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インディアンの手紙

「父は空、母は大地」と題されたインディアンの手紙という文章があります。

いまから160年以上前、アメリカ第14代フランクリン・ピアス大統領が、インディアンたちの土地を買って居留地を与える条約を結ぶ際に、自分たちの土地を離れざるを得なくなった当時のインディアン首長が大統領に一通の手紙を送りました。

ワシントンの大首長へ
そして未来に生きる
すべての兄弟たちへ

はるかな空は涙をぬぐい
きょうは美しく晴れた。
あしたは雲が大地をおおうだろう。
けれどわたしの言葉は
星のように変わらない。

ワシントンの大首長が
土地を買いたいといってきた。

どうしたら
空が買えるというのだろう?
そして大地を。
わたしにはわからない。
風の匂いや水のきらめきを
あなたはいったい
どうやって買おうというのだろう?

すべてこの地上にあるものは
わたしたちにとって神聖なもの。
松の葉のいっぽんいっぽん
岸辺の砂のひとつぶひとつぶ
深い森を満たす霧や
草原になびく草の葉
葉かげで羽音をたてる
虫の一匹一匹にいたるまで
すべては
わたしたちの遠い記憶のなかで
神聖に輝くもの。

わたしの体に血がめぐるように
木々のなかを樹液が流れている。
わたしはこの大地の一部で
大地はわたし自身なのだ。

(引用『父は空 母は大地 インディアンからの手紙 FATHER SKY, MOTHER EARTH』寮美千子編・訳 篠崎正喜画パロル舎刊)

大地は誰のものでもないのに、なんで人間はそれを区切って自分のものと主張してるのか、何億という金をかけているのか、そもそもいったい土地とは何なのか。

地上を生きるすべての人はいま一度原点に帰るべきだと思います。

このスピーチは人から人へと伝わりさまざまなバージョンがあるようですが、アメリカでは大変有名で多くの人が知っているそうです。

でも知っていることと、真に理解することは果たして同じでしょうか。

手紙の最後はこうしめくくられています。


だから白い人よ。

わたしたちが子どもたちに伝えてきたように
あなたの子どもたちにも伝えてほしい。
大地はわたしたちの母。
大地にふりかかることはすべて
わたしたち大地の息子と娘たちにも
ふりかかるのだと。

あらゆるものがつながっている。
わたしたちが
この命の織り物を織ったのではない。
わたしたちはそのなかの
一本の糸にすぎないのだ。

生まれたばかりの赤ん坊が
母親の胸の鼓動をしたうように
わたしたちはこの大地をしたっている。
もしわたしたちがどうしても
ここを立ち去らなければ
ならないのだとしたら
どうか白い人よ
わたしたちが大切にしたように
この大地を大切にしてほしい。
美しい大地の思い出を
受けとったときのままの姿で
こころに刻みつけておいてほしい。
そしてあなたの子どもの
そのまた子どもたちのために
この大地を守りつづけ
わたしたちが愛したように
愛してほしい。いつまでも。

どうか いつまでも。


#日記 #エッセイ #インディアンの手紙 #自然



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