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聞き上手

今日、生まれて初めて「聞き上手」と褒めてもらった。
以前から聞き上手だと思っていたけれど、話しの聞き方講座の講師をできるくらいうまいと言ってもらえた。
一生懸命興味津々に聞いてますよって見えるらしい。

自分自身、もっと聞き上手になりたいと思いつつ、下手なのでこんなに嬉しい褒め言葉はなかった。

実のところ、バスガイドの時に人前で話しているのに、みんな聞いてるのか聞いてないのかわからない空気がとても辛かった。
なので、前で話してる人がいる時はおおげさなくらいうなづいたり、ほほえんだり、
「聞いてますよー!」アピールは意識してやっていた。

でも、一対一となると話は別で
それがなかなかできない。

それというのも、相手が話してる内容から、自分が話したいことが思い浮かび、
忘れてしまうかもしれない、どのタイミングで話そう?ああ忘れそう、忘れちゃう、とそっちばかりが気になって、もうそこから先の話はシャットアウトになってしまって申し訳ない。
今後、横にメモ用紙置いて、話の途中で自分の話したいことをチョコチョコと書いておくといいかもしれないと今思っている。

そんな私の特技のひとつに、チューニングを外してしまうというのがある。
ラジオのチューニングを変えるように、真横で話してる人の声をまったく耳に入らないようにできるのだ。
横の人はたまらない、頑張って話してるのに、まったく聞いてないのだから。

それで亡き義父によく怒られた。
義父という人は、すごいおしゃべりな人で、ほんとにつけっぱなしのtvみたいに、ずーっと話してる人だった。
内容は、私の知らない人の話題や、誰かのダメ出しや、自慢だったり、
要するに申し訳ないけど私にはあまり興味のないことが多かった。

なので、何時間もつづく義父の話に、私の集中力はだいたいすぐに事切れ
自分の脳内で、自分の楽しい想像の世界に入り込み、義父の存在は真横にいても遥か彼方に遠ざかり、楽しくルンルン過ごしてしまうのだけれど
それはだいたい見抜かれて、唐突に私に関する話題を言ってくるのだけれど、
それすら聞いてないので、「聞いとるんか!」と怒られる。

それを仕事中もやってしまうので(義父は社長で私はパート)よく注意された。
その癖は義父が他界して数年経った今も直ってはいない。
そこまでシャットアウトしてしまう相手はそうそういないけれど、
つけっぱなしのTVのように右から入って左からぬけてしまう話はよくある。

とはいえ、せっかく今日、褒めてもらえたので、聞き上手をめざしたい。
過去に出会った聞き上手な人は、どんな話題もよく聞いてくれて、さらにわずかな話も
大きく広げもりあげ、必ずラリーを楽しい方向にもっていってくれる人だ。
そのかたは、お店をされてるのだけれど、それはもうくる人来る人がその人との会話を楽しみにしてるので、いつも行列ができている。

そのお店の紹介はまたにすることにして、
とりあえず、今日褒めてもらった「一生懸命に興味津々で聞いている」というのを
心がけるようにしよう。


こんな話を書くと、あちらの世界で義父は「ほんま!人の話を聞かんやつじゃ!」
と思ってることだろう。

そして、私は「義父さん次に生まれる時はもう少しトーク力磨いて、聴きたくなる話をしてね」と思っている。



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