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Back to Male! 〜男に戻れ!〜 【第1章】タイムマシン??

前書き

タイムマシンで過去に行ったことにより、俺は女として生まれ変わってしまった!
ほんのいたずらのつもりだったのに、さあ大変!
俺は男に戻れるのか?

とにかく未来に戻れ!!!

今回のお話は、タイムトラベルの不朽の名作を見て、思いついたネタです。


【第1章】タイムマシン??

今日も忙しい1日が終わった。
俺はPCの電源を落として、帰り支度を始める。
ふと時計を見ると、夜の8時過ぎを差していた。
そう言えば今朝家を出てくる時、妻の恵梨香が珍しく早く帰って来てねとか言ってたなぁ。
にも関わらずこんな時間になって、恵梨香怒ってるかも。

俺はポケットからスマホを取り出して見ると、恵梨香からたくさんのLINEが来ていた。
どれも何時に帰ってこれる?みたいな内容だ。
こんなに帰宅を急かすなんて、一体何なんだ?
恵梨香の誕生日か?
いやそれはない、こないだ祝ったばかりだし。
あっ、今日は結婚記念日だった!
俺は理由を思い出し、慌てて帰路についた。

帰宅すると、恵梨香は怒っていた。
「結婚記念日くらい早め帰って来てもいいじゃない!」
そう言ってふてくされている。
あぁ女って、本当に面倒くさい。
だったら朝出かける時に、「結婚記念日だから早く帰って来てね!」って言えよ。

まぁ冷静に考えれば、こんな大事な日を忘れた俺が悪いことはわかっている。
でもさ、もう結婚して5年が経ち、お互い三十路を越えてるから、結婚当初のようなアツアツの関係なんかとっくに終わってるし、特に娘が生まれてから恵梨香にとって、俺は男から単なる家族になったようだ。
そして俺も、恵梨香はもう女ではなくて母親としてしか見れなくなった。
そんなんで余計に熱が冷めてしまったから、結婚記念日なんて忘れちゃうだろ。

俺と恵梨香は、高校時代の同級生。
しかし当時は付き合っていた訳ではなく、俺が一方的に恵梨香に憧れていた。
高校時代の恵梨香はJKを心底楽しんでいるようなギャルで、学校中でマドンナのような存在だった。
だから近寄り難いオーラ満載で、俺は遠くから見ているだけ。
結局告白なんかできるはずもなくお互い高校を卒業し、別々の大学へ進学したのだ。

そして大学卒業して社会人になった時、奇跡が起きた。
就職した会社に何と恵梨香がいるではないか!
地元の会社に就職したなら、それもわからなくもない。
でも俺達が就職したのは、地元から遠く離れた東京の会社。
こんな偶然あるだろうか?
俺は東京の大学に進学してそのまま東京で就職したけど、恵梨香は地元の大学に進学し、就職で東京に出て来たらしい。

久しぶりに見る恵梨香は、相変わらずピカピカ輝いて見えた。
恵梨香も俺のこと覚えていたので、入社した当時は良く話した覚えがある。
でもお互いに仕事に慣れて忙しくなるにつれ、2人の間に距離ができた。
そして2年目になるともう話すこともなくなり、お互いの存在を意識しないようになっていた。

そんな時、恵梨香からLINEが来る。
2人で飲みたいとのこと。
俺は昔憧れてた恵梨香とサシ飲みできると思い、喜んで飲みに行った。
飲んでる席で色々話してみると、どうやら恵梨香はホームシックになったらしい。
無理もない、生まれてから大学卒業までずっと地元で育った彼女。
だから一度くらい都会に住んでみたいと思って東京の会社に就職したは良いけれど、どうやら東京は彼女の思っていた以上に切なくて冷たい街だったらしい。
それに気付いた途端に地元に帰りたくなったが、両親に大見栄切って上京した手前上、帰るに帰れない。

そこで身近にいる高校の同級生の俺を誘ったとのこと。
そう言われると俺も大学に入ったばかりの時、強度のホームシックにかかり、同じく上京した同級生を誘っては気分を紛らわせていたから、彼女の気持ちもよく分かる。

こうして俺達2人は頻繁に飲むようになり、いつしか交際するようになった。
そして数年後、めでたく結婚したのである。
その時の俺は、有頂天だった。
だって高校時代に憧れていたマドンナと結婚したからね。

でもそんな思いは数年で終わった。
やはり毎日ステーキを食べていると飽きると言うのは、本当のようだ。
特に娘が出来て恵梨香が女から母に見えてから、俺の気持ちは完全に冷めてしまったのだ。
あんなに憧れていた恵梨香だったのに。

俺は恵梨香のどこに憧れていたのだろうだろうか、自問自答してみる。
すると答えは簡単に出た。
俺が憧れていたのは恵梨香がめっちゃ良い女だったからではなく、彼女の生き方だったのだ。
女と言う武器を最大限に活かして、人生を楽しんでいるように見える生き方に。

そんなこと、実は付き合い始めた頃から気付いていた。
でも今さらそんなこと言っても仕方がない。
もう俺達は夫婦なんだし、娘だっている。
俺は夫として、父親として頑張って生きて行くしかない。
そう思い直して俺は恵梨香に頭を下げて、遅い帰宅になったことを謝る。
しかし一方では、そんな俺を冷めた目で見ているもう一人の俺もいた。

こんな感じで諦め半分な日常をダラダラと送っていた時、携帯がなった。
ドクからだ。
ドクと言うのは俺の大学にいた助教授のこと。
彼はとても破天荒な性格で、研究内容もとんでもないものばかりであった。
だから周りから色眼鏡で見られ、時にはバカ扱いもされていた。
でも俺自身は彼と妙にウマが合い、彼の研究を良く手伝っていたのだ。
そんな彼だけど一応博士号を持っているらしく、俺は敬意を払ってドクターを縮めてドクと呼んでいたのだ。

「マーティ、すごいものを発明したぞ!今夜私の研究室へ来てくれ!」
ドクはそう伝えると、電話を一方的に切ってしまった。
ドクは俺のことを、マーティと呼ぶ。
俺は「ま」で始まる名前と言うこともあったが、俺がドクと呼び始めたら、いつしかドクは俺のことマーティと呼ぶようになっていた。
何となく某映画のようで、俺達2人はこの呼び名を気に入っている。

それにしても今夜か、また急だな。
でもドクに会うのも久しぶりだから、行ってみるか!
ちょうど恵梨香は地元に予定があって、娘を連れて帰省しているし。
俺はこうして仕事を終えると母校の大学へ向かい、ドクの研究室を尋ねた。

「ようマーティ、元気だったか?」
「あぁ、元気元気!ドクも元気そうで何より。」
こうして俺達は久しぶりの再開を楽しむ。
しばらく世間話をしていると、ドクが急に本題を話し始めた。
「ところで今日マーティを呼んだのは他でもない。実はタイムマシンを発明したんだ!」
「タイムマシン?」
「そう、タイムマシン!」
「・・・・。」
「あっ、さすかのマーティも私のこととうとう気が狂ったと思ったのか?」
「い、いやそんなことないよ」
と俺は言ったが、実際のところタイムマシンなんてできる訳がない。
そんな俺を見てドクは、原理の説明を始めた。

一通り聞くと、何となく本当だと思ってしまった。
その理論はとてもめちゃくちゃで、いかにもドクらしいけど、何となく真実味もある。
するとドクは隣にいたアインシュタインと言う名の犬を実験台とし、時計と共にタイムマシンに入れて一分後の世界に送るべくスイッチを押した。
すると目の前でアインシュタインは消えてしまい、一分後に現れたではないか!
しかもアインシュタインに巻き付けた時計は、きっちり一分遅れている。

目の前で起きたことが信じられず、目をパチパチしている俺を見て、ドクが誇らしげに言う。
「マーティ、本当にタイムマシンだとわかっただろ?」
「あぁ、信じられないけどすごいよドク!過去にも行けるの?」
「もちろん!実際に私は10年前に行ってきたんだ。」
「マジで?」
「あぁ、マジも大マジ。そして実際に行ってみてわかったことがたくさんある。」
「どんなこと?」
俺は興味津々でドクの話に耳を傾けた。


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