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月と六文銭・第十四章(34)

 田口たぐち静香しずかの話は続いていた。厚労省での新薬承認を巡る不思議な事件の話に武田は引き込まれ、その先の展開に興味を示していた。

 高島たかしまみやこはターゲットであるパイザーのネイサン・ウェインスタインに身を任せて快感曲線を急ピッチで上り始めていた。

~ファラデーの揺り籠~(34)

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 ネイサンは、自分の舌、右手、そして左手をシンクロさせて、確実に都をイかせる準備が整ったと思い、心に余裕が生まれた。焦る必要もない。もうこの女は自分の脈拍と同調していて、間もなく絶頂を迎える。絶頂を迎えたら、次は合体を望むはずだ。正直に言えば、毎回、男性器で女性を絶頂へ導くことは不可能だ。
 しかし、僕には神から与えられた力がある。これがあれば、すべての人は僕の言うことを聞く。そして、それは今夜、都に注ぐ。忘れられない夜にするため、僕は神から与えられた力を彼女に注ぎ、天国に導く。
「あぁん、ネイサン、イってもいいの?イきそうよ!はぁん、気持ちいい」
 ネイサンは舌も左右の手も自分の心拍に合わせて動かし、都の心拍もいつの間にかシンクロしていた。あぁ、あぁ、あぁ、あぁ。そして、吐き出す息も、漏れる声もネイサン心拍にシンクロした。自分の心臓が宇宙の中心となり、すべてがそれに合わせて動いている。錯覚ではない。
 そろそろ力を注ぐ。そうだ、都、腰を振ってごらん、気持ちがいいだろ?君と僕は今、シンクロしているのだ、一緒に高まって神の国を覗こう。
 都は胸を包んでいるネイサンの手に自分の手を重ねた。
「ミヤコ、イってごらん。イっていいよ」
 都はクリトリスと両乳首を同時に攻められていた。重ねた手からは自分の力を注いだ。都は一気に体が熱くなり、クリトリスから脳天をめがけて電気が駆け上がった。
「あん、イく!」
 本当に電気で痺れているかのようにビクビク体が震え、イった。クリトリスは多分大きくなって、包皮から顔を出していたのだろう、ネイサンの舌のザラザラした表面が分かるようだった。乳首も硬くなり、その先端は彼の指の表面の指紋の溝が分かる気がした。

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