哀れなるものたち
本年一発目の観る会は『哀れなるものたち』を。野生としての理性という提案が好い。野生ゆえの危うさが、そのまま文明社会へのアンチテーゼと化す様を皮肉っぽく描き出す。主人公ベラの成長譚(?)は教養主義の脱構築にも見える。
最近読んでいた本が澁澤龍彦の『東西不思議物語』なる怪奇譚集で、本作のベラという存在も例に漏れず如何にも澁澤好みなのだろうな、なんて思ったり。
そう、中盤に登場するアレクサンドリアの造形が宗教画チックで良かったんだっけ。主人公の好奇心に釘を刺すのが、ヘレニズムの舞台と言える地の彼是であることは面白い。熟々、フェニミズムの文脈のみで語ることが勿体ないと感じるスケールだ。
Jerskin Fendrixの手掛けた楽曲もまた頗る宜しい。世界観に即した奇怪な旋律とどこか重厚なトーンは作品をより味わい深くする。否、映画音楽としても特筆に値する"作品"であろう。アカデミー賞の作曲部門へのノミネートにも大いに頷ける。撮影は個人的にはあんまり好みではなかったけれど...
このくらいで、今季も観る会を宜しくお願いいたします...!!
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