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ゆとりのゲーム感想「東方永夜抄」


【はじめに】

【ハード】Windows11
【メーカー】上海アリス幻樂団
【発売日】2007/8/17
【購入日】2024/9/2
【定価】1540円(税込)
【購入価格】1540円(新品)
【初クリアまでの時間】25時間

今年の4月ぐらいから本格的に志した縦シューティング道…初回はガンバードを何とかノーミスクリアした。しかし、クリア時間に50時間もかかってしまった。それが個人的に悔しく、何か別のシューティングでリベンジを果たしたいとはずーっと思っていた。

そして、シューティング道2回目に選んだソフトは個人的に意外なソフト。

唐突ではあるが、私はキャラゲーが好きではない。ゲームの要素としてキャラの魅力、というものがあるが、あれを全面的に押し出しているゲームは苦手だ。といっても、どんなキャラも好きになれない、ということではなく、ロックマンとかソニックとか普通に好きなキャラはいるが。

ただ、SNSとかでゲームそっちのけで只管キャラのイラスト描いてる人いるだろ?ああいうのが本当に理解できないんだよ。そこまでキャラに心酔したことが無いから。ゲームが好きな人と話して、
「このゲームはどういう所がいいの?」
と聞くと、
「キャラが本当に良いんだよ!(お目目キラキラ)」
みたいな返答が返ってきたら、リアルに😅みたいな顔をしてしまうんだ。しかも、キャラしか話さない人とかになってくると、そのゲーム、キャラしか魅力無いんかいって思ってしまう。あと、ゲームにおいてキャラを求める人は、ゲーム性についてはあまり言及しない人が多いイメージだ。これは全くの偏見だが。

で、そのキャラゲーの代表例の1つが「東方シリーズ」だ。

これでは無い。・・・まぁ東方ではあるが

恐らく、このキャラを見てちゃんと「東方」のキャラだ、と認識している人はもうあんまりいないんじゃないかな。そう、某動画サイトで小銭稼ぎとして使われることが多い2人だ。特にこの2人の知名度は半端ないが、元がゲームだっていうことも意外と知られてないかもな。ゲームのキャラとして生まれたはずなのに、悲しい性だ。

じゃあ、何のゲームが元ネタかというと、PC同人のシューティングだったりする。ここまでキャラが先行して有名になったのは、東方ぐらいだろう。

話を戻すが、私は東方のファンは面倒な人が多いと思っているので、東方そのものも何となく避けていた。あと、ゲームの本編が個人的にPCでしか遊べないというのが、あまりやろうとは思えなかった。

・・・なのだが、私の友達で滅茶苦茶東方が好きな人がいて、その人に、

「マンホール君さ、東方めっちゃ面白いからやってみてよ!(お目目キラキラ)」

ってまた言われたんだ。それでこっちもまたもや😅みたいな顔をしてしまったのだが、ちょうど縦シュー熱に火がついていたこともあって、その人に東方が売っている場所とオススメのタイトルを教えてもらった。

某秋葉原…

私はとある雑居ビル内にある東方シリーズ専門店に足を運んでいた。うーん、店内に響き渡るBGMがシャカシャカうるせぇ…いや、いい曲だな。

そこで、購入したのが「東方永夜抄」である。

上海アリス幻樂団から発売されている
「東方永夜抄」

パッケージ裏にも「弾幕、弾幕」としつこく書いてあるので、まぁ弾幕ゲーなのだろう。東方シリーズの中でも簡単な方らしいので、ガンバードで慣れた私にぴったりなタイトルだ。今度は東方に慣れるぞ。ゆっくりしていってね!・・・うるさい。

【概要】

「東方永夜抄」は2004年に上海アリス幻樂団から発売された同人PCゲームである。全6ステージ+α

・・・うん、えーっと、まず上海アリス幻樂団って誰やねん。調べてみる。

なるほど、この上海アリス幻樂団というのがいわゆる"サークル名"らしい。といってもサークル主催者のzunがメインとなって開発したみたいだが。

で、このゲームは一般的なルートで発売されたものではなく、コミケで限定的に売り出されたものが始まりらしい。私はコミケについて全く詳しくない(エロい漫画を沢山売る場所というのは知ってる)ので、東方シリーズがその時点でどこまでの知名度だったかは分からんが、後に同人ショップで普通に売られるようになるのだから、すごい成長ぶりである。

発売ルートとは別に、この作品の位置づけもややこしいことになっている。まず、東方シリーズには製作者のzunが大学生時代にリリースした"旧作"と言われるものと、社会人を経て再度サークル活動を再開した時にリリースした"Windows版"というのがあるらしい。今回プレイしたのは、Windows版なのだが、旧作というのは、正史といっていいのか分からない立ち位置の作品群を指しているとのこと。というのも、この旧作、入手するのが非常に困難であり、手元にあってすぐにプレイできる人は非常に限られる。なので、この作品は東方シリーズの中で8番目の作品だが、現行遊べるものとしては、3番目にあたる作品となっている。

うーん、面倒だな。これが同人ゲーである所以か。しかし、こんなことはファンの間では周知の事実らしい。私も一応知ってはいたが、他のゲームに当てはめると、すごくマニアックな知識だろう。東方の人気たるや・・・

さて、ゲーム本編は前述の通り、弾幕ゲー。しかも、怒首領蜂や虫姫さまのような自機の当たり判定が小さく、その代わり弾の数が膨大である、という感じ。操作もオーソドックスでショットとボム、と言った感じでシンプル。ここまでの説明だと至って普通の弾幕ゲーだが、本作は少し特殊なルールの下で進めていくことになる。
それが、今作はチーム戦である、ということ。

プレイ前にチームを選択する

ここで、恐らくゲーム内容なんかよりも高く評価されているストーリーを紹介。

ある晩夏の満月の日、幻想郷で異変が起こった。本来ならば満月であるはずの月はほんの少しだけ欠けており、完全な満月といえるものではなかった。それは人間たちにとってはまったく問題の無い事であったが、月の光に依存する妖怪たちにとっては死活問題であった。

月の異変に気付いた妖怪たちは、人間のパートナーを引き連れて調査に出かける。また、原因を突き止める時間を稼ぐため、夜の進行を止めた。このため後の幻想郷の人間の間では、この異変は「夜が明けなかった」異変(永夜異変)として記憶されている。

主人公たちは幻想郷を駆け巡るうちに、竹林に隠された館「永遠亭」に辿り着く。ここで、真の満月を隠していたのは、月の姫の蓬莱山輝夜とその従者の八意永琳であることが明らかになる。

罪を犯して地上で隠遁生活を送っていた輝夜と永琳は、月から逃げてきた玉兎の鈴仙・優曇華院・イナバを匿っていた。鈴仙を通じて得た月の情報から、満月の晩に月の使者が訪れると知った二人は、罪人である自分たちが使者と会うのはまずいと考えた。そして、真の満月を隠して偽の満月にすり替えることで、使者が自分たちのところへたどり着けないようにしていたのだった。

永琳と輝夜との交戦の後、幻想郷に真の満月が戻った。

また、幻想郷自体が強力な結界に守られているために、月を隠さずとも使者は訪れられないことを知った輝夜ら永遠亭の住人は、竹林に篭もることを止め、幻想郷の住人として暮らすようになった。

東方永夜抄 該当Wikipediaより

・・・うむ。私の中で東方とは女の子がキャッキャウフフしてるイメージなんだが、思ったよりも壮絶な話みたいだ。有名な霊夢や魔理沙が人間側で、おそらく前作や前々作で戦っていた敵が妖怪側なのだろうが、今回は、幻想郷全体の異変を解決する為に共闘する、という感じなのかな。実際やってみると、作中のセリフ一つ一つがすごく重々しい雰囲気を醸し出しているのもあり、前作前々作のストーリーが気になったが、本作だけでは何がなにやらさっぱりだった。というか、固有名詞も結構あるし、人間(妖怪?)関係も複雑だと思うのだが、こんなのを東方好きの兄ちゃん姉ちゃんらは一つ一つ覚えて楽しんでるのか…?だとしたら感銘物である。

ストーリー的に「人間と妖怪が力を合わせて敵を倒す」というものになっているので、ストーリーをクリアする以上、人間と妖怪のタッグを選んで進むシステムとなっている。

選べるチームは4つ。1組2人なので、8人のキャラがいるわけだが、それぞれ機体性能が異なる。移動速度やショット、ボムに相当するスペルカードの効果等、多種多様だ。中でも特質な点は、チームにそれぞれに特殊能力が割り振られており、チームを選ぶ材料としてこの部分に着目されることが多い。例えば、私が選んだ霊夢+紫チームだと、当たり判定が小さく、やられた時にボムを打てばミスを帳消しにしてくれる「喰らいボム」を受け付けてくれる時間が長い、という能力を持つ。他には、妖夢+幽々子チームだと、ステージをクリアした際に、持っているボムの数が2つ以下だと、次のステージに行った時にボムの数が1つ増える、という能力がある。

チーム戦ということで、自機を2つ操作することになるのだが、そこまで難しい技術は要求されない。ゲームが始まると、最初は人間側の自機を操作することになっている。その時に妖怪側にチェンジするボタンを押し続けている間は、妖怪に変えることができる。ややこいが、押し続けている間なので、妖怪側で進めたい時はずっとそのボタンは押したまんまだ。何もボタンを押していない時は人間に戻る。

人間と妖怪の性能差だが、概ね異なっている。人間側は移動スピードが早く、ショットが広い、妖怪側は遅い代わりに範囲の狭い高火力なショットを打てる、こんな感じだ。ザコ敵は範囲の広い人間側で進めて、弾幕を打ってくるボスは動きの遅い妖怪側で精密な動きで掻い潜る。これらが攻略の定石と言えるだろう。

他にもラストスペルや刻符というスコアラーに向けた要素もあったが、今回スコアは気にしないプレイだったので割愛。

モードについて。シリーズお馴染みのエクストラモードやプラクティスモード、道中で流れるBGMを堪能出来るミュージックモードも搭載。元々、縦シューというアーケードで人気だったジャンルにも関わらず、ユーザーに配慮した作りで好感が持てる。
中でも特に気に入ったモードは「スペルプラクティスモード」だった。はっきり言う。素晴らしい!全シューティングに搭載して欲しいくらいだ。どういうモードかというと、東方のボス戦は通常攻撃とスペルと呼ばれる弾幕によって構成されている。このスペルを1つずつ練習できるのが、スペルプラクティスモードだ。これはありがたかった。これによって自分が苦手なボスの特定の技を何度でも練習できる。さらに、ボス戦を練習するためだけにステージを最初から攻略する必要も無いわけだ。ただ、これは東方の攻撃パターンが完全に固定化されているからできる術なのかもしれん。他のシューティングでもやって欲しいな・・・

・・・と思ったらこのスペルプラクティス、東方の一部のシリーズにしか搭載されていないという。何じゃそりゃ。特別な理由でもあるんかな。でなきゃ、おそらく好評であろうこのモードを入れない理由が無いと思うし。はぁ…

概要は以上。

【感想】


実は、この東方原作シリーズなんだが(外伝やらファン作品が多すぎて原作かそうでないか分類せにゃならん)、初めて触れた訳では無い。今回オススメしてくれた方とはまた別の人が東方風神録、というのを私に貸してくれた。といってもろくに遊びもせずに返してしまったが。タイトルを見た時では、あの時と印象はあんまり変わらない。しかし、今回はガチでやる。腰を据えてちゃんとエンディングを見る。しかも、ガンバードと同じくノーミスクリアで。行きますか(キリッ

・・・うむ、言わずとも分かるだろう。名に恥じぬ弾幕ゲー。弾がシュンシュン飛んでくるゲームだ。

こんなのや、

こんなのがいっぱい。シューティングの感想書くのって難しいよな。視覚や手の感覚を文字で伝えることが特に難しいジャンルだと思う。

で、まぁやってみて最初に思ったのが、この人間と妖怪を切り替える、というのがパターンを確立させるシューティングにおいて、初心者でも分かりやすいような形で導いているのが分かった。他の縦シューでも道中のアイテムで装備を変えて…みたいなことがあるが、初心者には覚えること多すぎだろ、と萎縮させてしまうことが多いと思う。

しかし、このシステムではボタン一つですぐにショットの切り分けができてやりやすい。ザコ敵は霊夢、ボスは紫、と初めて縦シューに触れる人でも簡単にショットを使い分ける重要性を身につけることができる。特に自機の移動スピードも変わるのが、弾の避けやすさに起因しているのもあって慣れれば慣れるほど、このシステムの良さが手に染み込んでくる。このシステムも本作だけなのかな?少々もったいないな。

次に驚いたのが、弾幕の種類の多さである。よくもまぁ、こんな千差万別な弾を用意したものだ。シューティングは例によってパターンゲーなのだが、この弾幕をどう避け切るのか、と頭の中で何度も何度もシミュレーションを重ねる必要がある程のアクションゲームの遊びも持っていた。ただ、暗記して覚えるのではなく、ちゃんと考える面白さを意図した弾幕となっていた。しかも、一見、闇雲に打たれたように見える弾幕もプレイに慣れて上手くなった後だと、「ここで避けれるな」と勘づくことができるようになっていく。計算され尽くされているというか、手のひらの上で遊ばれているような感じだが、これは天才にしか許されない所業である。ライトなゲーマーならまだしもある程度面倒なゲーマーならすぐに粗やツメの甘さに気づいて指摘するからな。厄介な奴だ全く。厄介で結構!

ゲーム難易度についてだが、理不尽さは感じられなかった。ただ、「これ本当にノーマルの難易度か?」と感じることが多々あった。特に酷かったのは、4面の魔理沙と5面の優曇華院。特に魔理沙は絶対4面に置く難易度ではない。このステージで1〜3面までに稼いだボムを殆ど使用する羽目になった。

STAGE4ボス魔理沙より
「恋符マスタースパーク」

ボムを枯らされた後の5面の難易度も相当であった。弾幕自体は魔理沙の方が圧倒的なのだが、ノーミスクリア前提だと、使えるボムが3個程度しかないので、いくつかのスペルカードは自力で避けることを強要される。正直、優曇華院の方が魔理沙よりもしんどかった。毎回弾の位置が変わるスペルカードもあって、最後の最後まで安定しなかったボスだ。もう二度と戦いたくない。

難易度の選択もイージー・ノーマル・ハード・ルナティックと細かく分けており、初心者から歴戦の猛者まで幅広く楽しめる。しかも、難しくなるにつれて敵の攻撃パターンが増える、というただの水増し要素となっていないのが作者の心意気を感じる。同人ソフトの出来では無いな。ルナティックとなると、常人では避けれない程の弾が飛んでくる。1度ハマれば長く楽しめそうだな(遠い目)。

ただ、当たり判定についても把握するのには時間がかかったし、ムカついた。前述の通り、自機の当たり判定が小さいのは分かってはいるんだが、問題は弾の当たり判定である。

例えば、↓の写真の緑色の大きい弾、

これのどこに当たり判定があるのか?というと、

ここである。しかし、そんなものが正確に分かる判断材料は勿論、画面上には現れない。いや、分かるわけ無いだろ。実際、何度も繰り返しプレイして発見するまで、分からない仕様であった。はぁ…

1周が短いのはありがたかった。通しでも1CCなら30分切りできる。先程述べたスペルプラクティスモードとも相まって自分が練習したい所、遊びたい所がガンガン遊べた。

インターフェイスはかなり良好。というか2004年のものとは思えないほど、見やすくて親切。モードは充実しているのに、ごちゃごちゃしていない。初めて遊ぶ人にも分かりやすいものであった。

曲・サウンド面について。実は、東方シリーズをちゃんと触れたのは今回が初めてだが、曲は昔からある程度は知っていた。特に、私が2012年頃にニコニコを見ていたこともあって、東方の曲を使ったmadや原曲を用いたゆっくり実況等で聞き慣れている曲も多少はある。ファンの中ではキャラクターの次にといってもいい程、音楽は高く評価されている。私も東方の曲でお気に入りのものは何曲かあり、「信仰は儚き人間の為に」という曲は今まで聴いたゲームソングの中でトップに入る。

それで永夜抄の曲についてだが、私は魔理沙のテーマぐらいしか知っている曲は無かった。しかし、本作でお気に入りの曲を見つけることが出来たので、サウンド面は評価したい。3面の道中の曲が好きだ。音楽については、詳しくないのであまり語ることはしたくないのだが、音楽というのは、プレイヤーに臨場感を与え、ゲームの世界観をより一層立体的に見せる為に使われるものであると考えている。本作は作者の本作に対するリスペクトや愛が伝わった。安い言葉ではあるが、何度でも聴きたくなる曲ばかりだ。

キャラクターについて。散々言われている事だが、東方で一番高く評価されているのはキャラである。今作でも敵も含めて、15人ぐらいのキャラがいて、それぞれのキャラを検索すると無数にファンアートが存在する。しかも、資料集なんかもあり、ゲーム中では明かされていない細すぎる設定も出てくる。中にはキャラのオンリーイベントも開催されているらしく、もう圧巻というかナンダコレ状態。広すぎる世界である。

感想はこんな感じ。

【まとめ】


さて、シューティング道。また一つ歩を進めることが出来た。さらに本作は、非常に楽しませてもらったこともあって、東方自体に興味も出てきた。他作品の購入も絶賛検討中である。

また、PCゲームというのを本格的にやったのも本作が初めてだった。今回の体験により秋葉原等のPCショップにまで食指が伸びていくようになったのは嬉しい副産物だ。

今何となくつけてるビジョンとしては初代雷電をクリアできるような実力が欲しいなと。雷電はPS版で持っていてかなり難しいので、もう少し他の縦シューに慣れて挑戦したい。

ふぅ、今年は本当にレトロゲームやってねぇな。いや、トルネコ2とかPS1なんだけどさ、今でもやってる人いるし。ファミコン星人だったワシはいずこへ…はぁ…




このゲームは同人ショップ等で店頭販売されているので、簡単に購入できるだろう。Steamで販売されていないのが残念である。他の一部作品はSteamで購入できるので、公式が販売してくれるのを待つしかない。

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