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小説(SS) 「違法の健康エクササイズ」@毎週ショートショートnote

お題// 違法の健康


 ぼくらが公園のベンチで、学校から配布されたノートパソコンを開いていると、警察が近づいてきた。
 まずい。ぼくは友達の裕也と目を合わせた。
 いま二人で見ていたのは、日本で大流行している短期集中型エクササイズ「レニーズブートキャンプ」のDVD映像だった。

 正規品なら堂々としていられるけれど、ぼくらが見ていたそれは、友達の友達が焼き回しに焼き回しを重ねた違法の健康エクササイズDVD。映像の画質は著しく粗いものの、警察に見られてはいけないものだった。

 迷いなく、警察がこちらに向かってくる。
 横にいる友達の裕也が、それを見て立ち上がった。そして突如、手に持っていたバスケットボールでドリブルを始めた。

 ぼくにはわかった。裕也は、この場をごまかすために意味不明な行動をとっているのだ。

「うわあっ!!」

 不意に、裕也がわざとらしい声をあげて、転んだフリをしてぼくのノートパソコンを蹴り上げた。
 手から離れたノートパソコンが宙を舞い、画面を開いた状態のまま、汚い砂まみれの地面に叩きつけられる。
 だいぶ手荒いが、それは間違いなく、偶然を装った証拠隠滅のための行動だった。

「き、君たち、大丈夫かい!?」

 近寄ってきた警察が、裕也に気を遣う素振りを見せたあと、ノートパソコンに手をかけた。拾い上げる。

 まずい。ぼくは裕也と目を合わせた。地面に強打したとはいえ、画面がどうなっているかはわからない。

「あちゃ〜、いまので故障しちゃったみたいだね。映像が乱れててなにも見えないよ」

 ぼくはノートパソコンを受け取り、画面を見た。
 そこに映っていたのは、警察がくる前と変わらない、画質の粗いDVD映像だった。
 どうやらぼくたちの目が慣れすぎていただけで、蹴り上げる必要はまったくなかったようだ。

〈了〉739文字




ギリギリの滑り込みになってしまいました笑

少しだけ、展開の短縮化に慣れてきた気がします! ですがおわかりの通り、今回も字数オーバーです。次回こそは、と思います…

ではではまた来週〜


 

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