプレート方式やコース料理式など
■ 認知している場所に配膳(半側空間無視の場合は食べ残した食事を180度に回転することで食べ残しがなくなります)
■ 食べ物が見やすい食器の色・形の選択
■動作の継続・・食器を交換すると食べ続けられない場合は、手に持ってもらう食器内の食べ物がなくなる前に、介助用のスプーンで追加する(わんこそばのように追加する)

5. 時間帯や日によって上手く食べられる時とそうでない気がある
■ 上手く食べられる時と食べられない時で支援の仕方の変更。調整(過介助にならないように)
■ 生活リズムと薬の関係

高次脳であったり、認知症のところから食事が思うように進まないことがあります。
その時は声を掛けてみたり様子を見て介助するのか介入するのか確認するべきかと思います。




介護歴が約10年くらいの者です。これからの介護の未来とビジネスモデルについて色々思いあぐねています。介護の未来が明るものになるようにしていきたいと思っています。