昨夜のカレー、明日のパン
何か大事なものをなくしたとき、喪失感、絶望感、世界から見放された感…
周りはそのなくなってしまった事実に慣れてしまってそれが当たり前になってきているのに、自分だけが取り残されていく。
それでも自分はこの世界で生きていかなければいけない。
生きていれば、ときには気持ちが変わることもあろう。
でもそれが怖いことだとは一概には言えない。
怖いのは、変わってしまうことではなく、忘れてしまうことだから。
時が経てばいずれは記憶の中で曖昧になっていく。
本当かどうかはどうでもいい、こういう記憶をまといながらどこに行くかもわからず変化していく。それでいいじゃないか。
そういうモヤモヤを楽しむ。そのモヤモヤがほどよいフェロモンとなり、次の何かを引き寄せることになるかもしれないから。それの繰り返しが幸せを呼ぶかもしれないから。
・・・とそんな風に考えられたら、失うことも肯定的に捉えられそうな気がする。
「やまない雨はない」というが、いや、今雨が降っている状況が辛すぎて、失った当初はそんな風に冷静に考えられないかもしれない。
ただ、たとえ悲しみの中であっても生きていると、大なり小なり幸せな気持ちになれることがあるとに気付くことがある。それを知ってからは物事を受け入れやすくなったし生きやすくもなったことは事実。
特別何かが起こるわけでもなく、大どんでん返しな結末が待っているわけでもなく・・・
でも、とりあえず前を向いて歩こう。
そう思わせてくれる小説。
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