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Back to Male! 〜男に戻れ!〜 【第3章】計画は大成功!と思いきや...

今回のタイムトラベル、俺が産まれる10ヶ月前に設定したのは意味がある。
誕生日から逆算すると、俺はちょうどこの時期に受精しているはずだから、この薬を飲ませるには最適なのだ。
また俺は母親が、この文化遺産に良く来ていたことも聞いていた。
だからここで張り込みをしていれば、母親に会えるはず。
そう思ってここを選んだ。
でも現実はそう甘くない。
その日は結局母親に会えずに終わった。

夜は近くのホテルに泊まり込み、俺は連日母親を探すべく、張り込みを続けた。
すると3日目になって、遂に母親が現れたのだ!
どうやら誰かと待合せをしているらしい。
俺はすぐに声をかけようかと思ったが、待合せが父親だったら困る。
それに結婚しているのだから、父親以外の男に声かけられても、フラフラとついて行かないだろう。
しばらくすると友達と思われる女性が現れた。
待ち人は彼女だったみたい。

俺は意を決して二人に声をかけた。
いわゆるナンパだ。
一人より二人でいる方が警戒心は薄れると言うが、それは本当だった。
二人はすぐに俺のナンパに引っかかった。
しかも驚いたことに、積極的だったのは母親の方だ。
父という男がいるくせにこの女は…と呆れたが、よく考えたら目の前にいるのは自分の息子。
本能的に好意を持ったのだろう。

とりあえず二人を喫茶店に誘い、三人でお茶をする。
その内二人はトイレに立った。
女は何でいつも連れションなんだろうと思ったが、逆に都合が良い。
俺は母親のコーヒーに薬を入れてかき混ぜた。
そしてトイレから戻った母親がコーヒーを飲み干したところを見届けると、俺は会計を済ませて二人と別れた。
良しこれで作戦は終了、あとは祈るだけ。
俺は未来へ帰ることとした。

タイムマシンに乗り込み、元いた未来の日付を入力してスイッチを入れる。
しかしそこで気になった。
本当に俺は女の子として産まれてるのか?
そう思うと確認したくて、途中寄り道して見てみようと思った。
いつの時代が良いかと考えたところ、やっぱり強烈に女の子になりたいと思った中学時代にしようと決める。
こうして俺は日付を中学に入学するちょっと前に設定し直し、タイムマシンを稼働させた。

しばらくするとタイムマシンが止まった。
どうやら着いたらしい。
ふと手を見てみると、透けている。
この時代には俺は存在しているので、これがドクの言っていた幽体なのか。
よく見てみると全身が透けているようなので、幽体に間違いない。

タイムマシンから出て、俺は早速実家に向かった。
俺が本当に女の子になっているかを確認するためだ。
しかしあいにく実家には誰もいない。
この頃両親は共働きだったし、俺自身はまだ帰宅していないのだろう。
しばらく待っていると、女の子が帰ってきた。
あっ、あれは俺だ!間違いない!
元の世界の俺は男兄弟だったからうちに女の子はいないし、となると彼女はこの世界の俺と言うことになる。
やはり俺は女の子になっていた。
やった!!

しっかり確認をしたので未来へ帰ろうと思ったが、やっぱりどうしても女の子の自分を間近で見てみたい。
こう思った俺は実家に忍び込む。
幽体だから壁をすり抜けることができ、簡単に入ることができた。
そして俺の部屋の前で立ち止まる。
もし彼女が俺だったらこの中にいるはずだけど、会ってしまったらこの幽体は本体に吸収されてしまい、戻れなくなる。
だから後ろ姿だけ確認しよう。
そう思って俺は部屋の壁をすり抜けた。

すると思った通り、俺がいた。
髪は長く、スカートを履いている。
そして横顔を見ると、可愛い。
これが俺なんだと思うと、心が踊る。
満面の笑みを浮かべた次の瞬間だった。
何と女の子の俺が急にこっちを向いたのだ!
あっと思ったのも後の祭り、目が合ってしまった幽体の俺は、その体に吸い込まれて行った。

どれくらい時間が経ったのだろう、ふと目が覚めた俺の視界に見慣れた景色が飛び込んできた。
あぁ、俺の部屋の天井だ。
えっ、俺の部屋の天井?
飛び起きるとそこは確かに俺の部屋だが、雰囲気が何か違う。
暖色で統一されていて、女の子の部屋のようだ。
あっ!!
起き上がってみると、俺はスカートを履いていた。
そうだった、俺は吸い込まれたんだ。

と言うことは、未来に戻れないと言うこと?
俺は慌てて外に飛び出し、タイムマシンを置いた場所へ行ってみた。
しかしそこには何もない。
俺がこの時代の自分と融合してしまったため、タイムマシンも見えなくなってしまったらしい。
ヤバい、未来に戻れない!
と言うことはつまり、あと20年近く女の子として生活しないといけないということだ。

えええええ、そんなの冗談じゃない!
どうしよう?
そうだ、この時代のドクを探し出して相談すれば何とかなるかも知れない!
でもこの時代のドクはまだ大学生だよな、ドクはどこの大学出身だったっけ?
良く考えたら俺はドクの昔のことを知らなかった。

知っているのは俺が大学に入った時、ドクもどこかの大学の講師からうちの大学の准教授になったことだけだ。
今のドクの居場所がわからないと言うことは、ドクとは俺が大学生になってからじゃないと会えないということ。
あぁ、こんなことになるなら寄り道せず真っ直ぐ未来へ帰れば良かった。
後悔先に立たず。
俺は諦めて帰路についた。

次の日、目覚めた俺は改めて頭の中を整理する。
昨日はちょっとパニックになっていて、寝るまで何をして過ごしたか覚えていない。
わかったのは昨日は小学校の卒業式で、今日から春休みということ。
そして4月から俺は中学生になるということだ。
一晩眠って少し落ち着いた俺はベッドから起き出し、トイレに入った。
いつものようにおちんちん掴んでおしっこしようとしたのだけれど、肝心のおちんちんが見当たらない!
一瞬焦ったが、すぐに落ち着いた。
そうだ、俺は女の子になったんだった。
こうして座ってトイレを済ます。
やっぱり女の子のトイレは面倒くさいんだなぁ。

トイレを済まし部屋に戻り、着替えをするためにタンスを開けた。
するとそこには女の子の服がたくさん入っている。
どれも可愛らしくて女の子らしいものばかり。
それを見てちょっとテンション上がった。
こんな服本当に着ていいの?
俺は恐る恐るフリフリのブラウスに袖を通し、可愛いスカートを履いてみた。
そしてそのままリビングまで行くと、家族は誰も何も言わない。
おぉ、これが当たり前なんだな!
スカート履きたい放題だなんて、何と素晴らしい生活だ!
こうして俺は少しずつショックから立ち直って行った。

そして数日後、俺のテンションがマックスになる出来事があった。
頼んでいた中学の制服が届いたのだ。
まさかと思って箱を開けてみると、そこには憧れていたセーラー服が入っていた。
女の子なんだから当たり前なんだけど、やっぱり嬉しい。
お母さんから着てみたら?と勧められ、俺はセーラー服を手に取った。
とその時、お母さんがこう言った。
「もうあなたも中学生になるんだから、そろそろブラ着けなきゃね。お母さん買って来たからブラ着けて制服着てごらん?」
そして俺にブラが入った袋を手渡す。
恐る恐る開けて見ると、そこには可愛らしいブラジャーが何枚か入っていた。

「最初はスポーツブラが良いかなって思ったけど、いつかちゃんとしたブラ着ける日が来るから、だったら最初からその方が良いと思って。ホック留めに慣れとかないと。」
こう言ってお母さんはブラのホックの留め方を教えてくれ、その上からセーラー服を着た。
あれほど着たくて着たくて死にそうだったセーラー服を着れるだなんて!
しかも堂々と!!
どうせしばらく女の子なんだし、だったら思いっきり楽しもう!
俺はそう開き直り、来るべき二度目の中学生活に思いを寄せた。


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