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自分の好きだった作品を振り返る(その6)~ユニクロ編

続きです。

就職活動したけど全く内定がもらえず、1社だけ内定をくれたユニクロに入社することを決めた私。

ユニクロでの勤務スタート

ユニクロは3月から新しい年度が始まるので、入社式は3月1日です。山口にある本社で3泊4日の研修を受けて、基本的なことを学んで、その後、店舗に配属されました。

当時のユニクロでは、入社した社員は全員、店長にならないと次がありませんでした。本部でMDをやりたかろうと、服作りに関わりたかろうと、まずは店長を目指すのが基本でした。

社長の柳井さんや人事の方々は「入社半年で店長に」と話してましたが、私は「そんなの無理やろ」と思ってました。

思ってましたが、同じ店舗の新入社員の男性が半年で店長になりまして。「あ、入社半年の社員に店長、任せちゃうんだ」と驚いた記憶が…。半年で店長になったのは400人入社して、3人くらいです。そのうちの1人が同じ店舗だったという偶然。

お店だから土日も勤務し、盆休みも正月休みも勤務でした。大学時代の友達とも、恋人とも、家族とも、すっかり疎遠となりました。

常にイライラしていた日々

この記事にはユニクロで働いていた時期の中で最も最低な時期について書きました。ユニクロ時代はとにかくイライラ、ピリピリしてました。1年に1回しか会わない親に、性格が変わったとまで言われたので、中々に酷い言動だったのでしょう…。

転機となった店長の一言

上の記事で書いた店舗に配属される少し前。まだ社員(店長代行)だった私はある時、レジで商品の袋詰めの補助(サッカー業務)をしていました。

たまたまレジの横を通った店長から「matsubi.さんは早口だから、ゆっくりしゃべりなさい。スタッフだって隣でまくし立てられたら落ち着かないよ」と言われました。

一瞬、ムッとしましたが、この時の店長は大変尊敬できる素晴らしい方、私の恩師とも言える方で、私は「彼の言葉には従う」と心に決めていました。

「では」と、その日から意識して「ゆっくり話す」ことにしました。

ゆっくり話す、ゆっくり話す。最初は呪文のように頭の中で唱えていました。

ゆっくり話すために、大きく口を開けた方がいいかな?ゆっくり話すために、相手を見て、呼吸などのリズムに合わせて間をとった方がいいかな?

だんだん、工夫するようになっていきました。

意識ではなく、行動を変える

店舗で店長に言われたのは2002年の話なのですが、あれから18年くらい「ゆっくり話す」を意識して生きています。ゆっくり話すと、姿勢まで変わってくるのか、ユニクロを辞めた2008年頃から「話しやすい」「聞き上手」と言われることが増えました。

これをきっかけに「人の意識など変わらない。意識が高かろうが低かろうが、行動によってしか、結果は生まれない」といったある種の諦観を得たのは本当に良かったと思っています。

行動を変え、習慣を変え、だんだんと他者からの見え方が変わる。他者の反応が変わることで、自分自身の見え方、捉え方が変わり、意識も変わっていくのであって、最初に意識を変えることなど出来ないと私は考えています。いわんや、他者の意識なんて、変えることなど出来ません。

変えられるとすれば、未来における、自分の行動だけです。

ビジネス書を読み始める

ユニクロでは落ちこぼれ社員だったので、少しでも学ぼう、追い付こうと、ビジネス書を買って読むようになります。

チーム運営、リーダー論、マネージャー論…。ユニクロにいた7年間で、軽く100冊、200冊は読みました。本に書かれた言葉をもとに、具体的に行動を設定し、行動から変えていきました。

印象に残ってるビジネス書…は…ほとんどないですね。ビジネス書に書かれたメソッドはどんどん陳腐化していくので、最新のビジネス書を読みながら共通項を見つけ出し、普遍的な法則を自力で編み出していきました。

この頃から「物事の仕組み」≒「システム」に興味を持つようになります。構造を分析して行動レベルに落とし込み、業務をシステマチックに行うことは出来ないか。ぱっと目に付く無駄を省くのではなく、全体最適というか、仕組みを変えることで無駄を省いたり、効率を上げることが出来ないか、などと考えながら仕事をしてました。

ユニクロでは「マニュアル」を記憶してテストを受けたりしますが、私はマニュアルを暗記してる人でした。上述したように、仕事をシステムとして捉えると、「業務をマニュアル化する」といった結論に辿りつきます。ユニクロのマニュアルは出来が良かった。出来の良いマニュアルに触れたことで学べたことも多いです。

荒れていく生活

ユニクロでの勤務はハードでしたが、学ぶことも多く充実した日々でした。しかし、引っ越しが多く、半年1年でどんどんと引っ越してたので、ゲーム機は箱に入ったまま。パソコンもネット周りの手配が面倒で、放置したまま。アニメは録画するのが面倒で、見なくなっていきました。

唯一、続いていたのが漫画で、お金はあるし、友達や恋人に会えず暇なので、毎日のように本屋を覗き、立ち読みしたり、単行本を表紙買いしたり、大人買いしたりしてました。

漫画は好きで日常的に読んでいましたが、ユニクロに入社してからは大事に読まなくなりました。この時期は「消費するように」「雑に食い荒らすように」漫画を読んでいた気がします。

仕事のストレスなのか、仕事の虚しさなのか分かりませんが、漫画を読むことで自分の心の穴を埋めてるような感覚もあって。毎日本屋で3冊とか4冊、月に3~5万円分くらいの漫画を買ってました。でも、あまり記憶に残ってはいないという…。

ユニクロでの勤務は得難い経験も多かったんですが、私という個人がだんだんと疲弊して崩れていった時期だとも思います。

読んだ作品の中で記憶に残っているもの

古いけれど名作と言われるものをたくさん読みました。スタッフに勧めてもらうこともありました。

よしながふみにハマる

今でも好きで読んでる、よしながふみさん。デビューコミックが雑誌で紹介されていたのをきっかけに読み始めました。就職後のタイミングで紹介してますが、よしながさんの作品年表(Wikipediaの年表)を見ると、大学時代に既にハマってるはずですね。『こどもの体温』を「Wings」で読んでました。

絵が私の好みではないんで、よく読んだなあ、と。店頭に置いてあっても、買ってないと思います。

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BLとか関係なく、物語の紡ぎ方、心理描写が最高に素晴らしく…。いや、BLとしても面白いのだけれども。読んで「すごいわ、この人…」と思って、当時出てた『月とサンダル』も買って。これもまた素晴らしくて。

社会人になってから、コミックスだけでなく、『SLAM DUNK』時代の同人誌も、池袋に行って全部買う…みたいなことまでやりました。金も暇もあったんで。同人時代からうまかった…。

よしながさんは『愛がなくても食っていけます』という、実際の店が登場するコミックエッセイのような漫画を描いているのですが、これに登場するパン屋に行くため阿佐ヶ谷にも行きました。

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料理漫画は元々好きでしたが、『孤独のグルメ』を超える作品とは中々出会えなくて。『愛がなくても食っていけます』は作者が料理を知ってる感が強く、面白かった。ドラマ化された『西洋骨董洋菓子店』、4月からドラマが始まる『きのう何食べた?』も面白いですね。

でも私は『大奥』だな…。『大奥』大好き…。今作はある種のSF、思考実験なんですけれど、日本って戦国時代にも男名の女性が城主として活躍してますんで。『大奥』は事実を使って大きな嘘をついてるんですが、事実であってもおかしくないバランスで好きです。

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羽海野チカ作品に出会う

『ハチミツとクローバー』と出会ったのは就職活動中じゃないかな…?当時、新宿マイシティ(駅ビル)の書店で、1巻と2巻を平積みにして、手描きのボードを置いて大々的にPRしてたんですよ。たしか。

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ただ、私は羽海野さんの ↑ のような表紙絵も、どちらかといえば苦手だったんで、手に取る気にならなくて。「ヤングユー」での連載を読んで、漫画として面白いと思えたから、やっと買った感じですね。

私は『ハチクロ』のラストが好きで。はぐみは恋愛ではなく、絵を選ぶ。絵を描いて生きていくことを決める。当時は非難ごうごうだったし、納得のいかない読者も多かったけど、はぐみを1人の独立した女性として描き切ったのは素敵だったなあと。

修ちゃんのキャラ激変については、当時の漫画誌だと仕方ないんじゃないかな…?と思ってました。結末は恋愛成就にするしかないっていいますか。当時は「女性の自由な生き様」を描いても、ピンとこないというか。共感してもらえる雰囲気はなかったと思うのです。

…などと思っていたら、『3月のライオン』で『ハチクロ』キャラが再登場したんですよね…。、私の思い出を汚さないで~!!!て感じでした。作者の描きたい気持ちはわかるけど、作品をぶち壊すのはやめて欲しい…。『ハチクロ』のラストは作者の意思によるものではなく偶然だったのね、て気持ちになりました。残念。

ガラスの仮面

文庫版で23巻までかな?大人買いして一気読みしました。なるほど、これは名作と名高いのもうなずける…と感心しました。面白かった。

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『ガラスの仮面』は演劇というテーマだったり、物語の展開が面白いだけでなく、やっぱりキャラクタが良いですよね。マヤも亜弓さんも、真澄さんも月影先生も。真澄さんのお父さんとかも含めて、人として必死に生きている感じがあって良いなあと。生き方や生き様に美醜はあると思うけれど、それぞれが必死に生きた結果という感じがするので、憎めない。

今でも続いているんですが、最後まで描き切って欲しい作品のひとつです。

スケバン刑事

ドラマ化で名前を知ったけど、読んだことはなかった作品。姉が面白いと話していたので、文庫版で全巻大人買いしました。

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これも面白かったなあ…。主人公・サキがなんともカッコ良くて。アクション漫画としても、ストーリー漫画としても出来が良い。ちらっとほのかな恋愛がある…くらいのバランス感も良かった。

和田慎二さんが亡くなって、男性少女漫画家がほぼいない現状はちょっといただけないですね。男性マンガ雑誌に連載する女性漫画家はたくさんいるのに。PNで騙されてるだけだったら良いのだけれど。

エースをねらえ!

こちらも文庫版で。もともと、出崎統さんが監督していたアニメ版(OVA版?)を見てて面白いと思っていたんですが、漫画を読んだらアニメ以上に面白くてもだえた作品。

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ひろみという普通の少女がテニスと、宗像コーチと出会い、人として成長していく姿が描かれるのですが、宗像コーチがなんともかっこよくてねえ…。なんともいえない、色気があるんですよね。美内すずえさんが描く紫のバラの人・真澄さんや、『ベルサイユのばら』のアンドレも色気があるんですが、宗像コーチの艶は半端ない。恐ろしい。

お蝶夫人もめっちゃ素敵でね…。キャラの高貴さ、高潔さが伝わってくるんですよ。絵もセリフも、表情も素晴らしかった。

読み終わって、「他に何を描いてるんだろ…?」と作者名ぐぐったら、現在、宗教法人で教祖をしていると書いてあって驚きました。

記憶に残ってない

ユニクロ時代はトータルで1000冊くらいの単位の漫画を読んでますが、本当に記憶に残ってない…。『働きマン』から安野モヨコさん、『のだめカンタービレ』から二ノ宮智子さん、『サプリ』からおかざき真理さんとかも読んでるんですが…細かい内容は忘れてしまっています。

ついに倒れる

ユニクロで勤務して7年目、早朝覚醒が起き始め、眠れなくなります。精神状態が悪いので精神科に通い始めましたが、ついに、動けなくなります。

そのまま2か月休職し、その後退職しました。

ユニクロを辞めた私はどうなっていくのか。

続きはまた次回。


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