見出し画像

【英語で子育て】2歳。出てくるのは英語?日本語?

娘のおしゃべりが、だいぶ形になってきた。

ただの音だったものが単語になり、それらが組み合わさって、少しずつ意思を伝えられるようになってきたのだ。

娘がいろいろなことを吸収し、成長するたびに「これで合ってるのかな…」といつも頭をよぎる。子育てに正解なんてないのはわかっているけれど、やっぱり娘にとって最善の選択をしたいがゆえに不安になる。

特に言語環境については、日々の変化が激しく悩む暇もないけれど、合っていたのかな。私たち夫婦が決めた「娘には“英語で”話しかける」という選択は。

娘が生まれる前から悩みに悩み、さまざまな情報を集め、夫婦で何度も話し合って決断したことだった。一般的な日本の教育を受けることになるであろう娘には、家庭内では英語で話しかけよう、と。

この3年間、それなりにがんばってきたと思う。徹底するのは難しいものの、基本的な会話は英語で話しかけ、目に入るものは英語で説明し、絵本も英語のものを中心に読んだ。

そのかいあってか2歳の前半、保育園に入る頃に娘の口から出てくるのは、ほとんどが英単語。

「Puppy!(犬!)」「 Airplane!(飛行機!)」「No, no!(いやいや!)」

おお、よしよし英語が出てきたな、と思ったのも束の間。心待ちにしていた保育園に入った途端、小さな口から溢れ出すのは日本語だらけになった。

保育園に行くようになれば日本語が上達するだろうなと予想はしていた……が、環境の変化は、私たち夫婦の2年間の汗と涙の努力をいとも簡単に吹き飛ばしたのだ。

まるで一生懸命にならべた落ち葉を、ふうっと吹き飛ばすように。必死に作った砂の城を、波が簡単にさらうように。

日本語、すっごい出るじゃん……

保育園に通い始めた娘の日本語は、急速にとんでもないスピードで伸びていて、とても止められない。(別に止めるものでもないし、むしろ喜ばしいことなのだけど)

ああん、かわいいかわいい!

英語ももちろんかわいいのだけど、私自身の母国語だからだろうか、また英語とは違ったかわいさがたまらない。なんで小さい子って「さしすせそ」が「しゃししゅしぇしょ」になっちゃうんだろう。

おしゃべりしたい。伝えたい。その気持ちが、保育園で吸収した日本語となって小さな口から溢れ出す。止まらない!かわいい!受け止めたい!

しかし、それを私たちは「English please!」と、つどつど直さなきゃいけないフェーズに入っていた。「家庭内は英語で」たしかに私たちはそう決めた。

せっかく日本語でいろんなことが言えるようになったのに、娘も面白くないだろうなと思うことも多々ある。英語が嫌いになっては本末転倒だし、日本語で話しかけてきたら、日本語で返してあげるべきなのでは。不安になりながらも、英語に直した。

語彙力ではまだ英語の方が多いものの、ナチュラルな言葉遣いができるのは日本語のようだった。徐々に頑なに日本語しか話さない日も出てきて、私まで釣られて日本語で話してしまう始末。

家庭でできる英語教育といっても、ここまでか――。

「なぜ、やるのか」に立ち返る

すぐに挫けそうになる私をよそに、夫はしつこく……ではなく根気よく、娘に英語で話しかけ続けた。

娘が言ったことに対して「英語で言ってごらん」と促したり、英語での言い方を教えて言わせたり。「やだよ〜」にも負けず、「おなら!ぷ!」にも負けず、何度も何度も英語を娘の口からアウトプットさせている。

そして2歳の最後のほうになると、少し変化があった。日本語の伸びと比例するように、娘の英語もぐん!と伸び始めたのだ。

一番感動したのは「人や場面によって使い分ける」ことを覚えたとき。

私に「Mommy, look! It's an orange!」と言ったあとに、日本語しか話さない私の母に向かって「ばあば、見て!みかん!」と言っていた。母は「ばあばもね、オレンジくらいならわかるんだよ……」と苦笑いしていたけど、私は「え、すごいじゃん!」と娘の成長に感動していた。

また、毎週末の日課になっている義理の家族とのビデオ電話で、向こうの言っていることに対して「Yeah」とか「No」とか言っていて、しびれた。

ちゃんと義理の家族と会話ができている。まだ簡単な受け答えだけ。でも、私が20年くらいかけてようやくスタートラインに立てたコミュニケーションの入り口に、娘は2歳にして立てている。

ああ、夫が確固たる信念を持ってしつこ……根気よく英語で話し続けていたのは、このためだったのだなあ、と思った。

義理の家族と当たり前に会話が交わせるように。世界中に友達ができるように。「世界は広い」と気付けるように。

そうだ、だから私たちは娘に英語で話かけ続けてきたんじゃないか。「選択肢を与えること」が親である私たちにできることであって、「英語が完璧にできること」がゴールじゃないとハッとした。

このバイリンガル教育が「合っているのか」はわからないけど、今の時点で「がんばって英語で話しかけてきてよかった」と思っている。いつか娘自身にもそう思ってもらえるように、英語と日本語が使えることで広がる世界を見せてあげたいな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?