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電話に出なくなったら、時間と売上高が増えたー数字は正直である

私はあることをきっかけに、約6年間ビジネス上で電話に出ていない。

携帯電話であれ固定電話であれ、私にとって突然かかってくる電話ほど恐ろしいものはない。電話とは時間を食いつぶす時間泥棒であるだけでなく、人の平安を脅かすいつ飛んでくるかわからないミサイルのようなものであるとさえ思っている。

電話が好きな人には多かれ少なかれこんな特徴があるように思う。

  1. 自分(自社)の仕事がもっとも喫緊であると思っている。

  2. 自分(自社)の都合が大事で、他人(他社)の都合はどうでもいい。

  3. 簡単なメールでさえ書くのが面倒くさい。

  4. 行き当たりばったりで段取りが悪い。

  5. 思い付きを誰かにしゃべりたい。

  6. 話し合いたいのではなく、ゴリ押しをしたい。

  7. 人に雑用を押し付けようとしている。

  8. 忙しそうであることを周囲にアピールしたい。

こんな特徴を持つ人からの電話に出ると、「そんなことはメールで十分なのに」とか「そんなことを今急に言われても」などと困惑するケースであることが多い。まともに対応していると仕事の見通しが立たないし、仕事というよりは誰かへの「反応」で一日が終わってしまう。文書として残らないので「言った言わない」のトラブルにつながることもあり得る。出先であればそもそも大事な話はできない。とりわけ困るのは本当に仕事に支障をきたす場合だ。突然鳴った(バイブレーション設定であっても)電話のせいで、せっかく頭に浮かんだ言葉や表現がどこかへ吹っ飛んでしまったり、高まっていた集中力が切れたりした経験は枚挙にいとまがない。

このため、約6年前から代表電話1点にしぼり、総合受付にすべて応対してもらっている。受付から通知された発信元を確認し、必要なら営業時間内に代表電話から折り返す、折り返さない、代わりにメールを送るといった選択をしている。一応携帯電話の番号はあるが、私の基準で必要かつ妥当と認められる場合にのみ番号を共有すると決めた。チャットアプリも使うので電話の出番はほぼないという状況だ。

上記の1~8に該当する人々にとっては不便であろう。だから徐々に離れていった人々もいたが、ほとんどの人々はメールで連絡をくれるようになった。なぜなら私の返信は通常とても早いし、出先なら「読みましたのでまた後できちんと返信します」と一報する。内容に応じた適切なタイミングを守るようにしているので、電話を使わなくても問題ないと分かってくれたのだと思う。また、突然の電話ではなく日程を設けたうえで、電話、ZOOMまたは対面での打ち合わせを行う習慣もさらに強化できた。

不測の電話が無くなると変化が訪れた。時間に余裕が生まれ、売上高も増えていったのだ。

いわゆるランダムな案件が減り、長期的なプロジェクトが増え、1件または1シリーズごとの金額や納期が全体的に大きく長くなっていった。規模が大きくなるほど自分も取材や執筆などの実務をこなしながら、複数のメンバーとともに複数のプロジェクトを同時進行させる環境を整えやすくなる。そのほうが本来の実力を発揮しやすく要件をしっかり守れるので、継続的な依頼へとつながり売上高がさらに上がるという好循環ももたらされるのだ。

時間と売上高が増えると複利的な効果も生まれる。

勉強したりスキルアップを図ったり、純粋に興味のある仕事や長年実行したかったことにチャレンジしたりなど将来への投資がしやすくなるのだ。こうした「純粋に興味のある仕事」や「長年実行したかったこと」は、当面の間は売上高に貢献しないだけでなく時間や出費ばかりがかさむ場合も多い。しかし積み重ねていけば実績となり信用が生まれ、売上高を押し上げる業務として徐々に成長を遂げていくのだ。これは自分の経験を通して実感している。

とは言いつつ、「電話は廃止すべき」と一刀両断に断じるつもりはない。電話はまだまだ多くの人が利用するビジネスツールであり、職種や業界によっては「電話は不要」と言いきれないだろうと思う。ただ、かつての私のように余計な電話のせいで仕事が進まないと嘆く人も多いと聞くし、「電話は必要なのか?」と盛んに議論されるようにもなってきている。

電話を取らないと決めたものの不安が無かったと言えばウソになる。誰からも連絡が来なくなったらどうしようかなと悩んだし、電話を使えば別の展開があってもっと別のタイプのおもしろいプロジェクトにつながったかもしれないと考えたこともある。しかし何はともあれ連絡は変わらず続いているし、仕事の内容も良いし時間も売上高も増えたのは事実だ。何より以前よりも快適に仕事をしている。だから大事なのは電話に出ることそのものではなくて、一つ一つのプロジェクトを適切に完了することなのだろうし、そうすることで実績と信用の向上を図ることなのだろうと捉えている。

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