デザインスキルよりも意思決定力をあげることを意識した話
ベンチャー企業に入って、初めて「デザインのスキルだけでは、とうてい実現したいことを全部やるのは無理だー!」と思った。そこで初めて意識して身につけた力がいくつかある。そのうちのひとつが「意思決定力とそのスピードをあげる」ということだった。
デザインは、小さな意思決定の積み重ねだと思う。
フォントはどれを使う?色は1色?2色?イラストにするか、写真にするか、どうする?自分でできないこと、大きなボリュームの作業を早くやりきるには、どうする?
デザインの作業は、言い換えて見ると、小さな決断・大きな決断の積み重ねだと思う。さらにいうと、入り口の戦略や、出口の目的など、デザイナーだけではコントロールできない決定要素もたくさんある。慣れないベンチャーに入った頃、「私はなんでこんなにデザインをするスピードが遅いのだろう」と思ったが、今思うと、デザインのスキル以上に、自分で決定する力が足りなかったのだと思う。
「決める」という力は、デザインの大きな助けになる。
そもそも、デザインにおいてだけでなく、優柔不断な性格で、自分で何かを決めることが子供の頃からヘタだった。自分で決めたことで、それ以外のものを失うことが極端に怖かったのを覚えている。デザイナーを目指すきっかけも「医者や先生のように、責任がある仕事は怖いから、デザイナーになれば楽しい!」と思ったことを覚えているくらいだ。自分で責任を取ることを極端に恐れていた。しかし、決めるということは、大なり小なり責任を持つということなんだと思う。
決めることは、自分で責任をとること。責任を取ることで、自分が本当に実現できるやり方が見えてきた。
決められないと、あれも、これもいろんな手段が自分の中にずっといくつもふわふわ浮いている。自分が持っていないカードを切ることはできないのに、なんでもやればできると思えてしまうのが怖い。でも、自分で少しずつ決めて動くようになって、自分がどんなやり方が得意で、どんなやり方が不得意なのか、わかるようになってきた。それがわかるようになると、自分が切れるカードが見えてくる。
デザイナーとして言い切ってしまうのはどうかと思うが、現時点でカッコいいグラフィックやデザインを一枚絵でつくるのは、そんなに得意ではない。だからというのもあって、自分の仕事をまとめるサイトを作ろうと思った時に、延々とサイトのデザインに悩んでいた。
そこで、きっぱりかっこいいデザインはあきらめて、少々ダサくても自分の作品やサイトをWEBにまとめる時は、必ず考えた過程をラフや文章で補足するという構成に決めて更新することで、多くの人に見てもらえるかもしれないと思った。続けることと、文と絵でまとめることはもともと好きで得意だと思っていたからだ。文章も絵も多くて、全然スマートではないが、自分が当初思った以上のPV数から、誰かには見てもらえてるなと感じられて、嬉しい。延々とデザインに悩まず、アウトプットする形を取れてよかったな。と思っている。
いつもの業務と、ビジネス書で「決める」練習を始めた。
意思決定に関する本を何冊か読んだが、多くの本で言っていたことで、初心者の私でも意識しやすかったポイントはこちら。
「何もしない・何も決めないことが最大のリスクである」
早く手を打って早く動けば、時間が多分にある状態で軌道修正しながら走れるため、リスクが少ない。
(最大のリスクとか言われると、私めっちゃダメやん。と思って意識しやすい)
「毎日の些細な決定要素に意思を持つ」
朝ごはんに何を食べるか。徒歩で行くか自転車で行くか。など、日常の些細な出来事を意思を持って選ぶ。
(誰からもフィードバックが入らないデザインの作業などで「なぜこれをやるか。なぜこの色か。この色でないとだめか。」のように考えるようにした。デザインのように、AもBも正解という結果が出る世界だと、小さな決定でも難しくてかなり練習しやすいと思う。)
最後に意思決定力を高めるために読んだ本の紹介
難しい本は苦手なので、優しくて読みやすかったものを・・・。
意思決定ができない時に、自分の中にどんな葛藤が起こっているのか、優しく教えてくれる本。理由がわかるとどうすべきか考えられるという人にオススメ。
利益の大きさと、難易度のマトリックスを使って、どう意思判断すれば良いか具体的に考え方を教えてくれる本。とにかく判断の基準が欲しいという人にオススメ。
見えていない答え=仮説から手段を発想するメリットを教えてくれる本。仮説を立てるのはちょっと難易度が高いのですが、ボストンコンサルティンググループという世界的に有名なコンサルティング会社流の意思決定法らしい。ビジネスマン寄りの考え方なので、ビジネスの現場で働いているデザイナーさんには良いかと。
ちょいと変わりダネなのですが、武蔵野の小山さんの本は、一流はこれ!二流はこれ!三流はこれ!といった独自理論がズバッと書かれている。結論の良し悪しは私にはわからないけど、経営者ってあらゆる事象を毎回意思決定・検証を重ねるから、アクの強い俺理論が生まれるのかな。と思える一冊。経営者と距離の近いデザイナーさんは、経営者の判断基準をいっぱい知ると業務の意思決定に活かせるので良いと思うです。
と、まとめてみましたが、私も実際は意思決定を意識してまだまだ日の浅い、ひよっこです。引き続きいい意思決定ができるように頑張ろうと思います。どうせいつかは死んじゃうから、一回でも多く脳みそ回転させたい。。
将来は、小さな連載を数本抱えているおばあちゃんになりたいです。