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映えるだけじゃダメ。看板商品のストーリー作り

近くに腕の良い整骨院があります。
この年になると身体にガタが来ててたいへん助かっているのですが、僕の施術中の発言を整骨院に通っている妻のママ友の患者さんが聞いていたらしく告げ口され、家で妻から鬼詰めされました。。

「もうヘタなこと言えないな」と逆に身体が硬くなり、整体師さんからは死後硬直してるみたいと言われるようになったバイオハザード森です。

森さんは看板商品作りが上手いですよね?
ということをよく言われます。

たしかにFISHMANやパロマグリルではそういう点を意識してやってきました。

大判のハンバーグの上にはフライドオニオンを積み上げて、オニオンの輪の穴の中に野菜を突っ込んでみたり、刺身を特注の階段状の器に盛りつけてみたり、今で言う「インスタ映え」するメニューを数多く開発してきました。

もちろんある程度自信があります。ただ、いつも気を遣っていたことは、「ただ映えるだけではファンは育たない」ということ。

看板商品でお客さんを呼び込むには「農耕型」の店づくりが必要だということです。

悪い例

えいや!と張り切って写真映えのするメニューを開発してみたとします。

それがインスタで評判になりお客さんがどっと押し寄せる。行列ができているため急いでメニューを提供します。

その結果、盛り付けが雑になったり、ひとりひとりのお客さんへの接客が不十分になってしまいます。そうしてお客さんはインスタ映えする写真が取れたことだけで満足し、再度来店してくれることはありません。

残るのはブームの終わったお店。地元の人も寄り付きません。

これは極端な例ですが、こうならないために看板商品ひとつで勝負するのではなく、お店を「農耕型」で育てる必要があるのです。

種を植えて育てる。農耕型の店づくり

狩猟型」の店づくりというものをイメージしてみてください。

狩猟型の場合、獲物が取れ続けていればいいですが、なんらかの理由で急に獲物がいなくなることもあります。長期的な売上の予測ができず、安心して経営することはできません。

それに対して「農耕型」の場合は継続して作物が取れ続けることを狙います。飲食店の場合は、看板メニューの開発と並行して、オペレーションを見直す。新規お客様の来店時にファンになってもらう仕組みを作るということ。実際の例をお話します。

実際の例

みなさんもご存知かと思いますが、「金の蔵」という居酒屋チェーンがあります。僕はこの新形態のお店をプロデュースしたことがあります。

この時は福岡の人気店からメニューを提供してもらい、東京にいながら博多の人気店の料理を一度に味わうことができるという企画でした。

ちょっとワクワクしてきたでしょ?

でもこれは、なんとなく面白そうなアイデアを思いついたからやってみたわけではありません。「金の蔵」の本来のコンセプトから発想したものでした。

「金の蔵」とは、元はマルコポーロが東方見聞録で日本を表現した言葉

そこから着想し、マルコポーロが博多を旅して見つけた逸品を集めた『セレクトショップ酒場』というコンセプトで、これまでにない居酒屋を作ろうということになったのです。なんかちょっとカッコイイでしょ?

店内のオペレーションについても戦略を立てています。

例えばメニューをリニューアルしたからといって、いきなり広告を出すということはしません。新しいオペレーションにスタッフが慣れていないからです。営業をするなかで十分なトレーニング詰み、「よしいける!」という段階まで育ててから広告を出すようにしています。

「農耕型」の店づくりではスタッフの成長も重要な要素なのです。

福岡の有名店の料理が一堂に会すること、納得感のある楽しいストーリー、期待を裏切らない接客、これにより一度来店してくれたお客さんが「ファン」となり口コミを広げてくれるといういい循環ができました。

「農耕型」でファンを育てる

「ファン作り」は2021年のFISHMANが掲げる目標でもあります。
料理はあくまでそのためのツール。

看板メニューでお店を「認知」してもらい、お客さんの期待を裏切らず続けることで「信用」得て、ファンになってもらう。

そのための「農耕型」の店づくりを意識しています。


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