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Back to Male! 〜男に戻れ!〜 【第5章】JKになって運命の人と再開?

そんな俺も遂に中3になり、高校受験を迎える年になった。
俺は相変わらず男に戻りたい思いが強かったが、それを表に出すことなく普通に女子中学生生活を続けている。
その頃の俺の成績だが、一度目の時より優秀で、先生からは地区最難関の高校へ行けると言われていた。
俺は一度目の人生の時、その高校へ行けなかったことがコンプレックスで、その思いは30歳越えても変わらなかった。
だから二度目の人生ではその高校へ進学しようと考えたのだが、結局選んだ進路は一度目の人生と同じ高校だ。

何故かと言うと、頭の中に恵梨香が浮かんだから。
もしこの時間軸の変更点が俺の性別だけだとしたら、一度目の人生と同じ高校に行けば恵梨香に会えるはず。
もう何年も恵梨香に会っていないし、一度は結婚した仲だから、やはり気になる。
二度目の人生では同性になるから結婚はできないけど、女友達になれば高校時代キラキラ輝いていた恵梨香をそばで見ていられる。
そう思ったから。

先生からは惜しまれたが、今回の俺には全く後悔やコンプレックスは無い。
そして一度目の人生で進学した高校を受験し、俺は無事に合格をした。
今度は女子高生として高校に進学した俺は、早速恵梨香を探す。
実は俺にある考えがあった。
二度目の人生でせっかく女になったのだから、このまま男に戻りたい思いをズルズルと引きずって生きていくのももったいない。
それなら俺も恵梨香のそばで女を磨き、女子高生生活をもっと楽しもうと思ったのだ。

一年の時の恵梨香は、確か隣のクラスだったはず。
俺は入学式が終わって教室に戻る時、隣のクラスに目を配って彼女を探したが、見つからない。
それどころか何日経っても、彼女を見つけることはできなかった。
業を煮やした俺は隣のクラスの名簿を調べてみると、何と恵梨香の名前はないではないか!

あれ?違うクラスだったかな?
そう思って全クラスの名簿を見てみたのだが、どこにも恵梨香の名前はなかった。
もしかして恵梨香は別の高校に進学した?
だとしたら一度目の人生と変わってる!
もしそうなら、この高校に来た意味がないよね。
そう思った俺は、絶望した。

その後俺は彼女と同じ中学だった同級生にさりげなくヒアリングしてみると、予想もしない回答が帰って来た。
恵梨香なんて女子はどこにもいないと言うのだ。
これはもしかして俺が女の子になってしまったことによって、彼女が将来結婚するべき男の俺がいなくなってしまい、その結果彼女の存在そのものが消えてしまったと言うことなのか?
だったらもう二度と恵梨香に会えない、そう思うと無性に悲しくなり、やっぱり元に戻らないといけない思いが余計に強くなった。

それから数ヶ月経ち、俺は特に何を楽しむこともなく、JK生活を過ごしていた。
やはりここでも周りの女子は、色恋話しに夢中だ。
新たな出会いもあってか、校内の誰がイケメンか楽しそうに話している。
俺にとってこの高校生活は二度目だから、男子の誰がモテていたかわかっている。
俺も仕方なくその会話に参加していると、やはり出てくる名前は一度目の人生の時と同じだった。

でもその中に一人、知らない名前があった。
何度名前を聞いても覚えがなく、誰か思い出せないのだ。
そんな奴いたっけ?
女子達の話を総合してみると、そいつはとてもさわやかなイケメンで、目立つらしい。
そんなこと聞くと、ますます誰なのか思い出せない。
噂の彼は隣のクラスだと言うので、俺は顔を見れば思い出すかも知れないと思い、隣のクラスの女子に会うフリをして彼を見に行った。

そして彼を見た途端に、絶句してしまう。
何とその顔は、恵梨香そのものだったのだ。
もちろん恵梨香は女で、今見ている彼は男だから微妙に違うけど、恵梨香の双子の兄か弟のような感じで、とても似ている。
そして恵梨香はとても美人だったから、彼もまたとてもイケメンだ。
びっくりした俺は彼の名前を確認してみると、恵梨香と同じ名字ではないか。

これは単なる偶然か?
そもそも一度目の人生の時、こんな奴絶対にいなかったぞ。
その後色々調べてみると、俺は更に驚いた。
何とその彼は恵梨香と同じ中学らしく、住所も恵梨香と同じだったのだ。
もしかして恵梨香の兄弟?
そんなはずはない、恵梨香には妹しかいなかったし。
恵梨香が消え、変わりに恵梨香そっくりの男が現れ、しかも恵梨香と同じ名字で同じ住所。
こうなると答えは一つしかない。
つまりこの時間軸では、恵梨香は男なのだ。

ここで俺はドクの言っていたことを思い出した。
もし過去を変えれば時間は辻褄を合わせようとして、別の何かが変わると。
俺が女の子になった事によって世の中に女の子が一人多くなり、時間は辻褄合わせで恵梨香を男にして男女比を合わせたんだ。
俺の軽率な行動で、キラキラ輝きながらJK生活を送っていた恵梨香の人生を台無しにしてしまうだなんて・・
俺は深く後悔をした。

とは言え、今さらどうすることもできない。
恵梨香に対して申し訳ない思いは持っていたが、男になった恵梨香を見ていると、今度は逆に男であることをめっちゃ楽しんでいるように見える。
現に女子達にモテまくり、女には不自由してなさそうだ。
おかげで俺も彼に近づくことができず、遠くから眺めているだけ。
男女入れ替わっても結局同じ人生なんだなと思うと、俺は吹き出した。

結局俺は彼の真意を確かめることなく、高校生活を過ごしている。
本当は恵梨香と友達になってキラキラしたJK生活を送る思惑だったが、恵梨香はいない。
でもその代わり高校時代に付き合っていた彼女と親友になり、二人でJK生活を楽しむようになった。
彼女は俺のことを初めて会った気がしない、何か昔ながらの親友のような気がすると言うが、俺は彼女の好みや性格を良く覚えていたので、それは当たり前だ。
一度目の人生では恋人、そして二度目では親友。
そんな関係も悪くない。

一度目の人生で俺達は卒業まで付き合っていたけど、卒業して別々の大学へ進学してから疎遠になって別れてしまった。
俺は彼女のことが大好きで、できれば別れたくなかった。
女同士なら別れる別れないなんて関係ないから、卒業してからも友達同士でいられる。
それに一度目の人生では彼女に対して下心満載だったが、今は女同士だからそんなことは一切ない。
だから彼女と末永く仲良く過ごすことができるのだ。
やっぱりこの高校に来て正解だった。
結局当初の目的であるキラキラしたJK生活は送れなかったけど、彼女と友達になったことでそれなりに楽しいJK生活を送ることができた。


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