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ESTEE LAUDERに愛を込めて
私は16歳になる直前から20歳になる直前まで、
アメリカのロサンゼルスに住んでいた。
高校生というあらゆる意味で多感な時期をロサンゼルスという場所で過ごしたことは、すこし時間をおいて大きな意味を持ち始めているので、記しておきたい。
それは植えた種が時間をかけて大きくなり、花を咲かせた感覚に似ている。
中学生の頃
中学生の頃は、所謂スクールカーストの下位層の「オタク女子」だったし、
家庭内が不安定だったことも相まって
華やかなキラキラスクールライフ、ではなかった思い出がある。
それなりにディズニーランド行ったり、仲の良い友だちもいたりして楽しかったけどね。
母親が「中学生なんてメイクしなくてよろしい!」過激派だったし、
お小遣い制ではなく「必要に応じて」制だったので
「こっそりCANMAKEを買った」なんて経験もなかった。
おかげで、化粧品を買うことへの罪悪感は割と長期に渡って私を苦しめていたのもまた事実である。
社会人3年目にしてじわりじわりと克服できたかなあというところ。これでも。
高校生の頃
そんな私が飛んだのはアメリカは西海岸、ロサンゼルス。
理由としては父の転勤で、家族全員で渡米した形だ。
家庭内が不安定と前述したが、それはまた別のお話。
そしてそこで私は高校生活4年間+1年をしっかりアメリカで過ごすことになるのだが、それもまた別のお話。
ともかく、渡米したのは父、母、私のマイファミリー全員である。
そしてやっと、話はタイトルのESTEE LAUDERに触れることになる。
おまたせしました。
カラバリの暴力
初めて「アメリカのデパート」の「コスメフロア」に行った時の光景を私は忘れないだろう。
圧倒的カラバリの暴力。
「あなたに似合う色、絶対に見つけてみせます」
とでも言わんばかりの自信満々な棚達。
色とりどりのアイシャドウ、リップグロス、口紅、マニキュア。
グリッター?シマー?それともマット?
偏光パールだったり大粒ラメだったり小粒ラメだったり、徹底的にマットだったり。
本当にありとあらゆる好みをカバーしていて
「こんなんいつどんだけ使うんだ〜!」と高1のわたしは思ったことを鮮明に覚えている。
そして、ファンデーション。Oh yes.
日本では見たことのないようなカラーレンジの広さのファンデーションの棚である。
とろけるようなショコラカラーから、砂漠の夕焼けの色、真っ白な冬の雪のような色まで。本当に感動したのを覚えていると同時に
「アメリカはここまでカバーしないとダメなんだな」
というような感情を持ったことを覚えている。
とはいえ、実際に数字で見ていただいた方がそのレンジの広さがわかりやすいかと思う。
以下の表は、各ブランドのいちばん有名なファンデーションのカラバリの数の比較したものである。(2020年5月27日現在)
北米と日本では倍近く違うことがおわかりいただけるだろうか。
高1の小娘からしたら、それはもう衝撃的だったのである。
さて、表題に戻ろう。
表にすると、2020年現在最もカラーバリエーション豊富なファンデーションを展開しているのはMACなことがわかる。
しかし私はESTEE LAUDERをタイトルに付けた。
それは、ショップにズラリとならんだESTEE LAUDERのファンデーションの輝く棚が忘れられないから。
さらに、様々な人種のモデルが並んだファンデーションの広告用ポスターが忘れられないからだ。
(もっとズラリとモデルさんが並んでいたような気がするのだが、記憶に一番近いものがこれだった。)
あぁ、良いなあ
というしみじみとした温かい感情が広がった記憶がある。
絶対に私に似合う色がそこにはあっただろうし
「絶対美白!」的な美の押しつけみたいなものを感じなかったからだ。
「包括的」とか「多様性」といった概念をこの一枚の広告と店の展示から感じ取れたし、その中の概念としての「安心感」がとても心地よかった。
それもあってか、LAで私はほとんど鬱な症状が出なかった。
先程も似たようなことを述べたが、
これを初めてみた時は同時に
「アメリカ、めっちゃ人種に気を使うんだな」
といったような感情が芽生えたことも覚えている。
そして10年経った今思うのは、「そうしなきゃいけない」ということだ。
そしてそろそろ、
私はESTEE LAUDERにメンズモデルも含めたポスターを作って欲しいなと思っている。
多様性、ということ。
なぜ「そうしなきゃいけない」か。
それは、多様性を守らなくてはいけないからだ。
多様性がなぜ重要か。
それは至って簡単で、
排除し合うコミュニティよりも生きやすいからだと、
少なくとも私は思っている。
「私の居場所はきっとある」という安心感。
この安心感に溢れたコミュニティを作るには結局多様性を重視することが一番の近道なのではないだろうか。
「私に似合うファンデーションがきっとある」
「無理に美白を意識しなくても良い」
「一重まぶただって良い」
LAには確かに、この空気が当たり前のものとして流れていた。
一重まぶたは私の強烈なコンプレックスで、定期的に美容整形を考えてしまうが、LAにいた頃はここまで病むことはなかったように思う。
(補足すると、私もメーカー社員の端くれなので、売れない色味の化粧品を売らない、展示しないメーカー側の事情も痛いほどわかります。それでも、日本の美容業界にはまだまだ多様性が足りないと思ってしまうのです。)
日本のビューティコミュニティには「多様性」にかこつけて
「ハーフモデル・タレントを異常にありがたがる」
「外国人風ヘアメイク」
「白人しかモデルを使わない」
といった風潮・ブランドが確かに存在する。
そしてその影響としていびつな形でルッキズムが跳梁跋扈している。
もう2020年も真ん中。
そろそろ、美の価値観をアップデートしませんか。
あなたの美は、外見にしろ感性にしろ内面にしろ、どうあがいてもあなたオリジナルのもの。
そして同じように、私の美も私オリジナル。
他の人と比較して苦しまなくていいし、
他の人と比較してくる他人に対して怒っていい。
あなたも美しいし、私だって美しい。
今日も明日も、これからもずーっと。
おまけ
ESTEE LAUDERに関するこの記事をぽつぽつと書いていたら
こんな記事が目に入ってきました。
米化粧品会社エスティローダーの従業員は、取締役会メンバーで創業者一族のロナルド・ローダー氏の解任を求めた。トランプ大統領支持組織への政治献金が問題視されたほか、白人警官による黒人暴行死に対する抗議活動への同社の対応も批判を招いた。
正直、人種に対して深い理解を持っているブランドだと思っていたので
ローダー氏に対して悲しい思いでいっぱいです。
確かにブランドの声明はビューティコミュニティにしては短いなと思っていました。
でもその会社と取締役会に対して、
社員がここまで声を上げられるのは本当に良い会社だと思います。
美を追求する企業のうちの1つとして、
真の意味で多様性を守る対応を期待しています。
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