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スポーツが苦手。でもやっぱり好き。

高校一年生のとき、ある同級生のイケメン君の話を盗み聞きしたことがあります。確か、
「写真部ってただ何もせず俺らの写真撮ってるだけじゃん。実質見学してるだけだし。なんかタチ悪くね?」
というような内容だったと思います。


ドシャアッッ…(写真部の私の心がつぶれる音)


図星でした。

実は私、スポーツが苦手でして。
中学でソフトテニスに打ち込んで、わりとメキメキ上達したのですが、その時に自分の心の弱さを知ってしまったんです。
『私ってもしかして、勝負事向いてないのか…?』と。
それは部長として動き始めた頃でした。

生まれて初めてこんなにも夢中になって、一緒に戦う仲間にも恵まれ、たくさん笑って、たくさん泣いた、私の青い時代。物語の主役になったみたいで、その時は本当に楽しかった。部活のために学校に通うほどでした。
でも、本当は少しだけモヤモヤしていたのです。

『絶対に勝ちたい。絶対私がこの中で一番。』と思う気持ちと、
『私が勝ったら相手は苦しむ。私に苦しめられる。』と思う気持ちがずっとあったのです。その二つが私の中で葛藤して、どんどん疲れていく。
部長のくせになに弱気になってんだ!って思いましたよね。私もそう思います。(笑) でも、どれだけ練習しても、尊敬しているひとに褒められても、この気持ちが消えることはありませんでした。この葛藤が苦しいから、スポーツが苦手です。

そんな時に出会ったのが写真でした。
口からものを言うのが下手な私は創作活動がとても好きなので、ハマるまでに時間はかかりませんでした。
一番私が好きなのはスポーツをしている人を写真におさめること。レンズを向けられていることに気が付かないくらいに夢中になっている皆を撮るのが、私を夢中にさせているのです。悲しい、悔しい、嬉しい、楽しい。撮るだけで、沢山の感情を私に体験させてくれる。

そういう意味では、私はタチが悪いかもしれません。自分では誰かを苦しめたくないので。でも、選手を観る第三者になった途端に、苦しんでいる人も美しく見えてきたのです。悔しい、勝ちたい、という思いからくる感情は、自分を成長させようともがいているようで、観ている人へ大きな感動の波となって届くのです。何度その波に打たれたかわかりません。

スポーツは人を夢中にさせ、選手のみならず観ている人にさえ夢中にさせる力があります。感動を共有できるスポーツ。やっぱり好きだなあと思います。

多くの人に感動の波を届けたい。だから私はこれからも、タチの悪い写真部として、スポーツをしている姿を撮り続けるのです。

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