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一番効率よくフルーツ大福をつくり、販売するためには? 冷蔵庫をパズルのようにはめ込んだ | 「覚王山フルーツ大福 弁才天 / 三軒茶屋・自由が丘・六本木」のお仕事

実用性にこだわり、生産効率と売上に繋がる本質的な設計を提案

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「理想の生産量・売上」から逆算して、設計をするのが大事◎

愛知県を拠点に、全国70店舗以上を展開している「覚王山フルーツ大福 弁才天(https://benzaiten-daifuku.jp/)」。関東圏にも店舗を拡大していきたいという意向を受け、Manekineko&Partnersは三軒茶屋・自由が丘・六本木の3店舗の設計からデザインまで手がけました。

三軒茶屋店の設計に初めて入った時、クライアントからは「セントラルキッチンとして生産力を最大化するために、可能な限り冷蔵庫を設置して欲しい」と言われていたんです。でも大福は冷蔵庫に直置きではなく、必ずトレーを使って保管している。となると、いくら冷蔵庫の容量が大きくても、トレーがぴったり収まらなければ余白が増えるだけになってしまいますよね。

そこで私たちは、「理想は一日いくつ製造・販売することなのか?」「なぜその生産力を求めるのか?」というクライアントのインサイトを知るためにヒヤリングを重ねました。いただいた要望通りに設計するのは簡単ですが、それが本当にクライアントの実現したい未来に繋がるかどうかを突き詰めるのが、私たちの仕事です。

各冷蔵庫のサイズに対し保管できる大福の個数をリスト化し、何度も検証を重ねて、保管効率・作業効率を最大化させる設計を導き出しました。

オーナーさんから過去の店舗についてお話を伺うと、ここまで緻密に検証を重ねた設計の事例がないということだったので、今後どんな設計会社に委託しても三軒茶屋店をモデルに効率的な設計が横展開できるよう、マニュアルと図面をお渡しすることにしました。

検証を繰り返したため時間はかかりましたが、本質的な設計を突き詰めることは、無駄なコストを削減する事にも繋がります。実際に六本木店では、冷蔵庫を単純に敷き詰める案から、100万円近くの経費削減に繋がりました

製造スペースを最優先し、コーヒースタンド式の売り場を提案

セントラルキッチンである三軒茶屋店は、つきたての大福を味わえる唯一の店舗でした(2020年11月時点)。最初は「売り場といえばお客さんが店内に入る場所」というイメージが強く、そのようにな設計も考えましたが、どうしても製造スペースを削り、お客さんの入店スペースをつくることになってしまいます。三軒茶屋店はセントラルキッチン。売上も大切ですが、生産能力は落とせない……。


そこで「売り場にはお客さんが入るもの」という観念を外し、コーヒースタンド式の売り場を提案することにしました。コーヒースタンド式であれば、売り場のスペースは最小限に抑えられます。こうして三軒茶屋店は、生産能力を落とすことなく販売も可能な店舗になりました。

弁才天三茶after_

各店舗の理想に応えつつ、「令和の老舗」を軸にデザイン

全店舗に共通している弁才天のブランドコンセプトは、「老舗和菓子屋4代目が作った新ブランド」。そのうえで、Manekineko&Partnersが担う3店舗は「令和の老舗」をデザインコンセプトとし、商品価格・品質に見合ったグレードを見せることにフォーカスしました。

クライアントが各店舗に使いたい素材や理想のイメージを伝えてくださっていたので、最大限に活かすデザインを提案しています。


【三軒茶屋店】
私たちは第一に、「外観は商品の器」と考え、フルーツ大福がより美味しそうに映るデザインを意識しました。弁才天は、朝から多くのお客様が商品を求めて行列をつくるお店です。お客様が外で並んで待っている時間も、フルーツ大福への期待が高まるように、全体的に白いお餅をイメージさせる、ふっくらとした設え(しつらえ)にこだわりました。
さらにディテールに金物を用いることで、上品・高価値な印象をもたせています。

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【自由が丘店】
オーナーさんから「茅葺き屋根にしたい」という電話を受けて、茅葺き屋根の業者さんを探し、秋田県から職人さんに来ていただきました。私たち自身も茅葺きを使ったデザインは初めての試みでしたが、職人さんから茅葺は耐久性が高く、環境にも優しいことが世界的に評価されていることを教わりました。特に最近、SDGsが話題ということもあり、意外にもヨーロッパで茅葺が人気らしいですよ。

「自由が丘に茅葺き屋根」というイメージが全くないので、一抹の不安もありましたが、この異質感が想像以上にとてもよく映えたんです。自由が丘のグレードにふさわしい、老舗の歴史を感じさせる重厚なデザインで全体を統一させました。

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【六本木店】

街のグレードに合わせつつアトラクティブな印象をもたせるために、数寄屋建築のような空間演出にこだわりました。
店内の照明は、大福を浮かび上がらせる演出のために、あえて強く緩急をつけています。映画館に行った時のように、店内にドラマチックな雰囲気をつくることで、お客さんの気持ちを高めるイメージです。

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◎ 私たち「Manekineko & Partners」については

◎ 覚王山フルーツ大福 弁才天と代表取締役社長大野さんについては



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