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そんな事ってある?

先日、次男が無事に専門学校を卒業した。
4月からは社会人になる。

この間高校を卒業したのに、2年は本当にあっという間だった。

高校の卒業式の日、一緒に車で学校に向かう道すがら、
次男は私に
「教室に帰ってから先生に花束渡す役するかもしれないからびっくりしないようにね」と言った。
びっくり?という言葉にちょっとひっかかったが、わかったとうなづいた。

式は滞りなく進み、各々の教室に戻る。
担任の女性の先生は、初めて担任を受け持ち卒業させる生徒という事で
先生側も、そして生徒側も、特別の思い入れがあるようで
強いきずなを築き上げていた。

次男の花束贈呈はこの先生に対してではなかった。
専門学科の男性の先生で、3月いっぱいで退職される方だった。
何人か並ぶ専門学科の先生の前に、何人かの生徒たちが花束を持ってやってきたのだが。

その中で、たったひとり、号泣していたのが我が子だった。
えー??そんなに??と確かに私はびっくりした。
普段、特にどんな先生とどんなことがあったのか、というエピソードなど聞いてないので、私からしたら初めましての先生なのだ。

みんなに「大丈夫??」って声を掛けられそうな程泣く次男から花束を受け取った先生も、ほろりと泣きつつ、次男の肩を優しく叩き
「ありがとう、がんばりなさいよ」と言われていた。

その後、その先生が自分たちのサポートを人知れずこっそりしていてくれた事。
それに気がつかない子が多くて、特に生徒から慕われてるわけではない先生だったけれど、自分はそういう誰にも気がつかれずに思いやれる先生が好きだったから、花束をあげる役を買って出たんだと話してくれた。

そんな微笑ましい素晴らしいエピソードを聞いて、私も感無量になった2年前。

ふとした時に、その事を思い出して、次男に
「あの先生、なんていう先生だったっけ?」
と尋ねたら…

「え?忘れた」

そんな事ってある??あんなに泣いたのに??
数日後には思い出して教えてくれたけど、心底ずっこけたし爆笑してしまった。
なんというか、泣いた事も忘れた事も、なんでも面白味のある次男である。

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