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思春期の少年 韓国ドラマ『夫婦の世界』から

https://note.com/mannennrou55/n/nff44e1fe336b

第1部では、小学生(6年生?)だったジュニョン。
第2部では、中学生になっている。
多感な時期を、コサン市という閉じた狭い地域コミュニティの中で、両親・父親の浮気相手とそれを取り巻く人間関係に否応なく巻き込まれて振り回される。

両親ともにジュニョンの親権を譲らず、自分に引き寄せようとする中で、ジュニョンはどちらかというと父親の方に親和的で母親に対して批判的になっていく。
父親にはっきりと同調するわけではなくとも、バランスを欠いた言動の目立つ母親に戸惑いながら、父親の存在と友達のようなかかわり方にリラックスする様子。
母親のソヌがすがるような目でジュニョンを引き寄せながらジュニョンを気遣う行為に依存する様子なのが気になった。母親としてのソヌの姿に嫌悪感を覚えた。
かと言って、無責任に浮気をして家庭を壊したあと若い後妻の実家に援助を受ける父親のもとに行って暮らして幸せだとも思えないが。
母親のソヌより身長は高くても、まだあどけない中学生は大人達の愛憎に振り回される弱い立場で、同級生が親から聞き齧った無責任な噂話にも傷つけられ荒れて、やっかいな扱いにくい少年になっていく。
母のソヌに対して、特に言動が刺々しくなっていく。
ソヌがそんなジュニョンの機嫌をとるかのような接し方をするのが、自分に引き寄せようとする駆け引きなのかと疑ってしまって、観ていてうっとおしく感じられた。

はっとしたのは、終盤、ソヌからの電話に「悪いんだけど、迎えにきてくれない?」と泣いて訴えるところ。

そういえば、子どもは、『より大丈夫な方の親』に対して、むしろ厳しく批判的な態度で接するものだ…!
判断力や言動が危なっかしく感じられる方の親に対しては、むしろ迎合しがちで、評価も甘い。批判的に接したりすれば、簡単に自分を見捨ててラクで楽しい方にフラフラと流れてしまうような親にはあまり厳しくしない。いくらなんでも危なっかし過ぎるとなれば、引いて大丈夫な方の親に頼るが。

子どもは、親が子どもである自分を利用してその結果自分の成長や将来が妨げられることをおそれ、嫌悪する。
弱い立場なのを認識していて、常に周囲とバランスを取りながら生きていくのに必死だから。

ソヌは、『より大丈夫な方の親』『どうあろうと、自分のことを見捨てたりしない方の親』だとジュニョンから認識されていたのだろう。

親といっても、生身の人間。
少年が考えるほどには頑健ではないのだが。


最後に、『夫婦の世界』を観ていて感じたアンバランスさ、ちょっとした違和感について。

小学生とはいえ中学生目前の子どもを、親たちは各自17時に退勤して迎えに行き、肩を抱いて撫でさすりながら連れ帰るのに、その子どもが夜寝室に入ったからと夫婦で(子どもをひとりにして)パーティーに出かける。

狭いコミュニティの中で、すぐ噂になってしまうらしいのに、元ミスコリアである有力者の妻は、主治医に回復したことを感心されるのに答えて「年下の恋人ができたの」と話す。

テオの誕生日パーティー、広々とした野外の会場に車で集まっているように見える。皆の飲み物、ワインのように見受けられるのは雰囲気作りの為にワイングラスでソフトドリンクを飲んでいるのだろうか。


いろいろ、考えることの多い、濃い(濃すぎる)ドラマだった。
いっときも安心して観ていさせてくれないドラマだった。
登場人物誰もクセがあって、好きにはなれないけど、観て良かったかも。


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