オススメのフェミニズム映画まとめ
『映画なしでは生きられない Kindle版』に加筆した章の詳細を紹介します。どれもフェミニズム映画として重要な作品なので、未見の映画があったらぜひオススメです。以下は現在、すべて配信で観られます。
加筆した章のタイトルはーー
「女性監督による、子供に複雑な感情を持つ女性の映画――わたしたちはみんな怪物」
それでは作品紹介です。
『セイント・フランシス』
まず主人公である子どものいない女性が、34歳で中絶すること。これは女性ひとりひとりで、捉え方や意見が分かれる出来事でしょう。でもこの章を通じて、最近は中絶を扱った映画が非常に増えていることに言及しています。
要領の悪い主人公はレズビアンのカップルに雇われて、彼女らの長女のナニーをすることになります。二人目が産まれたばかりのカップルは、産後鬱など問題を抱えていますが、愛し合う同性であっても理解できない壁が描かれます。
『ナニー』
女性監督のなかでも、黒人女性監督はさらに少数派です。本作の監督はニキャトゥ・ユース。この映画はキャリアウーマンの白人女性の下で、ナニーの仕事をする移民女性が主人公。雇い主は会社で、女性ゆえに男性より出世に苦労し、精神的限界を迎えています。それが主人公のナニーにも皺寄せとなり、労働時間の超過や、給料の支払い忘れといった問題になります。
『WANDA/ワンダ』『リバー・オブ・グラス』
ケリー・ライカートの『リバー・オブ・グラス』は、バーバラ・ローデンの『WANDA/ワンダ』を意識した映画であるのは間違いありません。どちらも家庭的な女性ではないという共通点は持ちつつ、しかし時代の変遷によって、「一人では生きられない女性」「一人で生きる女性」という変化が生じています。
『ロスト・ドーター』
女優のマギー・ギレンホールがメガホンを取り、オリヴィア・コールマンが主役の女性を演じた、苦みのあるバカンス映画。
子育てに向かない女性、母性が薄い女性の存在を明らかにする作品。これは男性が描くのは難しいテーマでしょう。決してだらしないのではなく、他に優先したいことややりたいことがあって、そのためには子育てが負担になってしまった母。産むまではわからないことでもあるし、女性ゆえに可能な、正直な告白を捉えています。
『サントメール ある被告』
黒人の女性監督が、若い黒人女性が幼い我が子を殺害した、実録事件を映画化した意欲作。そこにひそむ知的な若い女性が肌の色で差別を受けたり、軽んじられたりする問題が浮上します。同時に我が子を殺害する動機は、他人にはうかがい知れず、簡単には説明できないことなのもわかります。それと同時に母から子へ、そして子が母になって受け継がれていく、一種の呪いが漂っています。
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