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冬はつとめて

ガルシア・マルケスの短編を。吐き出した煙に乗って、四つの島を巡る。それは濃密で、優雅な旅。珈琲の苦味宜しく、本を閉じたのちも欧州の乾いた空気だけはその場に居座り、矢張り冬一一 そう、スイートな冬を漂わせている。

夏の日の出來ごとが秋の感覺を伴つて想ひ出されることもあり、秋のことが晩春の甘い色に染まつて想ひ出されることもある。

阿部知二『冬の宿』

冬なる季節と重なる彼是は多いもので、それは忍耐であったり最期であったり、陰鬱さや高潔さ等々、挙げるとキリはない。四季のダイナミズムに人生を重ねたと思えば、精神の中に冬を見出してみたり、と様々あって愉しい。

平泉金色堂(部分)

そう、川瀬巴水の絶筆も雪景色で、その参道を往く旅人の姿に、孤高の生をみたものであった。

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