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Back to Male! 〜男に戻れ!〜 【第6章】やっとの思いで大学生になり

そして迎えた大学受験。
俺はもちろん母校を受験をし、無事に合格した。
よし、これでやっとドクに会える。

しかしここで大きな壁にぶち当たった。
俺が女の子と言う理由で、親が上京を認めてくれないのだ。
実家から通える地元の大学へ通いなさいとしつこく言ってくる。
冗談じゃない、そんなことをしたらドクに会えないじゃないか!
ドクに会えなかったらタイムトラベルできないし、元に戻れなくなる!
俺は必死に両親を説得し、大学の女子寮に入ることを条件に上京を認めてもらった。

そして始まった大学生活。
俺は直ぐにドクの所へ向かった。
記憶が正しければこのドクは10年後からやって来ていて、既に俺のことを知っているはずだ。
そう思って俺はドクの研究室のドアを叩いた。

「ドク、久しぶり!」
そう声を掛けたが、ドクの反応はない。
それどころか誰だこいつ?のような表情で俺を見ている。
「俺だよ、マーティだよ!」
「マーティ?私の知っているマーティは男なんだが、君はどう見ても女性ではないか。」
そうか、ドクは男の俺しか知らないから、今の俺を見てもわかるはずないよね。
そう悟った俺は事情を説明する。

「なるほとそう言う訳か。いきなり女の子が入って来てマーティなんて言うからびっくりしたよ。」
「ところでやっぱり俺、元に戻りたいんだ。その為にはまたタイムマシンに乗って俺の生まれる前に母親に近づく男の俺を止めなければならない。」
「そう言うことになるな。」
「だからドク、タイムマシンを作ってくれないか?」
「マーティ、気持ちはわかるが今すぐは無理だ。」
「どうして?」
「今の私も10年後から来たってことは知ってるよな?もし作れていたら直ぐに未来に戻ってるよ。」
「言われてみればそうか。」
「何故直ぐに戻らないのか?それは戻れないんだ。今の部品ではスペックが低すぎて、タイムマシンは作れないんだよ。」
「と言うことはつまり?」
「あと10年は戻れないと言うこと。」

そんな・・・
俺はヘトヘトと座り込んでしまった。
やっと戻れると思ったのに、まだ戻れないだなんて・・・しかもあと10年も。
死ぬ思いで陸上のトラックを1万メートル分走り、ゴールしたと思ったらあと1周残ってると言われたような気分だ。
こうして仕方なく俺のJD生活が始まった。

この大学での生活も二度目なので、勝手がわかっている。
ドクとも相変わらず仲良くやっていたし、高校の親友である彼女とも友達同士の付き合いは続いており、一緒に買い物とかしている。
何気ない日常を女として過ごすようになって7年、俺は何だかんだ言いながら女の子の生活に慣れてしまっていた。
当たり前のようにメイクをし、当たり前のようにブラをして、当たり前のようにスカートを履く。
すっかり日常となったこのような生活に最早萌えることはない。
時々何もかもが面倒になり、もう女のままで良いかと思ってしまう時も増えた。

人間モチベーションを保ち続けることは、本当に難しい。
そんな時に思うのが、恵梨香と娘のことだ。
やっぱり恵梨香はいい女だった。
今の俺は女だから恵梨香に性的な興奮を覚える訳ではないが、それでもやっぱりいい女だった。
過去が美化されているのかも知れないけれど。
それに娘の笑顔は何者にも変えられない。
もう一度家族三人で過ごしたい、その思いだけで俺は毎日を過ごしていた。

そして大学を卒業し、俺は就職した。
就職先も一度目の人生と同じ会社だ。
当然業務内容も同じだし、何かと都合が良いからね。
しかし辞令を見て驚いた。
何と一度目の人生とは違う部署だったからだ。

一度目の人生の時は外勤系の部署に配属されたけど、今回は内勤系だった。
やはり女であることが関係しているのか。
その後俺は、この部署は一度目の人生の時、恵梨香が配属された部署だったことを思い出した。
でも二度目の人生では周りを見渡しても恵梨香はいない。
恵梨香そのものの存在が無いので、当たり前だけど。

ふとその時、俺はある考えが脳裏をよぎった。
もし一度目の人生と同じなら、男の恵梨香はこの会社にいるかもしれない!
俺はそのことをすっかり忘れていたし、同期が多過ぎて1人1人の顔も覚えていない。
気になって調べて見ると、やはり男の恵梨香はこの会社にいた。
しかも配属先は、俺の一度目の人生の部署だった。

つまりこの時間軸では、俺達の会社での役割が完全に入れ替わっているのだ。
俺の記憶が正しければ、この後直ぐに何人かで同期会を開き、そこで恵梨香と久しぶりの対面をするはずだ。
その後恵梨香はホームシックにかかって俺を誘うようになり、交際が始まる。
まぁでもそれは二度目の人生では無いだろう。
一度目の人生では恵梨香は女の子だったから、両親の手前上地元の大学にしか進めなかった。
それを振り切って進学で上京する大変さは、俺も二度目の人生で経験している。
でも今の恵梨香は男だから、何の問題もなく進学で上京しているだろう。
元々上京したかったと言ってたし。
それだったら今さらホームシックになんかなるはずはない。

そして数日後、俺は同期から誘われて同期会へ赴いた。
一度目の人生の時と同じく、男女5人ずつの参加だった。
ドキドキしながら参加者を見ると、そこに男の恵梨香がいた。
彼は俺の顔を見るなり気付いたようで、俺の隣に座った。
ここまでは全く一緒だ。
「まさか東京の会社で高校の同級生と同期だなんて、すごい偶然!」
そう言って笑う彼。
その台詞も仕草も以前と全く同じ。

そして会話を進めて行くと、彼の進学先は東京ではなく、地元だったことがわかった。
東京の大学に落ちてしまい、仕方なく地元の大学へ行ったらしい。
そして就職で、やっと上京の夢が叶ったそう。

大学へ進学した理由こそ違うけど、結果的に彼の人生は女だった時と変わっていない。
それどころか2人の人生も変わっていない。
もしかして俺達は前と同じように付き合うことになるのか?
いやそれはない。
だって俺は男苦手だし。
でも俺達二人は今後も頻繁に会話するようになった。
しかしお互いにだんだんと忙しくなり、会話が途絶えて行った。

そして2年が過ぎた頃、男の恵梨香からLINEが入った。
二人で飲まないかとのお誘いだった。
これも一度目の人生と同じタイミングだ。
断る理由もないし、俺は誘いに乗って飲みに行った。
記憶が正しければ、この飲み会で恵梨香はホームシックであることを俺に話し、二人の仲は急接近することになる。

飲んでみると、男の恵梨香もホームシックとのこと。
そんなことわかっていたが、俺もアルコールが入っている状態で地元の話を聞いたため懐かしくなってしまい、俺達は再び打ち解けた。
それ以来二人の仲は急接近し、2人での飲み会の3回目の時、俺達は結ばれる。
実は今日がその3回目の飲み会だ。
あれはお互いの性別が違っていた時代のこと。
酔って俺を誘う恵梨香に我慢できず、俺達は結ばれた。
でも今回は誘われても俺は我慢できる。
我慢どころか男から誘われても嫌悪感しかない。
逆に俺から誘うことは絶対にないから、二度目の人生では俺達結ばれないだろう。
そんな確信があった。

しかし次の朝、俺達2人は同じベッドにいた。
やっぱり運命は変えられないのか?
昨晩飲んで理性を失った俺は男の恵梨香の誘いに乗ってしまい、結ばれたのだ。
誘いに乗ったと言うか、女の本能が拒むことをしなかったようだ。
それどころか男とするなんで絶対にあり得ないと思っていたけど、これまた女の本能が彼を求めていた。
彼に抱かれた昨晩は、とても素晴らしかった。
女になって10年以上が経ち、遂に俺の中の女の自覚が現れたのかもしれない。

こうして俺達は一度目の人生と同じように、付き合うこととなった。
男の恵梨香と付き合って、俺は変わった。
女の喜びに目覚め、女の性に溺れるようになってしまったのだ。
生理が始まった中学の時、こんな辛い思いをしてもみんな女を楽しめるのは、きっと何か素晴らしことがあるからだと思ったが、それはこれだったのだ。
好きな男に抱かれ、女の性を心底味わう。
こんな快楽は他にない。
これは男には味わえない幸せだ。
いつしか俺は女であることに幸せを感じ、どんどん女を磨くようになった。
お洒落な洋服に身を包み、流行りのメイクやネイルをし、彼に抱かれる。
本当に幸せだ。


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