見出し画像

『サンタさんが居るって信じる?』

「ねぇ、サンタさんが居るって信じる?」

10歳の私が友達に聞いたこの言葉。
『サンタさん居ないの!?』
って言って欲しくて、
「サンタさん居ないの知らないの!?」
ってどうしても言いたくて聞いたはずだったのに、

『信じてるから、来るんだよ。』

と言われて、幼いながらに感嘆したのを覚えている。開いた口が塞がらないとはこの事か、と。バカ正直に、
「そっか、今まで信じてたから来てたんだ!その考え方いいな!」と納得してしまった。
きっと2人とも、サンタさんが居ないのは知っていて、私の友達は、そのうえでとても素敵な考え方をしていた。それが酷く大人に見えた。“真実”が絶対な訳では無いのだと、自分が良いと思ったら良いのだと、教えられた気がした。

その友達は、私にとって師匠のような存在だった。

私が大人ぶって読んでいた面白くもない難しい小説を、やけに正直に「わかんない」と言って読まなかった。
私が描く女の子よりも、彼女が描く女の子の方が、画用紙の中で活き活きしていた。
私がだらけて遊んでいるうちに、彼女はコツコツ勉強をして、いつの間にか学年上位にいた。
私は普通なレベルの高校に入学して、
彼女はレベルの高い高校に入学した。

彼女は、凄い。
彼女は、私にとっての師匠だ。
多分、弟子入りさせてくれないだろうけど。

例えるなら、私は水で、彼女は石だと思う。
私は自分を持っていないから、周りにすぐに影響されてしまう。環境によって”私“が大きく変わる。それを長所にしていければいいのだけれど、今のところそうなる予定はない。
それに対して彼女はしっかり自分を持っているから、一緒にいてとても楽しい。気まぐれで疲れる時もあるけど、自由すぎて一緒に居るだけで楽しい気分になってくる。ただ、1度砕けると直らないような気がする。そんな意外と繊細な人に、私はずっと憧れている。

そんな師匠に、高校生になった今、「サンタさんって信じてる?」って聞いてみた。そしたら、『なわけあるか』って返ってきた。考え方って変わるもんだなぁ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?