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麻雀プロだったよ⑪ プロの講師とは

 麻雀プロはとはなんぞや?プロの資格とは?みたいなプロ論は今までやまほどでてますよね。まぁこんなん永遠答えの出ないテーマなので今さら扱う気はさらさら無いのですが、プロの講師とは?というさらに厳しい目線のお話をしていきたいと思います。

 かなり講師としての実践的な話がメインになっていくと思いますので、これを通して講師がどんなことを考えているのかや、講師(全般)になりたいという人へのヒントになればいいなと思います。

身なり振舞い

 ぜひ皆さんには私の以前書いた記事(有料)も併せて読んでいただきたいのですが、こちらの記事でも身なりについても言及しています。(旬も過ぎたのでちょっと値下げしました)

 ではみなさんに想像してもらいたいのですが、どんな格好をした人が講師としての理想像でしょうか?例えば生徒の年齢層に制限を付けないものとして老若男女に対して麻雀を教える人を急募しているとしましょう。

◆20歳のフレッシュイケメン先生

◆35歳の中年太りぎみ先生、

◆60歳年季の入ったおじいちゃん先生

さてこの中で一番生徒の信頼を勝ち取れそうなのは誰か?

 ぶっちゃけそんなの生徒の好みによりけりかもしれませんが、まっさきに言えるのは社会に出たてのような若い講師というのはまだ講師には向いていません

 生徒全員が子供だったら問題はないかもしれませんが、現実的に考えて生徒は基本大人。大人が大人からモノを学ぶときに残念ながら若者から習うのは説得力が欠けます。めっちゃ知識があって麻雀も強い若者だとしても最初の印象は下から始まってしまうのです。それにプラスして講師業をサービス業と考えると第一印象はものすごく影響します。とても抽象的に感じるかもしれませんが貫禄やその人からあふれ出る自信というものがなにより物を言う世界なのです。

 そして身なりはしっかりしてるに越したことはありません。スーツ姿で挑む必要があります。麻雀プロはリーグでも基本スーツなので問題は無いかもしれませんが、すこしでも身なりをケチると生徒はすぐ気が付きます。ここはもうマナー研修の部類になるのですが、シワの無いスーツとシャツを身に着け髪の毛も寝ぐせや伸ばしっぱなしはNGです。一社会人としての振舞いもできないひとに人の前に立つ仕事が務まるわけがありません

☝こんな格好の人は言語道断です!(ネタデスヨ

分かりやすさ重視

 みなさんは麻雀をまったくやったことない知らない人にどういうゲームかを簡潔に伝える時どんな説明をしますか?

3つ例を出したいと思います。

①”4人で4メンツと1つの雀頭を手の内で完成させて早く上がった人が勝ちのゲーム”

②"4人の中で一番はやく手を完成させた人が勝ちのゲーム”

③"4人の中で一番はやく14枚の牌で4つのメンツと言われる123や555の様な数合わせしてできた手と、なんでもいいから2個同じ牌をもってきて完成させた頭を一番はやく完成させた人が点を貰えて最終的に一番点持っている人が勝つゲーム”

 ①は、ハイ、これは典型的なダメな例です。これをド素人さんが聞いた時その人が理解できるのは4人でやるゲームなんだという事くらいです。麻雀を習いにきたからそんくらいは知ってるだろうし、専門用語を初っ端から使いすぎてまず理解不能ですよね。

 ②は簡潔でいいですね。でも漠然としすぎてて興味を持ってもらえそうにありません。そもそものコンセプト説明で終わってますよね。

③はみなさんもうお分かりだと思いますが説明しすぎてて簡潔さが失われました。こうなるとどうやった簡潔に麻雀の良さを伝えながらふわっと麻雀について説明できて興味引いてもらえるかがやはりキーとなります。

 では、私が現役時代使っていた麻雀の紹介を披露します。

"一説に麻雀は鳥をモチーフにしていると言われています。麻雀の手牌というのは4つの体と1つの頭を作る事に例えられます。みなさんはこれから鳥を育んでもらいます。はやく成長させて小さい鳥でもすぐ飛び立たせてもいいし、時間をたっぷりかけて大きな美しい鳥を羽ばたたせることもできます。今日は早速その鳥の育み方を覚えてもらいたいとおもいます"

 そんな簡潔じゃないですが、こんくらいがキャッチーだし、なんとなく麻雀のコンセプトも伝えられて良いとおもいます(手前味噌)。皆さんの中にもっといいイントロダクションがある方はぜひ教えてください。ちなみにこの麻雀が鳥~のくだりは昔読んだ答えてバビィの本に書いてあったやつの受け売りです。

明日にも使える講師テクニック

 一番最初の悪い例をもう一度見てほしいのですが、分かりやすさ重視で一番気を付けないといけないことは、専門用語を多用しないことです。

 例えば英語初学者の人に文の構造を教える機会があるとしましょう。

"I am an English teacher."

 ではこの文を解説するときに、

『Iが主語amがbe動詞ですそしてan English teacherは補語となっています』と説明しても生徒はポカーンです。

★これを分かりやすく説明するにはこんな感じです:

『Iが主語です。amはbe動詞と呼ばれるもので、be動詞の役目は主語とbe動詞の後ろの情報をイコールで結んでくれる役目をしてくれます。なので私は英語の先生だし、英語の先生は私となってますよね。be動詞はis am areと3種類あって、主語によって使い分ける必要があります。Be動詞を使うことによって例文の様に職業を言う事もできれば名前を言ったり自分の歳も言う事ができます。そうすれば、be動詞を使うだけでなんと自己紹介や他己紹介までできてしまうんです。そんな便利で基本のbe動詞を今日は学びましょう!』

 こんくらいスッと話せるのがいいですよね。今の例では最低限の専門用語かつ、目的も伝えられて、さらには展望や期待までも与えられてますよね。講師は常に生徒目線で説明を考える必要があります。

 では上記の様なレッスン内容を麻雀講師に置き換えて考えてみましょう。

タンヤオを解説してみてください。

 ある程度の麻雀用語はもう教えたと提しまして、どんな説明が初心者に分かりやすいでしょうか?ぜひみなさんもイメージしてみてください。

★私が説明するとしたら以下の通りです:

『タンヤオは漢字で書くと断幺九と書きます(要板書)。幺は数字の1のことなので読んで字のごとく1と9を断つ、要は1や9を一切手に含まないことで成立する役です。』

とまぁ役の説明はいたって真っすぐな説明で済むのですが、これが例えばイーシャンテンを説明しなさいとかカンを説明しなさいとかとなると板書はさらに必須になるし、場合によっては牌を並べないととてもじゃないけど説明が上手くできません。ちなみに私は今でもホワイトボードに貼れるお手製麻雀牌の絵をラミネートしたやつを所持しております。麻雀講師のご用命がございましたら是非

一方通行にならない

 実は講師のテクニックとしてこのnoteにも幾度か登場させてる技がございます。お気づきになりましたか?noteというブロードキャストの媒体であい、一方通行に成りがちの発信ですが、ちょいちょい”問いかけ”をしているのに気付いたでしょうか。

とはいえnote上で読者に投げかけてもすぐには返ってはこないのであまり意味はないのですが、普段のレッスンでは生徒からの返答はすぐあるわけです。なぜこれが大切かというと、みなさんも一度はドラマや映画で見た事のあるシーンがあるんではないでしょうか。

 ”講師がずっと説明だけをしていて生徒は一切話を聞かないでガヤガヤしている光景”

 もちろん講義の内容がとても楽しいインタラクティブなものなら問題は無いのですが、生徒に覚えてもらいたい、身に着けてもらいたい物があるとき、先生からの情報のインプットだけで終わってほしくないんですね。インプットのみだと大抵の場合授業中は「あ~ためになった」と習った気になますが、習ったことを実際に使ってアウトプット練習をしてくれるかというと、場面がなかったり、すでにレッスン後には習った内容を忘れてたりすることが多々あります。

 そこでレッスン中に生徒を巻き込んでいくことが大切。聞かせるだけでなく考えさせることも大切です。これによって生徒はより集中するし、使い方も分かってきます。レッスン中にしっかり実践の場を設けてあげる必要があります。

 じゃあこれを麻雀に応用すると、例えばイーシャンテンを教えるレッスンだとしましょう。

『イーシャンテンとはあと1枚有効な牌がきたらテンパイになる形だよ』と教えるだけでは一方通行でどん詰まりのレッスンです。

 ★そこでしっかり牌姿を見せて考えさせることが大切。

「これはイーシャンテンでしょうか?」

 考えさせてすぐ先生が答えを出すのもダメです。生徒に答えさせてさらに理解を深めてもらう。生徒が答えを出せたらさらに問題出せますよね。「ここで何を引けばテンパイになりますか?」

★これを応用していけば、例えばこんなレッスンにもっていけます。

先生「この牌姿はイーシャンテンでしょうか?」

生徒「(少考)まだ・・です」

先生「では何をもってきたらイーシャンテンでしょうか?」

生徒「三萬六九萬・・白、6索4索・・?」

先生「じゃあ7索はどうでしょう」

生徒「あっ、イーシャンテンだ!」

先生「では何がくればテンパイでしょう?」

生徒「三萬、六九萬、白?」

先生「白は本当にテンパイしますか?見てみましょう(以下、牌姿)」

のような感じで生徒とのやり取りがレッスンを成功させるキーになるのです。考えさせるということはすごく大切です。複数の生徒がいるときなどは、偏りが無いように指名していきますよね。この指名の仕方も、もちろん工夫が必要ですし、生徒は刺される前に答えを用意しようと頭をフル回転してくれます。なので、いくら指す順番が決まっていようと、生徒に考えさせる間を作るというのは大切なのです。

自分なりの講師の定義と心構え

 とまぁここまでいっちょ前に話をしてきましたが、私の話す講師というのはあくまでもお金をもらってレッスンを提供している職と定義づけさせていただきたいです。これが小学校の先生とかだと今まで話して来たものは噛み合わなかったりしますし、立ち位置や振舞いも異なってきます。

 私は、お金をもらってる以上はここまで話したテクニックや身なりをして生徒と向き合わないとしっかりとした対価を与えてないと思うからです。決して習いたいから来てるんだから先生の言う事聞いてればいいんだや、覚える気がないから辞めてもらっていいみたいなスタンスは取ってほしくないんですね。

 生徒が覚えないのも楽しんでもらえないのも講師の責任です。

 とはいえ正直、クラス運営は講師の力量4、生徒同士が作り出す学びやすい雰囲気6なところはあると思います。いくらダメな先生でも理解力のある生徒で和気あいあいとやってくれる生徒だったら苦労なく運営できちゃいます。

 ただ私は他の講師も嫉妬してしまうような楽しいレッスンをしてやると意気込んで現在も講師という仕事を続けています。

 ものを教えることの難しさや、普段講師という職の人がどこまで考えているのかを知っていただけたら幸いです。



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