小説(SS) 「出張暗殺サービス」@毎週ショートショートnote #親切な暗殺
お題// 親切な暗殺
そのサービスの見出しを目にしたときは、自分の眼精疲労を疑った。老眼というのもある。しかし、何度よく見ても、やはり書いてある。
〈出張暗殺サービス――特殊な暗殺技術を習得したスタッフが丁寧に対応します! 暗殺された人は、生まれ変わって新たな人生を歩める安心保証付き! 初めての方でもカンタンWEBお申し込み――〉
なんて親切な暗殺なんだ、と思った。
殺した相手を転生させてあげられるなんて、最高じゃないか。息子を殺そう! あの引きこもり野郎を! 年金が余ってしまって仕方がないし、この金が全部あいつに遺産として転がり込むなんて、想像しただけでも脳の血管が切れてしまいそうだ。まずい、今にも切れてしまう!
おれは、迷いなくカンタン申込みをした。すると間もなくして、インターホンが鳴った。
「こんにちは、出張暗殺サービスです!」
早すぎる、と思ったが部屋に通して座布団をすすめると、暗殺スタッフは笑顔になって口を開いた。
「実は、あなたを殺せと仰せつかっております」
まさか息子が、おれの金を目当てに――!?
おれの遺産で後払いするつもりか! 本当に救いようのないやつだ! だけどまあ、生まれ変わってみるのも悪くないかも!?
〈了〉508字
*
テンションが高いじいさんの話を書きました。
ポジティブなじいさんです。
最近はダークな話が多かったので、
明るい話(!?)にしてみました。
ではではまた〜
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