ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序、観了
視聴者の中でテレビアニメシリーズを始め数多のメディアミックス作品と長い年月を経て神格化と言っても過言ではない存在にまでに昇華された作品の劇場版リメイクシリーズの第一作目。
全体的に総監督である庵野秀明氏の色が濃く出ている作品と感じられた。
先日、シン・ゴジラを観劇したときにも思ったことをこの作品でも共通して抱いたので、氏の表現法・演出は良くも悪くも一貫性があるものと見える。
神格化されたたエヴァというタイトルを良く理解して脚本が構成されていると感じた。
と言うのも、本作はテレビシリーズで言うところの第6話「決戦、第3新東京市」のヤシマ作戦までを描いた作品だが、ストーリーの本筋は基本テレビシリーズ通りで、視聴する多くのファンはこの流れと結末を既に知っている。
つまりネタバレ済みの状態で視聴者に観せることを考えて脚本が構成されているように感じたわけだ。シンジが初めてエヴァに乗るときまでの心理描写やヤシマ作戦で初号機に再搭乗する動機付けなどテレビシリーズと比べて弱くなっており、そこは既存の視聴者の理解に委ねているような印象を受けた。単純に初見でエヴァンゲリオンという作品を観て、長年世間で培われてきたエヴァンゲリオンというタイトルの深淵を覗くにはこの作品の心理描写は台詞こそ同じでも間の取り方や絵そのものが安っぽいのではないだろうか。エヴァというブランドの評判が一人歩きして勝手に祭り上げられて過去作を含めての過大評価から期待が大きすぎただけなのかもしれない。
本作最後の予告編で登場する「仮設5号機」という単語を始めとするテレビシリーズからのストーリー分岐の匂わせは、ファンの心をぐっと引きつける当作最大の注目ポイントを振り返ってもやはり根強いファンを意識して制作されたものの証左ではないだろうか。
総評、個人的には純粋に映画としてみれば低評価せざるを得ないが、エヴァというブランドの一角に過ぎないのであればこれは既存のファンを楽しませるには必要十分以上に興奮を与えるもので素晴らしい作品だろう。
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