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街と対話し、街と遊べ!ストリートテクニックとはなんなのか?!

2020年1月19日、南浦和はKUNI HOUSEにて、ストリートテクニック初のイベント「ストリートイベントテクニック」が開催され、大盛況の中終わりました。

まずは来てくれた街頭技巧者の皆さん、そして、このような行先不明のイベントを開催させてくれたKUNI HOUSE店長、クニさんに感謝を述べさせて頂きたく思います。

皆様どうもありがとうございました!

DJやラッパーを本業とする出演者しかいないにも関わらず、一切、音楽的なパフォーマンスなしでも成立し、イベント後にも「めちゃめちゃ面白かった!」「最高だった!」の声を沢山頂くことができ、企画者一堂、非常に嬉しさ、手応えを感じることができました!

さて、
あの「ストリート美食テクニック」がこの世に誕生し、約2ヶ月半が経過し、そこから派生した街頭技巧(ストリートテクニック)がかつてない勢いで熱を帯びて来ている。(やっている方を中心に)

全国の手練れの街頭技巧者達の投稿もさることながら、また、それとは違った意味で異彩というか、独自の世界観を構築し始めているストテクカルチャーがある。

それが、Twitterに毎日動画を上げている「高野政所とメテオのストテク散歩」シリーズだ。

もちろん、すでに見てくれている方もいると思うが、イベントに来てくれたお客さんのように非常に面白がってくれている方はいるだろうし、それと同時に毎日流れてくる動画に対して「これの何が面白いの?」とか「ストリートキャッスルテクニック」っていきなり言われても。という方は沢山いるんじゃないかと思う。

確かにストリート美食テクニックの「コンビニで売ってるものをうまく組み合わせてより美味しいものを作り出す」ところから一ヶ月半でかなり遠い地平へやってきている事はこちらも重々承知している。

なぜ、このような状況になり、ストテク散歩がどのように行われ、その何が面白いのかを改めて説明していく事が必要だと思ったので解説していくことにしよう。

「ストテク散歩」はだ撮影役も含めて街頭技巧者3人〜4人のグループでだいたい一時間から2時間の間に知らない街を散歩する間に撮られた動画で、ひとつの長さは短い。
我々クラスの街頭技巧師になると2時間あれば20~40ほどのテクニックが発動するのだが、街頭技巧者は街を歩きながら、あらゆる建物、看板、張り紙、造形物、樹木、その他森羅万象に注意を払いながら歩く
そして、「ここでいける!」と思ったら「ストテク発動します!」と宣言し、周囲の安全に気をつけながらストリートテクニックを披露する。
基本は一発撮りで、NGも関係なく撮影するのが基本だ。

感覚としてはテレビでお笑い芸人がやる「モノボケ」に近い感覚があるのだろうと思うが、笑えなくても全く問題がないし、これを見た人が笑うか笑わないかは結果であって、笑わす事が主要目的ではない、が、結果的に笑ってしまう事が多い。

例えば精神に作用する"マインド系"のテクニックを得意とする街頭技巧師でラッパーのメテオの例を挙げて説明しよう。
彼はそのストテクの発動数もさることながら、初期の名作「ストリートマッスルテクニック」を編み出したストテク界屈指の天才技巧師と名高い男である。

シーズン1目黒編で発動したテクニックの一つ、「ストリート南国テクニック」


歩いていて住宅街の一般宅の庭先にソテツやフェニックスのような熱帯植物(に見えるような植物)を発見したら、それに対してアクションを考える。
彼はそれを「小学生の心になってみる」と表現する。

熱帯植物は南国のイメージがある→南国は暑い

「いやー、なんだこりゃ、だんだん暑くなってきたぞ。」と言う。

もちろん、その植物を見たからと言って、実際に暑くなるわけではない

そんなことは分かっているのだが、街中の熱帯系の植物を見ることによって、まるで南国に来たような気分になるという事がこのテクニックの肝であり重要な部分だ。

そういう気持ちなるためのトリガーが熱帯風の植物のビジュアルにはあるわけで、実際に暖かくなったかどうかは問題ではないのだ。

そしてそれを「ストリート南国テクニック」と呼ぶわけである。

それ自体が「技術」かと言われると厳密に言えば「テクニック」とは呼ばないのかも知れないが、普段全く着目することがない、見逃してしまうような庭先の南国風の植物に着目し、それを「南国テクニック」と表現するのは充分にテクニカルな行為であるといえる。

ここで大事なのは、街中にあるもの全て「街頭技巧視点(ストテクアイズ)」で見たときにそれを利用してできるリアクションを考えて実行することであり、街の状況、見える景色に最大限に感受性のチャンネルを開いて味わうことを楽しむのである。

同様にストリートキャッスルテクニックも、街の中の西洋の城址風に造作されたラブホテルを見るだけのものなのだが、それをメテオ曰く「小学生の気持ち」になり改めて「趣深い」と表現しているのである。


そのままじゃねーか!
しかし、そこで面白さを感じれる事が、より濃密で楽しい日常を過ごすための視点を思い出す事なのである。

もう一つ、関西の街頭技巧師でUNDERHAIRZというアイドルのメンバーでもあるラミーさんの例を見てみよう。
これは大阪在住のラミーさんが、全く行った事がない南浦和の街で発動したテクニックだ。


「ストリート今井美樹深読みテクニック」
は、今井美樹の名曲「PRIDE」と偶然見かけたスナックの看板が同名であることから、この店の経営者が今井美樹のお母さんではないか?という妄想をするテクニックだが、普通の人が完全にスルーしてしまうところで、街頭技巧センスを発揮したテクニックである。

「今井美樹」本人ではなく、「今井美樹のお母さん」と一歩深読みしていくメテオの「小学生の心」より若干の捻りがきいている所が街頭技巧者それぞれの感性が浮かび上がるところであろう。

「自分にとって当たり前に感じていることは、他人はそう感じていない」という視点の面白さをストテク散歩に見出す事ができるのも楽しみの一つである。

シーズン2、綾瀬の散歩も中盤に差し掛かり、とある100円自動販売機を発見した。道中にそれまでもストテクを連発して完全に街頭技巧脳がフル稼働している状態(これを「ストテクハイ」と呼ぶ。)になっていると、ひとつのシチュエーションで、複数の該当技巧師が変わるがわるテクニックを発動するモードになる事がある。

我々はここでストテクハイを迎え、この100円の自動販売機だけで、4回テクニックを発動することになった。

高野政所による「ストリートラッキーテクニック」
メテオによる「ストリートコマーシャルトゥルース」
高野政所による「ストリートキャッシュテクニック」
丸省による「ストリート巨根テクニック」
これらを見てもらおう。

これらはすべて同じ自動販売機で繰り出された街頭技巧である。

これを見てもらうと分かるように、同じシチュエーションが与えられても、各技巧者の流儀や発想が全く違うということがわかる。
ちなみに、同行者が面白い、良いテクニックを発動した場合「ナイステクニック!」と声をかけるのが街頭技巧師の慣例となっている。
もちろん、この撮影後に「ナイステクニック!」とお互い声をかけあったのは言うまでもない。

また、ストテクには「スキル」ならぬ「過ぎる」という概念があり、あまりにテクニカルで想像の上を行き、常人の理解を超えそうなテクニック、食らったテクニックに対しては「過ぎる!🔥と評価する。
もちろんマイナスの意味もなくはないが、基本的にはプラスの意味である。

ストリートテクニック、とりわけストテク散歩においては合理性だけを求める「ライフハック」とも違うし、笑いだけを求める「モノボケ」とも違うのである。

ただ、そこにユーモアの精神と他人とは違う視点は重要な部分だ。

このストテク散歩に共通点する部分を持つカルチャーがある。
それがスケ―トボード、スケボーの世界だ。

ストリートのスケーター達は街の地形、高低やスロープ、いい感じの場所を常に探しており、発見したらそこに対応した己の身体能力とテクニックを駆使してボードを使って遊ぶ。
階段を10段飛び降りれるエクストリームな身体能力とスキルを持つスケーターもいれば、2.3段を飛ぶスケーターもいる。

見栄えや記録だけではなく、プレイする人間にとって楽しいことが重要視される側面もあり、自分が遊ぶのにちょうど良い塩梅のスポットを探すのも楽しみの一つだ。

そして共通することがもう一つ、彼らは一か所に止まることなく、場所を移動しながらそのテクニックを発動させる
そして、テクニックを発動したあとは、速やかに他の場所に向かって動き出す。
一箇所に長いこと留まって遊ぶと住民や通行の迷惑になったり、最悪通報されてしまうかも知れないからだ。
実際にスケボーが禁止されている地域はよく見かけるだろう。

これに対し、街頭技巧者はスケートボードを持ち歩かずに移動しながら街を観察し、脳をフル回転させて、テクニック(ただの感想や、言ってるだけじゃんというのも含む)を発揮する。

スケーターはその人の身体能力に左右される所もあるし、ときにはケガをする事もあるだろうが、ストリートテクニックは運動能力には左右されることはないし、万が一失敗しても大怪我をして取り返しのつかない事態になる心配はない
そう、これは運動ができなくても発想力があればいくらでも楽しめるブレインスポーツなのである。

街頭技巧者は常に街(ストリート)と対話し、街(ストリート)と遊んでいると言ってよいだろう。

老若男女、誰でも楽しめる視点、思考のパルクール

これがストリートテクニックの真骨頂の一つなのである。

これを読んであなたも次の休日は街頭(ストリート)に繰り出してみたいと思ったのなら幸いである。

高野政所とメテオのストテク散歩シーズン1(目黒編)のまとめはこちら。


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