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中江広踏の旅の記録
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#韓国旅行

韓国の旅 #3

雨の釜山    小説にも書いたように、1972年、当時、大学の文学部に在籍していた私が、朝鮮史の勉強をしようと決意したのは、当時出版されたばかりの、司馬遼太郎「韓のくに紀行」を読んだせいだった。司馬さんと同じ、在日韓国・朝鮮人の多い大阪に生まれ育ったにも関わらず、朝鮮半島の歴史や社会のことをほとんど知らないことが恥ずかしく思えたからである。「韓のくに紀行」は、「加羅の旅」「新羅の旅」「百済の旅」の3つの章からなっていた。その「加羅の旅」の最初の訪問地が釜山だった。(司馬さん

韓国の旅 #2

 新羅の古都慶州  ソウル駅を出発したセマウル特急は、次の目的地である、慶州をめざして快調に走りつづけた。朝鮮半島の各地を結ぶ鉄道網は、ほとんど日本の植民地時代に完成した。私は特に鉄道ファンというわけではないのだが、今、手元には、新潮「旅」ムックの一冊である、「日本鉄道旅行地図帳 歴史編成」の「朝鮮・台湾」編がある。薄い本であるが、カラー刷りの地図や歴史的な写真がたくさん収録されていて、眺めているだけでも楽しい。そこで紹介されている路線図を見ると、ソウル(京城)と釜山を結ぶ

韓国の旅 #1

旧朝鮮総督府 1993年   今月(2020年9月)、韓国に関する新書を2冊読んだ。黒田勝弘さんの「反日VS.反韓」と春木育美さんの「韓国社会の現在」。黒田さんは、もう在韓40年になるそうだ。現在の肩書きは、サンケイ新聞のソウル駐在客員論説委員。この人の著書は数十年前から愛読している。やはり、韓国を内側から長年観察してきた人の文章は説得力がある。でも、書いている内容は、最近数多い、「嫌韓商売」人たちやネトウヨとあまり違わない。でも、黒田さんは、「妄言記者」などと攻撃されなが