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『ラブ・アクチュアリー』を観て、最も心に刻まれた人物とシーンについて。

自粛期間中に、映画やドラマをNetflixやAmazon Primeで観た人は多いと思う。一方、私は全然観ていなかった。

例のごとく、つまらない思考にとらわれてしまって、映画を観るというよりも、散歩にふらりと出たり、紙粘土工作したり、つまらん思考を絶つために本を読んだり、逆に仕事に没頭しようとしたりしていた。

昨夜は、ふと、そうだ、映画観てみよう!と思って。ほっこりしたい気分に浸りたかったのである。幸福感に浸りたかった。

だから、選ぶ映画はラブコメにしようということで、ずっといつかは観ようと思っていた『ラブ・アクチュアリー』を選択。

開始直後に、これ、クリスマスの話やんけ!と季節感が真逆だったのは、アラと思ったものの、ロンドンは懐かしいわ、ブリティッシュアクセントが聞けるわ、何より面白いわ、ということで、ストーリーに夢中になった。

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結論から言うと、心はほっこりと温かく幸福感で満たされ、かなり気持ちよいまま眠りにつくことが出来る映画であった。登場人物のそれぞれの恋愛模様が描かれながらも、全ての恋が独立しているわけではなく、人間関係では家族や知人であり、どこかで繋がっているという設定も、ひとつの作品として、共感を誘う感じで良かった。映画の選択に誤りはなかった。

だけどね、終始ハッピーだったわけではなく、めっちゃ心が痛んだ場面もあって。(ここから先は、一部ネタバレあるので、まだ観ていない方はスルーしてください)

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登場人物の中の英国大統領の妹・カレンは、愛情深い2児の母であるのだけど、夫・ハリーの職場のパーティに参加した際、夫が若くて美しい秘書・ミアとダンスする様子を見て、動揺することから始まる。

ずっと、子どもの面倒を見て、良い母であり続け家庭を守ってきた彼女にとって、雷が落ちたような衝撃が走ったことだろう。

「これまで築き上げてきた、平穏だった(と思っていた)のは、私だけ・・・?」そんな気持ちを抱いたのではないか。そこから、少しずつカレンからハリーへ疑念が湧き始めてしまうのだ・・・。

そんなある日、クリスマスプレゼントを買いに、ハリーとカレンは一緒にショッピングに出かけるのだが、ハリーはミアにプレゼントを期待されるあまり、カレンが別の場所に買い物に行っている隙を縫って、ジュエリーショップでネックレスを購入しようとする。(店員の対応が遅くて、結局その日は購入出来なかったのだが・・・) 

そして、クリスマス1週間前、家族でワクワクしながら、プレゼントを開封することになる。カレンは、開封前にハリーのポケットにネックレスの入った箱があることに気付いており、それを自分へ買ってくれたと信じて、同じ箱のプレゼントを選ぶ。

しかし、開封すると、そこには、ネックレスではなく、CDが入っていたのである。つまり、ネックレスは他の女性=ミアへの贈り物だったことが発覚するのだ。

開封した瞬間の、想像と違ったものを目の当たりにしたときの、カレンの心の激痛を想像しただけで、涙が流れてしまった。そして、ハリーとミアの関係に対する疑念がやや確信へと近づく・・・。

ショックのカレンは、何事もないかのふりをして、部屋に逃げ込みひとり涙を流す。しかし、この涙は家族の前では見せられない。数分の間にきちんと気持ちに区切りをつけ、笑顔で、何事もなかったように再び家族の前では振る舞うのである・・・。

独身の私にとって、これは驚き以外のなにものでもなかった。カレンは強い。母は強い。。絶対に、自分ならその場で泣き崩れるだろう・・・。

「長年、家族として築き上げてきた信頼関係、私の家庭への貢献、一体、なんだったの?」こう感じるに違いないと思い、私の胸も痛くなって一緒に涙した。一瞬で気持ちに区切りをつけ、ハリーと子どもの前で平静を装えるなんて、強くて立派な女性だと思った。

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クリスマス・イブ当日、子どもたちの降誕劇を観に行くが、劇の終わりにハリーに問うのである。そして、ハリーは「私がバカだった・・・」と。

目の前にある、平穏な日々はいつ崩れてもおかしくない、特に人生生きていれば、人間関係について、このようなショッキングなことが起こることもあると思う。男女関係かもしれないし、友人関係かもしれない。

でも、改めて、ここで大切なことは、いかなるショッキングな時も、「自分を保てる」ということなんだろうな、と思った。カレンのように。瞬時に泣き崩れるのではなく、冷静になり、自分を失わないメンタリティを身に付けること。

それは、自分を信じる・相手を信じる、日頃から大切な人への気配りをすることで少しずつ積み上げられると思う。ないがしろにしない。感謝は伝える。ちゃんと信頼関係、築いていこう、そう思った。

幸福感に包まれる、クリスマスのラブコメだったのはもちろんだけど、私はこのカレンとハリーの事情が最も印象的だった。カレンの強さが一番心に残ったかな。素晴らしい母であり、妻であり、女性であると思いました。素敵な映画でした!ありがとう。


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