ナチスは「良いこと」もしたのかを読んでみた!経済と労働者編
この本はっきり言うと( ̄~ ̄;)うーんって感じですね
ナチスが嫌いなのはわかりますがもう少し中立的にできなかったのでしょう?
1アウトバーンはヒトラーの功績ではないという嘘
これはかなりヤバイです
確かにアウトバーン自体はブリューニングとパーペンが雇用創出のために始めたものですが
ヒトラー政権前はかなりショボいです
何年もかけて3億2000万マルクしか出していないのに対して
ヒトラー政権は最初の年から20億マルクの予算を計上して大規模にやりました
実際はアウトバーン以外にも都市の再開発なども様々な公共事業もあり多種多様だったようです
それによって1935年までに50万人の雇用を作り出すことに成功しました
1934年には200万人の失業者が減りました
ここで疑問です?
なぜアウトバーンの雇用以上に失業率が減っているのでしょうか?
それはケインズの乗数効果です
簡単に例えると1マルク投資するごとに3マルクの利益が出る感じ投資した以上の利益が出るのです
どうしてこんなことが起きるのでしょうか?
アウトバーンを作ったり公共事業をすると労働者にお金が給料として配られます
そうすると生活用品などの資材が増え他の産業も潤い経済の波及効果があったのです
特に自動車産業はガソリンや自動車の減税措置も手助けして
1932年の4万台から1936年の21万台まで増えました
交通がよくなれば流通も活発化し供給の改善も行われ経済も活性化するなどのメリットもありました
なぜナチスの公共事業には絶大な効果があったのでしょうか?
一番に労働者へお金が流れるようあらかじめ考えられていたからです
日本と比べてみましょう
日本の公共事業では地主や大手ゼネコンに支払われる額が大きいからです
建設費は大手ゼネコンから中堅業者、零細業者という具合にピラミッド式にお金が流れていくので、労働者への取り分が少ないのです
つまり日本の公共事業では、投資したお金は地主や大手ゼネコンの蓄財に回るので、あまり消費拡大には繋がらないので景気への波及効果はほとんどないのです
しかしナチスでは公共始業を既得権益にせずかつ経済へ効果的になるよう様々な策を練りました
まずは高所得者への増税をしました
詳しくはあとで説明しますがこの方法は非常に有効だったことは間違いないでしょう
国債だけでなく高所得者から税金を取ることによって低所得者向けの公共事業をすれば消費は上がります
なぜなら高所得者は稼いだお金に対して扱う額は少ないのです
だからお金を税金で吐き出させて低所得者へ落とし消費をするようにします
そうすると消費が増え経済回復へ繋がり経済は回復するというわけです
実際にケインズは所得のうち消費性向が高くなれば、乗数効果は上がるといっています
だからこそ労働者に多くを分配したのです
次に土地の所得費を極力押さえ込みました
土地に関する新しい法律を作って「公共始業で土地を収用する場合は、公共事業が決定した時点での時価を基準とする」としたのです
簡単に言うと公共事業が決定した途端に、土地の買い占め、土地の値上がりによって、不動産業者がひと儲けするようなことを防いだのです
そのお陰で公共事業費の47パーセントが労働者に分配されました
その他にも公共事業政策の欠陥である既得権益となるのを未然に防止したこともあげられます
前にも話した通りナチスは公共事業をする際、労働者に多く分配しました
それによって建設業者にとってはそれほど美味しいものではなかったのです
不況の時はありがたいですが好景気になってくると他の仕事をするようになりました
そしてアウトバーンは世界中の高速道路のモデルとなりました
あと大きな功績は道路の規格を統一したことです
ワイマール時代の道路は規格がばらばらでした
それをまとめあげたのがナチスです
アウトバーンは道路を規格を統一し、さらには大型自動車の高速走行もできるようにしたのです
道幅は7メートル半
往路と復路の間には樹木などを植えた5メートルの干渉地帯があり、往路と復路の外側には2メートルの余裕を作る
これらよってアウトバーンは素晴らしいものとなったのです
そして現在でもドイツの大動脈としての役割を果たしています
ナチスの功績は公共事業をする大規模に実施かつ、アウトバーンに工夫にすることで世界中の高速道路のお手本したところです
これらの業績は今なお輝いています
2ナチスの政策は前政権の踏襲か?
ナチスは当初は前政権の政策を踏襲するばかりで新機軸の政策を出していませんでした
新政権が積極的に雇用創出·失業対策に乗りだし、大規模な公共事業と減税措置を実施し始めるのは、1933年6月に第一次失業者減少法通称ラインハルト計画を制定して以降のことである(同年9月には第二次失業減少法も制定された)
これに関しても1934年時点の段階で社会学者ルドルフ·ヘベルレは、前政権であるブリューニング政権の引き出しの中にあったと言っています
これが本の主張です
しかしこれに関しても疑問を覚えます
ナチスは政権をとった2日後の1933年2月1日、新しい経済計画(第一次4ヵ年計画)を発表しました
当時ナチスは連立政権で政権基盤も安定していなかったので、経済政策が最大の懸念事項であり重要だったのです
第一次4ヵ年計画では
·公共事業によって失業問題を解決
·価格統制をしてインフレを抑制
·疲弊した農民、中小の手工業者を救済
·ユダヤ人や戦争利得者の利益を国民に分配
·ドイツの経済界を再編成
というのが主な内容でした
ナチスが全て前政権の踏襲であったというわけではありません
たしかに前政権であるブリューニング政権で賃金や物価統制、雇用創出など策の検討が始まっており、それを引き継いだパーペン内閣によって1932年秋から企業減税を柱とする、恐慌対策が実施された
そしてシュライヒャー政権はさらに財政出動を伴う公共事業計画(緊急プログラム)を打ち出し、従来の緊縮財政路線からの脱却を鮮明にしていたが短期間で政権が倒れたため実施に至らなかった
しかしワイマール体制でこれらの政策が実現したのでしょうか?
ワイマール共和制では非常に政治が不安定で13年の間に14人も首相が変わりました
これらの不安定な政治でこの政策が実現できるでしょうか?
しかも当時のワイマール政治では社会民主党や国家人民党·中央党などは力を失いナチスや共産党が台頭してきました
この状態で安定して大規模な政策が出きるわけがありません
そしてナチスにはよいか悪いかは別にして強権的に政策を実現できる権力があり安定していました
もちろんここで経済政策が失敗していたらナチスは大変なことになり、共産党が台頭してドイツは共産化していたでしょう
しかしヒトラーはワイマールの不安定な政治ではできないような、健全かつ大規模な経済政策をおこない再び祖国を強国へと復活させました
3大規模な税制改革で経済を活性化
前述した通り減税措置はワイマール時代からありました
しかしナチスのすごいところは経済を理解した上での税制改革です
労働者には大減税
ヒトラーは政権を取るや否や大減税を行ったのです
1933年の減税措置は、国家、地方合わせた税収の1割にも相当します
ヒトラー政権発足当初の主な減税項目は次の通りです
·自動車税の減税
·メイドを雇用した場合の所得税の減税
·農作物売り上げ税の減税
·農地の土地税の減税
·住宅の土地税の減税
·防空施設などをなどを作った場合の所得税の減税
·設備投資を行った場合の事業税の減税
·建物の修理をした場合の事業税の免税
·御売業の売り上げ税の減税
·失業保険の引き上げ
·家賃税の引き下げ
これを見ると、ナチスは巧みな税金対策を取っています
減税のほとんどは景気対策に結び付いておりとても効果的です
この景気刺激策のおかげで、減税しているのに税収は減らない(むしろ増加した)という現象を生んだ
1933年の税収が51億マルクだったのが、34年には59億マルク、35年には75億マルクになっています
これは景気がよくなって失業者が減り、所得税を納めるものが増えたために生じた現象です
1932年には所得税を納税していたものは34パーセントにすぎなかったですが、1936年には57パーセントに増えています
減税する
↓
国民が潤う
↓
景気がよくなる
↓
税金を払う人が増える
ナチスは思いきった減税をやり、また思いきった公共事業をやったからこそ成功したわけです
この思いきりこそが、ナチスの経済政策の大きな要因だといえます
大企業に増税し労働者には大減税
ナチスの減税政策が功を奏したのは、大企業や資産家には増税し、労働者には減税をした、というものも要因のひとつである
メフォ手形でドイツは財政破綻するわけがない!
ナチスの経済を成功させたシャハト
ナチスの経済は排除もセットなのか?
これに関しては戦前は違うと言いましょう
そもそもナチスの積極財政は国債もしくは偽造国債であるメフォ手形で行ったものです
不当に奪った財産で国を建て直したわけではありません
ユダヤ人への資産没収はあくまで「ユダヤ人が不当に得た利益をドイツ人に分配する」というナチスのイデオロギーであり経済対策とは関係です(もちろんこれに関しては悪です)
しかし収奪が経済を回していたことは戦時中に関してはそうだとしか言えません
ですがこうなったのもルーズベルトとチャーチルが、ポーランドへダンツィヒを渡さないように圧力をかけ第二次世界大戦を起こしたからだとしか言いようがありません
ドイツだけが責められるのはひどすぎるでしょう
ナチス経済の反省点
軍備に偏重しすぎ
賃金があまり上がっていない
消費が上がっていない
おまけ
ワイマール共和制からナチスへ政権が変わってなかったら
共産党が政権を握っていたでしょう
ナチスは左翼である
もし第二次世界大戦が起きていなかったら
1960年代には民主化したでしょう
ナチスの政策は失敗ではない
そもそもナチスの政策が失敗だと主張していますがそれは間違いであり、本来ならうまくいっていたものがルーズペルトやチャーチルがドイツの領地回復を邪魔したから中途半端になったものや、短期間では効果のでないものもあったからです
もしアメリカやイギリスが邪魔をしなければ、政策は予定どおりにうまくいきドイツはさらに豊かになったでしょう
歴史には中立的であるべき
歴史を善悪で語ることはあまりいいことではないです
確かに評価することは、一見歴史の反省に繋がりますがイデオロギーが絡むとどうしても正しい評価ができなくなります
今、世界ではナチス絶対悪が広まっていて、正しい評価ができなくなってしまっています
それに事実だけにかいて読み手に評価させることが一番だと思います
それらを乗り越えたあとで最低限の中立的な評価をすることはいいと思うし、遅くはないでしょう
この本の評価の作者は政治を見る目がない
この本を読んでおもったことは
民主主義って信用できないなという感じです
すぐに成果を出そうとする
出せないと否定的になる
これって政治としてはよくないですよ
政治は100年の大計であって
いま良ければいいなんてものではありません
ナチスの福祉や経済には不十分なところもあったでしょう
しかし短期間では仕方ないですしむしろあれだけできたならすごいですよ
この本をかいた作者は歴史学者としては一流ですが政治を見る目はないと思います
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