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『マンガでわかる百人一首』(あんの秀子)

忙しい先生のための作品紹介。第16弾は…

あんの秀子『マンガでわかる百人一首』(池田書店 2010)
対応する教材    『百人一首』
ページ数      272ページ
原作・史実の忠実度 ★★★★☆
読みやすさ     ★★★★☆
図・絵の多さ    ★★★☆☆
レベル       ★★☆☆☆

作品内容

 『百人一首』の百首が、まずマンガや絵で歌の内容が描かれ、その後に背景知識や鑑賞などが文章で綴られています。「マンガでわかる」と言いつつも、ストーリー性の高い歌はマンガで、情景を詠んだ歌などは絵で表されており、それぞれの歌に適した手法が取られています。

 著者は、先日紹介した『マンガでわかる日本文学史』や、『百人一首』に関する複数の書籍を手がける、あんの秀子さん。参考書ではないので、各首の詳しい文法事項等は載っていませんが、「歌人クローズアップ」では歌人の説明が、「もっと楽しむ歌の世界」では古文常識が端的にまとめられています。巻末には、「これを読めば百人力 必勝!!競技かるた」というページがあり、競技かるたのルールや決まり字などがまとめられているのも、珍しいところではないでしょうか。

おすすめポイント 勢いのある百人一首

 「マンガでわかる」というタイトルの通り、歌の物語のマンガを読めば、1000年ほど前に作られた和歌をポップに楽しむことができます。例えば、40番「忍ぶれど」と41番「恋すてふ」は「天徳四年代理歌合」で競われた歌として知られていますが、この歌合での有名なエピソードがマンガになっています。二首の勝敗がなかなか決まらなかったところ、帝が「忍ぶれど」とつぶやいたことで平兼盛の勝利が決まったという話。マンガでは、「いよっしゃあぁぁ うおおおお」と喜ぶコマいっぱいの兼盛と、後ろで絶望する壬生忠見が描かれています。マンガでしか味わえないスピード感で、和歌とそれにまつわる物語が読めるのが面白いポイントです。

授業で使うとしたら

 『百人一首』の解説をする際に、板書や口頭での説明ではもの寂しいなと感じる事はありませんか。本書では各首に絵やマンガが付いていますが、それぞれが片面1〜見開き1ページ程度であるため、授業中に紹介しやすいサイズです。学校でよく使われている『百人一首』のテキストにも写真が載っているものは多いと思いますが、「おすすめポイント」で紹介したような、マンガにしかない勢いが授業にスパイスを与えてくれるはずです。

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