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きみはだれかのどうでもいい人

Twitterにて流れてきた本。


どきついタイトルだなと。
タイトルから、自己啓発本の類いかと思って購入した。
でもいざ読んでみたら小説だった。びっくり。
基本、小説を読む機会が少ないので、新鮮な読書体験をさせてもらった。
他人のレビューを見て本を選ぶのもいいなと。



1話目を読み終わり2話目に突入したとき、主人公(視点)が変わったことに気付く。なるほど、各話ごとに主人公が変わる設定なのだと初めて気付いた(本の帯や裏表紙など全く見ずに読み始めたので)。
結局、県庁の納税事務所のある時点における人間模様が異なる4人の視点から描かれていた。
その事実に気付いてからは、ことあるごとに前のページを読み返す作業の繰り返し。読了した後、もう一周二周したくなる本。(まだしていないけど)



ストーリーの展開上出てくる出来事や事柄について筆者の見解が述べられている。ときにはグサッとくる、ズシンと重い描写もある。読んでいる方としてはいろいろすり減らされる思いがする。いざ言語化された見解に触れる度、「あるあるー」「いるいるー」「わかるわかるー」と共感することしばしば。
普段から些細な出来事でも言語化する習慣がついているのだろう。そうでなければ要所要所でこんなにピンポイントで「あるある」「いるいる」「わかるわかる」という共感の連発をできないであろう。筆者の言語化能力や感受性に感心する。



この話に出てくる登場人物それぞれが悩みを抱え生きづらさを感じている。県庁の納税事務所という小さなコミュニティーですらそうである。
社会の縮図ではなかろうか。
ワタクシは現時点ではこの話に出てくる登場人物たちのような働きにくさや生きづらさは感じていない。確かに仕事はしんどいけどある程度楽しめているし、こういう悩みを抱えていない点では幸せなのかなと思ったりもする。
でも、本書にも出てきた「人は必ず誰かを傷つけている」、それは自分自身にも当てはまることであり、その自覚を持ちつつ誠実でいようと思う。



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