④無痛分娩について

私は助産師なのですが、自分の病院は無痛分娩をしていません。助産師学生のときの実習先のクリニックで無痛分娩を行っている所はありました。

無痛分娩はたいてい10〜15万円前後に値段設定されているところが多いかと思います。そして無痛分娩での死亡事故が時折ニュースになり怖いイメージを持つ方も多いかもしれません。そして無痛分娩だったけど痛かった、などと聞いたことがある方もいるかもしれません。

無痛分娩は硬膜外麻酔と言われる背中から入れる麻酔を使用します。順天堂はこれに加えて脊椎麻酔も使用します。脊椎麻酔は協力で、盲腸の手術の時に意識があるのにお腹から下が全く痛みの感覚がなくなって手術するといったことを聞いたことはありますか?それと同じです。なのでうまくかかると本当に痛みを感じません。しかし、しっかりかかるとお腹から下の足が動かなくなったり腰が挙げられなくなったりするので、分娩の最後にいきみを入れないと行けない時にいきめず、結果吸引分娩や鉗子分娩と行った赤ちゃんを医者が機械を使って引っ張り出す分娩方法になることがあります。
順天堂での麻酔で本当にすごいなと思ったのは、痛みはほぼ感じないのに、足腰がしっかり動かせたことでした。また、医者が30分間隔で来てくれて「痛みはどうですか?」と確認してくれることです。痛みが強いようだったら薬を調整しますとのことでした。私は少し痛くなってきたタイミングでフラッシュすることで問題なく無痛状態でいれました。そして、無痛分娩を患者が望んだタイミングで開始できることも素晴らしいなと感じました。

私が実習でみた無痛分娩は正直ひどいものでした。無痛分娩は開始のタイミングを誤るとなかなか分娩にならないと言われていた時代がありました。なのでどんなに患者さんが「もう無理!無痛して下さい!」と懇願しても、「まだまだ早いですよ。もうちょっと頑張らないと。」などと言って本人の希望から8時間後度我慢させて、子宮口が10センチの全開近くになってからやっとお薬を入れていました。知識のない患者さんは文句を言うこともなく「すごい!楽になった〜!」と言ってそこから1時間程度でお産お産になっていました。

無痛分娩は通常の分娩に比べて確かにリスクは増えます。なので医師の少ない重症を見れないクリニックでは、長時間無痛分娩をしたくない気持ちもわかります。私が働く病院は周産期医療センターというある程度医者の数もいてハイリスクな患者さんを見れる病院ではありますが、産科麻酔医がいない中産科の医者だけで行うことはマンパワーも足りないしやはりリスクがあるため無痛は行わない方針となっています。

クリニックの無痛が悪いわけではなく、ちゃんと産科麻酔医がいる病院もありますし、本人の希望したタイミングで入れてくれる病院もあるので、無痛分娩をご希望の方は、自分が入れてほしいタイミングで入れてくれるのか確認することをおすすめします。また、無痛分娩中に胎児心拍モニターをずっとつけているのかも大切だと思います。それらを確認し、産院を選ばれたほうがよいのでは?と考えます。

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