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観た、コットンテール

今月の観る会はリリーフランキー主演の日英合作映画『コットンテール』を。先月に観た『コット、はじまりの夏』といい"コット"には間違いがないのやもしれん。リドリー・スコットの『テルマ&ルイーズ』も年始であったか─

そんなことはさておき。家庭の軋轢と、贖罪からの和解、そして継承をも描き出す本作。イギリス湖水地方の風景は言うまでもないとして、極端なカメラワークやイメージを繋ぎ合わせるカットの数々は、ラストに至るまで危うさを孕んだ美しさを画面に留める。リリーをはじめとする俳優陣の演技には言うことなし。

息子を自身の世界(≠親の世界)へと受け入れなかった主人公。自らの内に沈めた愛は誰に向けられたものであるのか、己に対してか、過去に対してか。その答え合わせがなされたとき、死せる妻、そして母親は生ける親子を隔つ壁を溶かした。散骨の画は雄弁である。

終幕前、野兎を追う孫娘と息子嫁の姿に、姥捨 ─これも本作と重なる部分はある─ を描いた小説『楢山節考』と同様の"血を超えた継承"を垣間見た。

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