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私は「ピコピコ少年」に感化される痛いゲーマーなんだよ


【はじめに】


普段、漫画のレビューとか感想なんか書かないし、別に詳しくもないからゲームの時のように知った風な感じすらも出せないけど、気がノッたから書く。

2016年。高校時代。

入学して半年ぐらい経った後、めでたく"高二病"を発症した私は、自分の存在意義(笑)とか同じ考えの仲間(笑)を探し求めていた。

きっと私のような鉛で覆われた気持ちの人がどこかにいるはず。そんでもって、そんな人が私の気持ちをスパッと代弁してくれているはずだと。

私は学校が終わると即座に藤沢駅まで向かった。

広場があってその隣にはオーパとビックカメラ。

その通りでいつも雑誌を売ってるホームレスのおじさん。

駅を真っ直ぐ行って、湘南ゲートの横にある階段を降りるといつも寄ってるタイトーステーション。

まだ半年しか経ってないのにここの情景は何も見ずに描けるぐらい目に焼き付いた。

小田急に乗って、町田に向かう。今日は町田のゲーセンに行こう。勿論、近くのブックオフも必ずチェックだ。

電車に乗るやいなや、すかさずスマホを取り出して音楽を聴く。「相対性理論」や「Flipper's Guiter」、「大槻ケンヂ」、プレイリストは私が厳選に厳選を重ねていた。総再生時間は61分。丁度電車に乗って家に着くまでの時間だ(途中で寄り道するからこんな再生時間なんか意味なかったが)。始めの曲は筋肉少女帯の「香菜、頭をよくしてあげよう」、終わりの曲は相対性理論の「ムーンライト銀河」と決まっていた。

電車の車窓から見る夕焼けは綺麗だった。私の薄汚れた青春と対比すると・・・それはもう残酷なぐらいかけ離れていた。正直、藤沢は綺麗な町ではない。自然も無いし、どこか寂しい感じがする。ただ、ちょうど帰る時間にこんな夕焼けが見えるからという理由で私は春と秋の藤沢が好きだった。高校の時は、この帰る瞬間が一番ときめいていた。

町田に着いてゲーセンで遊んだ。ブックオフにも用はないのに寄った。町田は良い。人は結構いるのに、新宿とかと違って居心地が良かった。

そんで、意味の無いのに近くの新百合ヶ丘にも足を伸ばす。ブックオフとヴィレッジヴァンガードに寄るためだ。ここのブックオフは中学生の時によく寄ってたな。ここでレトロゲームを漁るのが好きだった。あまりにも好きすぎて全ての値段を言えるぐらいだった。あぁ、ずっと売れ残ってたサクラ大戦1&2が売り切れてる。

ヴィレッジヴァンガードも私のオアシスだった。所狭しと並ぶキャラクターグッズ。天井に届く本棚に敷き詰められた漫画やファンブック。こんなの誰が買うんだというおもちゃ。たまらなかった。好きだったんだ。

ここで、私は立ち読みをする。「70年代のカルト映画50選」とか「絶対にモテる男の方法」みたいなのを読んでた気がする。お金が無いから買わなかったが、来ては読んでたので、内容は覚えてる。

漫画も読んでた。といっても私は漫画にあまりハマれないタチだったので、一巻だけ読んでは次の漫画へ…というのを繰り返していた。そんな私だったが、特に好きで読んでいたのが押切蓮介の「ピコピコ少年」だった。

私は衝撃だった。ガロのような妙におどろおどろしい絵柄も好きだったが、何よりも押切先生自体の体験談がまさに、これ私じゃん!だったのだ。

来ては読み、来ては読みを繰り返していたので、ドケチの私ですらもついに財布の紐を緩めた。家に帰っても読みまくった。あぁ、やっぱ同志もいるよな〜

【マンガ紹介】

押切蓮介氏による「ピコピコ少年」シリーズ。

あぁ、この漫画めちゃんこ好きなんよな〜 あぁ…

氏の作品で言うと、「ハイスコアガール」がやはり先行して挙げられることがあるけど、私からしたらあれはゲーム漫画じゃない。恋愛漫画や。なんかリアルじゃねぇのよ。ゲーマーって感じがしない。


そうそうこんな感じだ。当たり前だが、ゲーム好きを公言している奴はうんこだ。私もそんなうんこの一員なので、ゲームが好きだし愛している。勝手ながら私がうんこ代表を自称させてもらうよ。
あぁ、うんこうんこ。

特にゲーセンに通ってるうんこは強い。忍耐力が違うよ。この時代のゲーセンは相当ヤバかったらしいが、私は体験できなかった。あぁ、こんな時代に生まれたかった。だが、今のゲーセンにいるうんこ達も中々の猛者だ。家にいれば何千とあるゲームの選択肢を無視してゲーセンにある数十台にあるゲームを極めている。すげぇよ。私も5年ぐらい通ってたけどもう冷めちゃったよ。はぁ…


現実では糞でしか無い奴だが、ゲームの中では無敵だ。普通なら学業や色恋に使う所を全て指先のコマンド入力に注いでるからな。頭の中では「誰か!褒めてくれ!ほら!今のかっこよかったろ!?なぁ!?」と叫んでいるが、勿論怖いから口には出さない。気色悪い。不気味だ。だが、ゲーム上ではそんなうんこよりも弱いのはうんこじゃない奴らだ。崇めろ。膝まづけ。ははは。は…

・・・・・・・

何これ。こんなのあっていいの?現実だけでなくゲームですらも?これを見て私も幼い時に学校で1番ぷよぷよが上手いと豪語していたら可愛い女子にボコボコにされたのを思い出したよ。そんなの出されたら私はどうやって自分を保てばいいんだよ。悔しかったなぁ。はぁ…

ただ、私と違う世界に生きてて憎いアイツのことがどうしても気になってしょうがない。こんな世界に似つかわしくない華。美しすぎる。

・・・・・・・

酷すぎる屈辱だ。どうしてこんな仕打ちをなさるんだ神様。同じうんこのはずだろ?何で…

そんで、強ぇ。それはもう努力では埋められん程の。自分がいかにちっぽけで惨めな存在かを愛するゲームで知る。なんて無様なんだ。この回を先に見てるからハイスコアガールを楽しめないのかな。ハルオもあっち側だろ。はぁ…

もう負けを認めるしかない。どうしても勝てない奴がいる。それを早いうちに知れただけでも収穫だ。本当は叫んで川の土手でも走ってやりたいが、現実ではそんな度胸ないうんこ野郎だ。

氏が描いた自伝に完全に当てはまった訳では無いが、私は少なくともそっちの人間だった。私の方が同じ趣味で盛り上がれる友達がいなかった分、酷かったかもしれない。シンパシーも感じるし、胸を抉られる苦しさも感じる、そんな漫画が「ピコピコ少年」シリーズだ。

【まとめ】


この漫画を買ったヴィレヴァンはもう無い。まぁ人あんまりいなかったもんな。ファミコンとかも売ってて好きだったんだけど。でも、思い出だけは私の中で生きてる。この漫画のおかげで思い出を無くさないですむ。

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