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【掌編】靴底
「靴底」
あなたの靴の、その靴底が右ななめに擦り減っている。私はそっと指先でななめに削れたラインをなぞる。
両の足とも右側の削れたあなたのその靴からは、あなたの身体の使い方、在りよう、息づかい、生活、人生が滲み出る。
あなたに履きつぶされて打ち捨てられた何十というあなたの靴たちも、同じに擦り減っているのだろう。
あなたに履き慣らされてあなたの身体に馴染んだ靴のその靴底。
私は知っている。
あなたはいつも右手で鞄を持ち、左手に私を置く。
並んで歩く時も眠るときも、眠らない時も。
いつかあなたに打ち捨てられた時、私の身体も右ななめに擦り減っているのだろう。
あなたの身体を感じる右側ばかりが擦り減って。
履きつぶされて打ち捨てられた何十という靴たちと同じように。
あなたに履き慣らされてあなたの身体になじんだ、私の身体。
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マナ
パフォーマンスユニット"arma"(アルマ)主宰。朗読とダンスが融合した自主企画公演を上演している。ミュージカルグループMono-Musica副代表。キャストとして出演を重ねている他、振付も手掛ける。
ここには掌編小説の習作を置く。
お気に召さずばただ夢を見たと思ってお許しを。
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