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目指せ変人マスター

わたしがいま、職場で言われたいランキングぶっちぎり1位です。 「優秀だね」とか「気が利いてるね」とか「素直だね」よりも「変人だね」の一言がほしい のです。

だって「変人」って、最高の立場だから。


会社なり学校なり家族なり、どこであろうと人が複数人集まればそこは社会になります。 そして悲しいかな、社会の構成員である限り、他者から何かしらの評価されることは避けよ うがありません。人とのコミュニケーションや社会生活は、「自分がこのように振舞ったら 相手はこのように振舞うだろう」という憶測を前提として行われているものですから。
 だから、どうしたって人と話すときにはお互いが話しながら相手の評価をしていますし、何 かを頼んだり協働したり、はたまた雑談の際にもその評価を、いわばラベリングを基に相手 の反応を期待するものです。
これは社会として、当たり前のこと。会社でも理想の配属は従業員が最も高いパフォー マンスを発揮できる部署にいるほうが利益は高くなりますから、数字に強い人は経理に、 トーク力が高い人は営業、人をよく見ている人は人事といったように、「この人はこんな人だ」という評価を基にして采配されるはずのものです。まぁ、現実はそう上手くはいかないものですが、今回は置いておきます。

でもやっぱり、そうしたラベリングはしんどくもあるのです。「明るいね」と評価されて も、大失恋した次の日は笑う気分にはなりませんし、数字に強くたって、時には計算間違えもするでしょう。 やっかいなのは、一度そういったラベリングをされると、そこから逸脱した行動をしたとき に相手に混乱を与えてしまうことです。勝手に相手が混乱して、ちょっと落ち着いた後にラベリングを消去もしくは上書きをしてくれるなら大した問題ではないのですが、悲しいかな大抵そう上手くはいきません。心ない言葉をぶつけたり、他の人にちょっと盛って話したり、 それらが絡まりあって人間関係がこじれたりと、メンドクサイ思いをすることもあります。
ラベリングされたって、その一面だけがわたし全部なはずなわけないじゃんか。


が、変人は割となにしても許されるんです。そもそものラベリングが「変人」なのだから、
ちょっとくらい突飛な行為をしたからといって、「あの子は変人だから」で収まるのです。
なんて気楽なんでしょう。人が他者にラベリングをするのは防ぎようがないけれど、そのラ
ベリングが「変人」であれば何をしたって変人は変人のままです。だから、その日によって言動が大きく左右されやすく、かつ人間関係に興味が薄いわたしにとっては、これ以上ないくらいのありがたい評価なのです。

そして、わたしがほしいのは正面切ってわたしに直接「変人だね」と言われることです。本人がいないところで言われる変人は、やっぱりマイナスな意味で使われることが多い。で も、直接言われるということは、わたしと相手との間で「ちょっとした軽口を言えるくらい の関係を築いている」、「相手はわたしのことを嫌ってはいない」、「その社会の義務(仕事や協働)をきちんと果たしている」ことが前提となっています。相手からすると「仕事もちゃんとするし害を及ぼしはしないけど自分には理解しきれない部分がある」といった人物、それがわたしの目指す変人です。義務は果たしていますからないがしろな扱いは受けませんし、変人でもありますからいわゆるグループとも距離を置けます。それにラベリングを基に何かを要求されることも少ないのです。あぁ、なんて素晴らしきかな。

無論、こうした「変人」の立場を得るためには工程があります。職場であったら仕事ができるようにならねばお話になりませんし、職場の人たちとそれなりの信頼関係を築く必要もありますから、 一朝一夕にはいきません。とんでもないアクシデントがない限り、地道にコツコツ積み上げていくしかないのです。


あぁ、長く遠い変人への未知。お前の魅力を知ってしまってからにはもう手放せないぜ。

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