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小説(SS) 「夢のひととき」@毎週ショートショートnote #噛ませ犬ごはん

お題// 噛ませ犬ごはん  ※410字


 人数合わせで呼ばれた合コンだったが、友梨佳は喜んで居酒屋へ向かった。
 目当ては男ではない。タダ飯である。
 上京してひとり暮らしをしながら大学に通っているものの、実家からの少ない仕送りやバイト代だけでは大したものは食べられなかった。しかし合コンでは、好みの女性をものにしようと気合いを入れた男たちがご馳走を用意してくれる上に、ほぼ間違いなく全額を支払ってくれるのだ。友梨佳は自他ともに認めているが、決して美人ではない。だから男が付きまとってくるようなこともなかった。ごく稀に二人で会おうと言われたりもしたが、合コンのタダ飯ほど安全性が担保されていない以上、相手にすることもなかった。女友達にしてみれば、自分を引き立てるためのちょうどいい噛ませ犬と思ってるかもしれないが、タダ飯には代えがたかった。噛ませ犬ごはんは、友梨佳にとってそんなイベントだった。

 だからその日、居酒屋で運命の人に出会うなんて夢にも思っていなかった。

〈了〉410字



引越準備でバタバタしており、今回は〆切を過ぎてしまいました〜。
しかしだからこそ?、久々に410字に収まりました。

これから慌ただしい時期になりますが、
書くのは続けていきたいですね〜。
ではではまた。

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