見出し画像

外国語はどうしたら習得できるのか

多分もう何千万人(もっとかな?)が今までに考えてきた、考えつくされたテーマだと思う「外国語の習得」。そんな大それたテーマに新しく付け加えることは何もないんですけど、私の周りでも「どうやったら○○語ができるようになるんだろう」みたいな話をよく聞くので、自分なりに考えてみました。

■目的をもつこと

そもそも何をもって「習得」とするのかも定義が曖昧ですが、それこそ自分の目的にあわせて考えればいいんです。

TOEICとTOEFLで問題の傾向が違うように、ビジネスマンが英語の会議に出ても困らないように英語を習得するのと、研究者が英語論文を書くために英語を習得するのでは求められるスキルや語彙が異なってくるでしょう。どっちがレベル高い低いではなくてね。

「でも文法は必須だよねー」…というわけでもなく、例えばバックパッカーのように世界各地を不自由なく旅したい人にとっては、正しい英文法を習得するよりも英単語やフレーズを詰め込んだりリスニング能力を高めたりするほうが役に立つのではないでしょうか。会話には最低限の文法知識があれば問題ないでしょう。たとえば過去時制がわからないと結構つらいけど、過去完了形がわからなくても普通の会話では困りません。

何をもってその言語を「習得」したとみなすか。そのラインもその人の目的によって変わるもんです。言語を習得するために一番大事なのは目的なんだよってお話。

じゃあ、目的が特になく、なんとなく外国語を勉強するとどうなるのか?
これは実体験ですが、ほとんど上達しません!!!笑(語学が趣味の人の場合は違うと思います)

私は外国語ばっか教えてる東京のはずれのほうにある大学の学生だったので、なんとなく面白いかなとマラヤーラム語(インド・ケーララ州の言語)とベンガル語とチベット語とスワヒリ語を履修してましたが、このうちベンガル語以外はほとんど話せないまま終わりました。文字や文法も履修が終わって数日後には忘れているレベル。まあ、私がめちゃくちゃ不真面目な生徒だったということもあるんですけど。

なぜベンガル語だけ少しはできるようになったかというと、ベンガル語圏の街・コルカタにホームステイしていたことがあって、その家族や友人と連絡を取る時にベンガル語を使えたら面白いだろうなという考え(目的)があったからでした。韓国語も少しわかるんですが、これも会社で仕事をしていたときに韓国向けの取引をしていて、そのうち一人で出張に行かせてもらうようになったので、嫌でもやらなくちゃいけなくなったからです。

 ■単語力を鍛えること

「習得っていっても目的によって必要なレベルやスキルが違うよね。まず目的を持とうね」っていう前提みたいな話をしました。次に大事なのは単語なんじゃないかと思います。

勉強で大切なことはいかに継続するか、です。当たり前だけど、語学だってやり続けないと上達しません。(ものすごい天才は除く)
で、そう考えると単語を覚えることはやっぱり大切です。

語学のスキルは主に「リスニング(聴いて理解できること)」「リーディング(読んで理解できること)」「ライティング(物事を書いて伝えられること)」「スピーキング(物事を話して伝えられること)」に分けられますが、単語を知らないと何にも理解できないし何にも伝えられない。それだと面白くないので勉強するモチベーションを維持できない。少なくとも私は無理っす。

単語より文法を優先する人もいますが、先にも言ったようにぶっちゃけ日常会話でほぼ使わない文法もあるので、目的によって文法にどれくらい重きを置くか決めればいいと思ってます。

■馴染みのない文字の場合は?

ヒンディー語みたいに馴染みのない文字の場合は、文字が読めるようになることも大切ですが、まあ、これも会話が目的の人なら後回しにしても良いと思います。けっこう大変ですが、アルファベットやカタカナで無理やり表記できるしね。

ちなみに自分は文字を真っ先に叩き込みますが、それは現地調査をするために「文字を読むこと」が必須だからです。あと、私は単語を書いて覚えるタイプなのも関係してます。

■単語の記憶と忘却曲線

さて、単語をどうやって覚えるか。
これが多分、色んな人がつまづいてるところなんじゃないかなーと思います。自分も単語を覚えるのは苦手だし、10年やってるヒンディー語だってまだまだ語彙力が未熟です。

単語を覚えるのは、よっぽど記憶力の良いおばけみたいな天才じゃないかぎり、地道にやるしかない。とにかく繰り返すこと。ていうかそうじゃない方法があるなら教えてほしい。

書いて覚えられる人、見て覚えられる人、聞いて覚えられる人、色々組み合わせて覚えられる人と、方法自体は色々あると思うんですが、記憶には忘却曲線ってのがあるんで、覚えたことは時間経過とともに必ず忘れます。脳みその構造が同じである限り全員そうです。前日に学習した単語の1割未満しか翌日覚えてないっていう事例もあるそうな。

記憶を維持するためには、定着するまで何度でも繰り返す必要がある。

昔通ってた予備校の先生が「覚えたものは忘れるために覚えていると思え」「忘れて記憶して、を繰り返していると、そのうち覚えたという実感もないまま自然に出てくるようになる。それが“定着”だ」みたいなことを言ってました。

というわけなんで、単語帳に何回も同じ単語を書いてしまう、何度も同じ単語を辞書で引いてしまう、前日覚えていた単語が出てこない、みたいな話は当たり前なんです。
それでも心折れずに、馬鹿みたいに何度も同じことを繰り返すことで、ようやく単語を覚える(定着させる)ことができるんです。

人によってその繰り返しの回数は異なると思います。それはたぶん、記憶力の良さとか要領の良さとかが関係してるんでしょう。あと、実際に会話の中や作文の中で使ってみると繰り返す回数が減るような気もします。インプットだけじゃなくてアウトプットしたほうが良いってことですね。なんでなのか知らんけど。

私は要領が悪い人間の典型例みたいなやつなので、一つの単語を覚えるのにめちゃくちゃ時間がかかります。1ヵ月以上かかっても覚えられない単語があります。時々、「岡本さんは語彙力あるよね」って言われるけど、それは10年間、忘れては覚えて…を馬鹿みたいに繰り返してきたからです。もっと要領良い人なら10年で私の倍は覚えられる。

それでもインド関係の仕事で食べていくことを目的にしている限り、ネイティブ並に言葉が話せるようになりたいと思うし、単語をもっとたくさん、深く知りたいと思う。

要するに、単語を覚えるには「心折れないこと」が大切だなと。忘れて覚えてを繰り返すのが基本。

■まとめ

というわけで、語学習得は「目的」と「単語力」が重要という、私の個人的見解でした。
私は自分が文化人類学の研究者だということもあるので、言語はコミュニケーションのためのツールだと思っています。その地域の言語が使えることで円滑になる・構築できる「人との関係性」というものがあります。言語行為が人間関係のベースにある。これだけは間違いなくはっきり言えることです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?